部下のやる気は、「引き出す」より「灯す」もの
はじめに
「最近、チームに熱がない」「どこか冷めた空気がある」。そう感じているリーダーのあなたへ。それはメンバーの能力の問題でも、あなたのマネジメントの失敗でもないかもしれません。ただ、その人の内側にある火が、まだ眠っているだけです。
やる気は「与える」ものではない
30年、ホスピタリティの現場を歩いてきた私が、ずっと感じてきたことがあります。卓越した仕事をする人は、会社のルールに従っているのではなく、自分自身の「誰かにこんな価値を届けたい」という願いに従って動いていました。
組織がどれだけ環境を整えても、その人自身が「自分はここで何をしたいのか」を感じられなければ、本当の意味での力は出てきません。これは私が現場から導いた仮説ですが、最先端の企業がいま人の内面に目を向けはじめていることと、方向性は重なっていると感じています。
まず「存在」を認めることから始める
では、リーダーはどうすればいいか。答えはシンプルです。評価より先に、その人の「今のまま」を認めることです。
人は、失敗を恐れている環境では本音を語れません。「何を言っても大丈夫だ」という安心感があってはじめて、自分の内側にある思いを口にできます。1対1の対話の場で、まずリーダー自身が自分の弱さや迷いを少し開示してみてください。その小さな一歩が、相手の心を開くきっかけになります。
「言葉の奥」に耳をすませる
話を聞くとき、言葉の内容だけでなく、その奥にある感情に意識を向けてみてください。
「この仕事、なかなか難しくて」という言葉の裏に、「もっとうまくやりたい」という悔しさが隠れていることがあります。「別にどっちでもいいです」という言葉の奥に、「どうせ自分の意見は関係ない」という諦めが眠っていることもあります。
その感情の揺れ動きの中に、その人が本当に大切にしていることが隠れています。
「小さな約束」を一緒につくる
大きな目標を掲げる必要はありません。「明日、お客さんに一つだけ、いつもよりちょっとした気遣いをしてみる」。そんな小さなことで十分です。
大切なのは、それを上司が決めるのではなく、本人が自分で決めることです。自分で決めた約束を一つ守る。その小さな達成感が、次の一歩を踏み出す力になります。その積み重ねが、チームの空気をじわじわと変えていきます。
火は、灯されるのを待っている
やる気は外から与えるものではなく、その人の内側にすでにあるものです。リーダーの仕事は、その火が灯りやすい場をつくること。1対1の対話は、そのための最もシンプルで強力な手段です。
明日、一人のメンバーと、少しだけ深い話をしてみてください。
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