【ショートショート】下僕並べ
「2番の下僕、前へ」
黒い目出し帽、ボールの猿ぐつわ、白ブリーフ姿の男が、声に従いヨチヨチと四つんばいで前に進み出た。
男の後ろに立つボンテージ姿の女が、鞭を振り上げ男の臀部に勢いよく振り下ろした。
「借金下僕、属性は金。【多重債務】発動」
港区の霞麻布、地上の喧騒と隔絶された地下空間は異様な熱気に包まれていた。会員制秘密倶楽部【濃腐麗主】では、今日も下僕並べが行われていた。
本日のメインカードは倶楽部の女主人『女王』対、大手製薬会社の社長『女帝』の因縁の対決。試合の形勢は女王側に傾いていた。
「ギャンブル下僕、属性は金。借金に上乗せ、【クズの塔】発動」
借金下僕の上にギャンブル下僕が這い上がり、2人ピラミッドが完成した。相手下僕の金銭感覚を著しく狂わせる。
女帝は顔をしかめ、手札の下僕を睨むように見渡す。打つ手がない。ここで女帝は一か八かの賭けに出た。
「ドロー」
正体のわからない下僕の山から1体の下僕を無作為に選ぶ。頭からすっぽり黒い布を被った下僕が山から歩みでた。
「オープン」
女帝の声に下僕が布を脱ぎ捨てる。
「──あ、あなた」
白ブリーフの男は、一月前に姿を消した女帝の夫だった。
「もう、下僕はこりごりだって言ってたじゃない……また、私の下僕になってくれるの?」
夫は猿ぐつわをくわえたまま「ワン!」と勢いよく鳴くと、女帝の足元に這いつくばり戦闘態勢をとった。
女帝は鞭をしならせ夫の臀部を打ち据えると、女王を睨みつけ高らかに宣言した。
「夫下僕、属性は愛。【真実の愛】発動!」
倶楽部を熱狂が包み込む。
霞麻布の街は今宵も眠らない。
終
画像を作るのにえらい苦労しました。裸ブリーフもダメとは世知辛い世の中です。
カードゲームをやったことがないので、あくまで雰囲気です。
田原にかさまの毎週ショートショート【下僕並べ】に参加させて頂きました。
前回のお題はこちら
#毎週ショートショートnote
#下僕並べ
#ショートショートnote
#ショートショート
#短編小説
#掌握小説
#創作
