軽貨物の手取りはいくら?|売上50万から19万消える内訳【Her Shift】
軽貨物の求人サイトで「月収50万円も可能」という文字を見て、今のパートの手取りと比べて、頭の中で暮らしの計算が始まる。家賃、食費、子どもの習い事。50万円あれば、だいぶ楽になる。
でも、その50万円は「売上」です。会社員の給料とは違って、ここからガソリン代も車の代金も保険も、そして税金も、全部自分で払います。今日は、その引き算を一つずつやってみます。売上が月40万・50万・60万のとき、手元に残るのはいくらなのか。数字は国の公表資料をもとにしていますが、走る距離や燃費、保険料は人によって違うので、その部分は「仮置き」と正直に書いていきます。
壁①:ガソリン代は、月にいくらかかる?
まず、いちばん毎日感じる出費から。クイズです。1日100km、月22日走る軽バンのガソリン代は、月にいくらでしょうか。
–––––––答えは、およそ2万5,000円です。
計算の中身はこうです。月の走行距離は2,200km。燃費を1Lあたり15kmと仮に置くと、使うガソリンは約147L。資源エネルギー庁の給油所小売価格調査によると、2026年8月19日時点のレギュラーガソリン全国平均は1Lあたり約170円でした(※1)。147L×170円で、約2万5,000円になります。
ここで大事なのは、走行距離も燃費も「仮置き」だという点です。市街地の配達で1日150km走る人なら、ガソリン代は3万7,000円を超えます。エアコンをつけっぱなしにする夏は燃費が落ちますし、ガソリン価格そのものも週ごとに動きます。国の補助金で価格が抑えられている時期かどうかでも変わります。
つまり、ガソリン代は「月2〜4万円のどこか」と幅で覚えておくのが正直なところです。そして、この出費は車を走らせるかぎり毎月続きます。ところが、月の経費の中でいちばん大きいのは、実はガソリン代ではありません。
壁②:経費を全部足すと、いくらになる?
いちばん大きいのは、車そのものの代金です。軽バンを買うなら新車で150万円前後、中古なら数十万円。一括で払える人は多くないので、リースやローンを使う人が多く、月3万円前後という条件をよく見かけます。ここでは仮に月3万円と置きます。
次に保険です。黒ナンバー(事業用)の軽貨物は、自家用より任意保険の保険料が高くなりがちで、年に10万〜15万円ほどという話をよく聞きます。ここでは月1万2,000円と仮置きします。荷物を壊したときに備える貨物保険、それに軽自動車税(営業用の貨物は年3,800円)(※2)と自賠責(軽自動車24か月17,540円、2026年11月から18,660円に上がる予定)(※3)を月に直すと、合わせて4,000円ほど。
さらに、2年ごとの車検、タイヤやオイルの交換のために月8,000円を積み立て、スマホの通信費や駐車場代、段ボールやガムテープなどの消耗品で月8,000円。

全部足すと、月およそ8万7,000円です。売上50万円なら、この時点で残りは41万3,000円。「思ったより残るじゃない」と感じたかもしれません。
ただ、一つ大事な注意があります。この試算には、元請け(仕事をくれる会社)に払う手数料を入れていません。契約によっては売上の1〜2割を引かれることがあり、売上50万円で1割なら、それだけで5万円です。
さて、41万3,000円がそのまま自分のものになるわけではありません。ここから、会社員なら給料から天引きされているものを、自分で払うことになります。
壁③:国保と年金は、会社員とどう違う?
会社員のときは、健康保険料と厚生年金の半分を会社が払ってくれていました。個人事業主になると、国民健康保険と国民年金を、全額自分で払います。
国民年金は、令和8年度で月1万7,920円です(※4)。これは全国一律で、売上が多くても少なくても変わりません。
一方、国民健康保険は住んでいる市区町村によって計算が違います。ここでは「前の年の所得の約1割に、一人あたりの均等割を足す」という形で仮に置きました。売上40万円の人なら月2万6,000円ほど、60万円の人なら月4万6,000円ほどになります。年金と合わせると、月4万5,000〜6万5,000円が出ていく計算です。国民健康保険の額は、お住まいの市区町村のホームページにある試算ページで確かめると、より自分に近い数字になります。
会社員時代の給与明細を思い出すと、社会保険料は総支給の15%前後が引かれていたはずです。個人事業主になると、その「会社が払っていた半分」が消えるので、体感としては重くなります。そして最後に残るのが、税金です。
壁④:所得税と住民税で、手取りはいくらになる?
税金の計算には、個人事業主だけの味方があります。青色申告です。複式簿記で帳簿をつけてe-Taxで申告すれば、所得から65万円を引いてもらえます(※5)。さらに基礎控除は、令和7年分から所得に応じて58万〜95万円に引き上げられました(※6)。今回の試算では、この二つと、払った国保・年金の全額を所得から引いた上で、所得税(税率5〜20%)と住民税(約10%)を計算しています。
その結果が、こちらです。

売上40万円なら手取りの目安は24万4,000円、50万円なら31万5,000円、60万円なら37万9,000円。どのパターンでも、手元に残るのは売上の6割強、というのが今回の答えです。売上50万円の場合、消えるのはおよそ19万円。タイトルの数字は、ここから来ています。
ここで、ひとつ正直に書いておきます。この手取りには、休んだ月の収入減は入っていません。会社員には有給休暇がありますが、業務委託の軽貨物は、走らなかった日の売上はゼロです。子どもの熱で3日休めば、その分だけ売上が減ります。逆に言えば、月の稼働日を自分で決められるのも、この働き方の特徴です。
同じ「手取り」でも、正社員の配送ドライバーと比べるとどう違うのか。雇われて働く配送の仕事も並べています。
まとめ:選択肢と判断材料として
今回わかったことを並べると
軽貨物の月の経費はおよそ8万7,000円(元請け手数料を除く)
(ー)そこから国保・年金・税金を引いて、
→手取りは売上の6割強。
売上50万円で手取り31万5,000円前後、というのが仮置きの多い試算の結果でした。
「稼げる」とも「稼げない」とも、この数字だけでは言えません。1日の走行距離、車をどう用意するか、住んでいる市区町村、元請けとの契約。この4つで手取りは数万円単位で動きます。求人票の「月収50万円」を見たら、今日の引き算を自分の条件で一度やってみる。その結果を、今の仕事の手取りと並べてみる。判断材料の一つとして、使ってもらえたらと思います。
この記事は、女性のためのドライバー転職サービス「Her Shift(ハーシフト)」(運営:株式会社Unitas)がお届けしました。

Her Shiftは、女性向けに特化し、タクシー・バス・配送のドライバー職を横断して扱う転職支援サービスとして日本初(※当社調べ、2026年7月時点)。求人票ではわからないこと——女性が何人働いているか、トイレや更衣室、シフトの融通、子育てとの両立のしやすさ——を会社にじかに聞いて、一人ひとりに合った職場探しをお手伝いしています。
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この記事について 株式会社Unitas(Her Shift運営)。子育てと仕事を両立しながら働く社員が多くいる会社です。「働き続けられるかな?」を考えるときに何がわかっていると安心か、同じ目線で考えながら、会社にじかに聞いた情報をもとにお届けしています。 記載のデータは執筆時点の公開情報に基づきます(各記事内に出典を明記)。
※1資源エネルギー庁「石油製品価格調査(給油所小売価格調査)」2026年8月19日調査。レギュラーガソリン全国平均は報道で169.8円/L(本文では約170円と表記)。 出典:https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html
※2 総務省「軽自動車税の税率」四輪・貨物用・営業用 年額3,800円(自家用は5,000円)。 出典:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/102384.html
※3 自賠責保険料(軽自動車・24か月)17,540円。2026年11月1日以降の契約から18,660円に改定予定(損害保険料率算出機構の基準料率改定にもとづく報道)。
※4 日本年金機構「国民年金保険料」令和8年度 月額17,920円。 出典:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html
※5 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」65万円(複式簿記+e-Tax申告または電子帳簿保存)。 出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
※6 国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」令和7年分・8年分:合計所得132万円以下95万円、132万円超336万円以下88万円、336万円超489万円以下68万円、489万円超655万円以下63万円、655万円超2,350万円以下58万円。 出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
※試算の前提:月22日稼働・1日100km・燃費15km/L・車両リース月3万円・任意保険月1.2万円・貨物保険等月0.4万円・整備積立月0.8万円・通信等月0.8万円。国民健康保険は「(所得−43万円)×10%+5万円」で仮置き(市区町村で異なります)。住民税は所得割10%+均等割5,000円で概算。復興特別所得税を含む。元請け手数料・車両の頭金は含みません。
