人が多すぎてよく見えない。それでも実物は強かった|マリー・アントワネット・スタイル【鑑賞記録】
展覧会メモ
展覧会:マリー・アントワネット・スタイル
会場:横浜美術館
会期:2026年8月1日(土)〜11月23日(月・祝)
訪問日:2026年9月2日(水)
観覧料(当日):一般2,500円/大学生1,600円/中高生1,000円/小学生以下無料。
ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館が企画した世界巡回展で、横浜美術館が最初かつ国内唯一の会場。
一番の感想は、人が多すぎてよく見えない。
都会の美術館の人気展というものを甘く見ていた。
平日に行ったのだけれど、それでも人が多い。細かいところをじっくり見ることは難しい。
特に私が見たいのは、刺繍やビーズ、宝石、生地の質感みたいなところなので、なおさら困る。
「流れに沿って進んでください!」と誘導されて、さながら花火大会。
じっくり見たくても立ち止まってはいけない。人気展ってそんなルールなんだなと新たな知見を得る。
ちなみに、最期へ向かう展示では壁の言葉にもだいぶ煽られた。その話はこちら。
横に広がるスカート、実物を見ると良かった
写真で見ていた時には、横方向にものすごく張り出したスカートがいまひとつ理解できなかった。
なんでこんな横に広げるんだ。
威嚇なのかなー、激しくない?って思ってた。
でも実物を見ると完全に成り立ってた。
盛り髪「プフ」と、パニエで左右に大きく張り出した「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」を組み合わせて考えてみると、むしろ全身のバランスが取れている気がする。
フランセーズは正面から見た時に生地が広々と見える。柄も刺繍も装飾も、服の形の中に埋もれず、ちゃんと前に出てくる。
これだけ面積があれば、生地を作る人もよく見えて嬉しかろう。
服というより、生地や装飾を見せるための大きな展示面みたい。
そして襟ぐりから落ちる、ボックスプリーツのような深いヴァトー・プリーツが大変好み。
写真では「変わったシルエット」くらいだったものが、実物を見ると急に納得できる。これは面白かった。
ドレスの展示であって頭部はついてないので、そこは想像。
宝石は普通に超かわいい
宝石は普通に超かわいかった。
そして、複製ではない当時のビーズ刺繍が施された生地。
これがものすごく良かった。
薄暗い展示室の中でも、細かいビーズが光を拾ってきらきらしている。
近くでじっくり見たい。刺し方も見たい。どのくらいの密度なのかも見たい。しかし人が多い。
展示室に入って10歩ほどで思った。図録買おう。
図録買おう。
帰りの新幹線でさっそく「何をどんな風に刺してるんですかー?」と開いてみる。
ビーズが見えない。
おお、神様、これどう思います。
あんなにきらきらしていたのに、写真になると「模様のある生地」くらいになっている。
図録は展示全体の記録としてはもちろん役に立つ。でも、私が見たかった情報とは少し違った。
本当に大切なところは、自分で撮った方がいい
そして今回、カメラを持ってすら行かなかった。
図録を買えば解決だと思っていた。
でも、図録を作る人が残したい写真と、私が後から見返したい写真が違った。
芸術写真を専攻しているけれど、写真を学ぶことは作品制作だけのためではないのかもしれない。
自分が何を見たのか、自分に必要な情報を自分で残す。
想定外のところで生活に効いてくる気がする。
図録は図録の仕事をする。
自分の写真は自分の仕事をする。
次にこういう展示へ行く時は、ちゃんとカメラを持って行こう。
だがしかし、いくら小さいといえども一眼。この雑踏で取り出すのが申し訳ない。前方に20cmせり出す勇気がない。
こんな人混みで撮るならコンデジなのか。いや、そこまでして撮るのか。新たな問題「懐疑的な物欲」が発生した。
ちなみにこの東京・横浜行きで私が撮った写真は、疲れ切って寝ている伯母の写真だけだった。本当に写真が好きなのか、おいあんた、という新たな疑問もある。どうも私は写真より体験が一等賞らしい。見ている最中に写真を撮っている場合ではないのである。
しかし、図録。
ああ、図録。
写真を頑張れ。
撮らなくて良いならそれに越した事はないから。
