【ショートショート】侵略
深夜未明、N県の農地に球体状の何かが衝突した。
翌朝、同心円状になぎ倒された稲穂に驚いた農夫が警察に通報した。件の球体はすぐに調べられたが、中はもぬけの殻だった。後の調査で、この直径数メートルの球体は、未知の金属で構成されていることが判明した。
*
ソレを最初に発見した警備員は、大きな蝸牛だと思ったと語った。
誰もいない真夜中の教室、黒板に描かれた落書きをなぞるように、ソレは黒板を這っていた。
新種発見とニュースの話題になったその蝸牛によく似た生き物は、チョークの粉を主食とした。
子供たちに『ケシツムリ』と愛称を付けられたソレは、特に保護も排除もされることなく、深夜になると黒板を綺麗に舐め続けた。
2年B組の教室に無数のケシツムリが集まり、触角を蠢かせている。
『おい、いい加減行動を起こさねばいかんぞ』
『そうだな。この星の文明レベルは我々の足元にも及ばない』
『ああ、そうだ。早いところ駆逐してしまおう』
『……だが、その前にもうひと舐め……』
チョークの粉は、彼らの星では遥か昔に禁止された麻薬だった。
その後も、教室の黒板は毎夜きれいに舐めとられ、彼らはケシツムリのままだった。
終
曲にしました😆
田原にかさまの毎週ショートショート【夜行性の黒板消し】に参加させて頂きました。
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