【ショートショート】ソーセージthe流星群
「やめる必要ねえだろ!」
楽屋に絵閃の大声が響きわたる。
「これ以上、迷惑かけたくないんだよ。『ソ流』は、これからだろ」
ぐっと奥歯をかみしめる布留斗を見て、絵閃はうつむき机に拳を打ちつけた。
地下から這い上がって、東京ドームに立とう。それが『ソーセージthe流星群』5人の合言葉だった。
「じゃあ、みんな……絶対、ドーム行けよ!」
そう言うと布留斗は踵を返しドアをあけた。
「──布留斗!」
驚いてふり向くと何かが放物線を描いて飛んでくる。反射的にキャッチした。手の中に握られたものを見て、布留斗は再び奥歯をかみしめた。
メンバーソーセージのフランクフルト。
布留斗はそれを握りしめると、もうふり返らずにドアを出ていった。
*
「推しは絵閃!パリ感パない!」
「私は羽韻です」
ドーム前に列をなしている人々がインタビューに応えている。
楽屋の4人がそれぞれの衣装に身を包む。差し入れを見たBORO近が声を上げた。
「なあ、これって──」
その声にメンバーが集まる。そこには立派な木箱に納められた4本のフランクフルト。
『布留斗印の牧場フランク』
彼らは無言でそれを手に取ると、一斉にかじりついた。
「うめえ」
「ソーセージ大賞受賞だってよ」
彼らはお互い頷き合うと、「よしっ」と掛け声をかけ、ステージに向かう。
食べかけのフランクフルトが、4人の手の中で揺れていた。
ドームを歓声が包み込む。
終
田原さまのヒントを参考に飛躍したら、なぜかこんな所に着地しました。推しがいる生活、いいですよね!
田原にかさまの毎週ショートショート【ソーセージ座流星群】に参加させて頂きました。
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