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ここだけは、譲れない

夫と入籍する当日、夫の本籍が前妻の実家のままだったことが発覚。


しかも、「もしかしたらその前妻の本籍に一度入らないといけないかもしれない」と戸籍係の方に言われ、私の堪忍袋の緒がけたたましい音を立てて切れた。

熱海の市役所で、「絶対に嫌だ!!!」と声を上げる私。

その私を怪訝そうな顔で見ながら、夫が言った。

「俺も悪いけど、半分は、自分も悪いよね」

今まで何度も聞いてきた言葉だった。そして、「そうだよね」と平気だった言葉。

けれど、そのとき初めて、腹の底から怒りが込み上げてきた。

(あ、ここは絶対に譲ってはいけないんだ)

そう感じた自分に、気づいた。


それが、奥宮を感じた初めての瞬間。

誰にも犯させてはいけない、内側の核。名前もなかったそれに、ようやく言葉が見つかった話をしようと思う。




奥宮、って何だ

神社に行ったことがある人なら、見たことがあるかもしれない。

参道の奥の奥。本殿を超えた、さらに先にある場所。

人が少ない。静かだ。空気が、明らかに違う。

それが、奥宮だ。


本殿は、参拝者を迎え入れるための場所だ。

整備された石畳、鳥居、礼拝の空間。外の世界と繋がるための、公の場。

でも奥宮は違う。

御神体そのもの、あるいはより深い霊的な核が、そこに宿っている。

奥宮は、誰かを迎えるためではなく、神聖さを守るために存在している。


あげあげヒメヒコ制度

この構造が、男女の関係と同じだと私は思っている。

じゃあ、それってどんな男女関係なの?というと、お互い支え合い成長し合う、あげあげな関係だった。

(お下品な表現で失礼致します、、、)


現代の「あげまん」という文脈は実は古代からあったし、むしろ、あげまんが存在したから日本って国が創始されたのでは!?とすら考えている。

ここからは、あなたが生まれたこの国の、古のあげまん文脈について触れていく。


卑弥呼を思い出してほしい。

3世紀、邪馬台国の女王。「鬼道を事とし、よく衆を惑わす」と魏志倭人伝に書かれた女性。

彼女の傍らには、必ず男性の補佐役がいた。


ヒメが、内を司る。霊的な世界と繋がり、神の言葉を受け取る。

ヒコが、外を動かす。世俗の事柄を処理し、世界に働きかける。

どちらが上でも、下でもない。

ヒメの霊的核が満ちているから、ヒコは外の世界で動ける。方位磁石が機能するから、船は進める。これが、ヒメヒコ制だ。

そしてこれが、日本における最古の「あげあげ」の構造だ。(口悪くてすんませんw)


じゃあ、ヒメの「霊的核」って、具体的に何だ。

それが、奥宮だ。

ヒメが守る、誰にも触れさせてはいけない内側の核。それがあるから、ヒメはヒメでいられる。それがあるから、ヒコは向かう場所を持てる。


本殿だけになった女の話

でも、現代の女たちはどうだろう。

「協調性」という名の下に、奥宮を明け渡してきた。「我慢できる私、えらい」と刷り込まれてきた。

「波風立てるな」「丸くなれ」「大人になれ」——


優しく。

従順で。

包容力があって。

いつも朗らかで。

その上、男性社会の中で成果を上げることがシゴデキでデキ女。
いわゆる、経済的自立を果たせている女性かっこいいよね
って文脈には、ここ最近馴染みがある。

(経済的自立ができるっていうことには大賛成だし、ディスっているわけではない)


その結果、本殿だけになった。

単純にヒコ(男)がやること、なくなった。
ヒメ(女)も本殿をやってくれるんだもん、
男はどんどん、本来の役目を忘れて独りよがりになり始める。

女はそれを許し続けるし、ますます本殿としてはマッチョに逞しく活動できるけど、奥宮は置いてけぼりになる。

これが、あげあげどころか、お互いを下げ合う構造のはじまりだ。

私も2度目の結婚を機に、私もいかに自分が誤解したあげまんをやって、さげまんをしていたかってことに痛く気付かされた。


あの日、核が声を上げた

さぁ、熱海の市役所に、戻ろう。

「半分は、自分も悪いよね」

夫のその言葉を、私はそれまでも何度も聞いてきた。そして「そうかもね」と飲み込んできた。

それが「大人の対応」だと、どこかで思っていた。


でもあの日、私の奥宮が、初めて声を上げた。

それは怒りだった。でも、ただの感情じゃなかった。

腹の底から、核が命令した感じ。
「ここだけは、誰にも侵させるな」という、古い声。

言葉が追いついたのは、あとからだ。

でも確かにあった。ずっと前から、そこにあった。

この声を、私が疑わずに受け取り、初めて夫に伝えたときは
夫は理解不能状態に陥って、最初は不貞腐れていた。

そりゃそう、今まで許されていたことが、許されなくなったんだから。

だけど、諦めずに、わかってくれる優秀な本殿だと信じ続けた結果、
彼は今や、私がご機嫌かどうかにすら、責任感じて動いてくれる本殿に成長を遂げている。

その結果、私が私に当たり前として課していた家事の大半を、夫がやり、さらには家に生花を欠かさず飾り、黙って水を変え、私の快適をいつも作り続けてくれる人になった。(180度以上の変化!笑)


そう、奥宮は、消えない。
消えていないんですよ。

あなたが感じることをやめてきた分だけ、静かになっている。
でも、なくなったわけじゃない。

扉が閉まっているだけだ。


今日、一つだけ

最後に、一つ聞かせてほしい。

「私はこれでいい」という言葉を、最近自分に言っていないか。

それが本当に「いい」のか。それとも、感じる力が鈍った末の「いい」なのか。


一歩だけ、踏み出してみてほしいとしたら、これだ。

「譲れない」と感じた瞬間を、今日一つだけ思い出してみてほしい。

最近でなくていい。ずっと昔でもいい。

「あのとき、本当は嫌だった」という記憶でいい。


飲み込まなくていい。解決しなくていい。

ただ、感じた自分を、認めるだけでいい。


綱引きしながら、それでも抗えなかった、あの違和感。

あれが、あなたの奥宮の声だ。

扉はずっとそこにあった。

鍵は、あなたがずっと持っていた。

ようこそ、奥宮へ。


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