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「私には関係ない」レッテルで平穏に過ごす

 最近、自分のメンタルを守るために、意識していることがある。いろいろなものに、「私には関係ない」というレッテルを貼ることだ。

 例えば、街で暴れている変な人を見たとき。困っていそうなホームレスの人とすれ違ったとき。スーパーで、お客さんが店員さんにクレームを入れているとき。以前の私は、そういう人や場面に必要以上に感情移入して、心に不必要なダメージを負っていた。メンタルの柔らかいところを、ざっくりやられる感じである。

 でも最近は、そういう場面に出くわしたら、心の中で「私には関係ない」というレッテルを貼り付けることにしている。
 レッテルと呼んでいるが、頭の中でイメージしているのは、おふだのようなものだ。「これは、私には関係のないこと」そう書かれたおふだを、対象の人や出来事に、ぺたり。そして、早々にその場を立ち去る。もう、自分の背後で起きていることについては考えない。背後に残してきた「レッテル」の存在だけを、強く意識する。
 あれは、私には関係のないことだ。
 こうすると、自分の輪郭を守ることができる。不要なものに、自分の心の平穏を削られずに済むのだ。

 「私には関係のないこと」。字面だけを見ると、なんだか私が冷たい人であるかのようにも感じられる。しかし、これは私の心の平穏にとって、必要な作業なのだ。それに実際、スーパーで他のお客さんが入れているクレームなんて、私には関係がない。
 自分とは関係のない出来事まで引き受け、必要以上に自分と周囲との関係を持とうとすることは、ある意味、傲慢でもあるのかもしれない。

 このレッテル貼りは、「感情のラベリング」に少し似た作業なのだと思う。
 感情のラベリングとは、自分でコントロールできないような感情が湧き上がってきたときに、「ああ、今、自分は悲しんでいるんだ」「怒っているんだ」と、自分の感情に名前を付ける方法だ。感情に名前をぺたりと貼ることで、少し落ち着く。私は、心理療法か何かのひとつとして知った気がする。
 ただし、「自分には関係ない」レッテル貼りを始めたとき、感情のラベリングを応用しようと考えていたわけではない。あるとき偶然、何かに「ぺたり」としたのだ。何に貼ったのかは、もう忘れてしまった。すると、それまで削られていたものが削られなくなった。そして、自分がきれいな形のまま立っていることに気が付いたのだった。

 私は、自分を「HSP」と定義されるのはあまり好きではない。とはいえ、「周りを過度に気にしてしまう」「他人に感情移入しすぎてしまう」というのは、いわゆる繊細さんの特徴なのだろう。
 以前、フルタイムで働いていたころの私は、同じフロアで起きている出来事や、耳に入ってくる会話の内容に、いちいち心を反応させていた。自分が関わっているわけでもないのに、周囲の感情や空気を拾ってしまう。そんな状態で一日を過ごすと、帰るころには、いつもぐったりしていた。

 今では、日にもよるが、一日に一回くらいは「自分には関係ない」レッテルを貼っている。他人へのアンテナが高すぎること自体は、相変わらずだ。それでも、以前より少しだけ、社会の中で息がしやすくなったように思う。
 私はもう、フルタイムで働くつもりはない。ただ、これからパートタイムで働く機会はあるかもしれない。そのときにも、この「自分には関係ない」レッテル貼りを活用して、以前より少し気楽に働けたらいいと思っている。

 「私には関係ない」と、心の中でぺたり。
 全国の、私と同じような「繊細さん」「アンテナ高いさん」に、おすすめだ。


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