「断りたいのに、送れない」そんな時にできること
断りのメッセージを打とうとしていた。
「今回は見送らせてほしい」
「少し余裕がないから、また今度にしたい」
「ごめんね、今回は難しい」
そう書きたいのに、なかなか指が進まない。
これを送ったら、相手はどう思うだろう。
冷たいと思われるだろうか。
私に嫌われたと思わせてしまうだろうか。
傷つくだろうか。
そう考えているうちに、
さっきまで確かにあったはずの「嫌だ」が、
だんだん奥へ引っ込んでいく。
本当は、断りたかった。
本当は、無理したくなかった。
本当は、少し休みたかった。
それなのに、
相手が傷つくかもしれないと思った瞬間、
自分の気持ちの方を、先に引っ込めようとしていた。
相手が傷つくと思って、
私が先に傷ついていたのかもしれない。
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◆ 「相手が傷つくかも」と思った瞬間に
相手を傷つけたくない、と思うことがある。
断ったら、相手が傷つくかもしれない。
嫌だと言ったら、相手を否定したことになるかもしれない。
距離を取ったら、相手を悲しませるかもしれない。
そう思った瞬間、
自分の「嫌」が後ろに下がる。
自分がどう感じているかより先に、
相手がどう受け取るかを考えてしまう。
もちろん、
相手を雑に扱いたくない気持ちは大切だと思う。
わざと傷つけたいわけではない。
強い言葉で刺したいわけでもない。
相手の心を踏みつけたいわけでもない。
だから、言い方を選びたい。
できるだけ乱暴にならない形で伝えたい。
相手の心に、雑に触れたくない。
それは、たぶん優しさでもあると思う。
でも最近、
その優しさの奥に、
もうひとつ別の動きが混ざっているのかもしれないと思った。
私はもしかすると、
自分の傷つきやすさを、
相手に重ねていたのかもしれない。
◆ 私なら傷つく、だから相手も傷つくはず
もし自分の誘いを断られたら、少し傷つく。
嫌われたのかな、迷惑だったのかなと考えてしまう。
自分の言葉を受け取ってもらえなかっただけで、
否定されたように感じてしまうこともある。
だから、
相手も同じように傷つくかもしれない、と思っていた。
私なら落ち込む。
私なら気にする。
私なら、しばらく引きずる。
だから、相手もきっとそうなる。
そうやって、
まだ起きていない相手の傷を想像して、
その前に、自分の「嫌」を飲み込もうとしていたのかもしれない。
でも本当は、
相手がどう受け取るかは、相手にしかわからない。
「あ、そうなんだ」と受け取れる人もいる。
少し残念に思っても、切り替えられる人もいる。
こちらが思うほど、深く傷つかない人もいる。
もちろん、傷つく人もいると思う。
ただ、それは相手の心の動きであって、
こちらが完全に先回りして管理できるものではない。
ここを混ぜると、苦しくなる。
相手の心を大切にすることと、
相手の心の管理者になることは違う。
私はたぶん、
このふたつを、よく混ぜていた。
◆ 自動で、自分の嫌を引っ込めていた
大事なのは、
いきなりうまく断れるようになることではないのだと思う。
強く主張できる人になることでも、
相手を気にしない人になることでもない。
まずは、
自分の中で何が起きているのかに気づくこと。
「あ、私は今、相手が傷つくと思っている」
「あ、だから自分の嫌を引っ込めようとしている」
「あ、相手の反応を先回りして、自分を小さくしようとしている」
そこに気づくこと。
今までなら、
そのまま飲み込んでいたかもしれない。
「大丈夫」
「気にしないで」
「私が合わせるよ」
そう言って、
自分の中にあった嫌を、
最初からなかったことにしていたかもしれない。
けれど、
その手前で気づけたら、
少しだけ間ができる。
私は今、相手が傷つくと思っているんだな。
だから、自分の嫌を消そうとしているんだな。
そう見えるだけで、
自動的に我慢する流れから、
少しだけ降りられる気がする。
◆ それは本当に、相手の傷なのか
次に、
「これを言ったら、相手が傷つくかもしれない」
と思ったら、一度だけ自分に聞いてみたい。
それは本当に、相手の傷なのか。
それとも、
私が傷つくと思うから、
相手も傷つくはずだと感じているのか。
相手の傷を、
勝手に自分が先取りしていないか。
相手を大切にすることと、
自分の気持ちを消すことは、同じではない。
嫌だと言うことは、
相手を攻撃することではない。
断ることは、
相手を否定することではない。
距離を取ることは、
相手を見捨てることではない。
本当はただ、
自分の境界線を確認しているだけなのだと思う。
ここから先は苦しい。
今回は引き受けられない。
その言い方は、私は少しつらい。
今は、少し休みたい。
そう感じることまで、
なかったことにしなくていい。
◆ 送る前に、一回だけ確認する
もし次に、
「断りたいのに、送れない」
と思ったら、いきなり文章を整えようとしなくていい。
まず、自分の中で一回だけ確認したい。
「あ、私は今、相手が傷つくと思っているのかもしれない」
「あ、だから自分の嫌を引っ込めようとしているのかもしれない」
そこに気づけたら、
次に見るのは、相手の反応ではなく、自分の感覚だ。
本当は、どうしたいのか。
どこまでなら大丈夫なのか。
何を越えると、あとで苦しくなるのか。
そのうえで、言葉は短くていい。
「今回は難しいです」
「今は少し余裕がありません」
「また無理なくできそうな時にお願いします」
理由を全部説明しなくてもいい。
相手が絶対に傷つかない言い方を探し続けなくてもいい。
まずは、
自分の嫌を消さないまま、
できるだけ雑にならない言葉に置き換える。
それが、
「断りたいのに、送れない」時にできる、
小さな一手なのだと思う。
◆ 自分の嫌を、最初から消さない
断りたいのに、送れない。
そんな時にできることは、
いきなりうまく断ることではないのだと思う。
まず、
「あ、私は今、相手が傷つくと思っている」
と気づくこと。
そのうえで、
自分の嫌を最初から消さないこと。
そして必要なら、
短く、雑にならない言葉に置き換えること。
相手が傷つくと思って、
私が先に傷ついていた。
そう気づけたら、
すぐに強く主張できなくてもいい。
その場で完璧に境界線を引けなくてもいい。
きれいに断れなくてもいい。
ただ、
自分の「嫌」を最初からなかったことにしない。
相手の心を大切にすることと、
自分の心を先に差し出すことは、同じではない。
そこを少しずつ分けられたら、
相手を大切にするまま、
自分のことも置き去りにしないでいられる気がする。
よければ一言だけ。
いまのあなたにいちばん近かった一文、どれでしたか。
(読むだけでももちろん大丈夫です)
▼合わせて読みたい
今回の記事では、
「断りたい」と思っているのに、
相手が傷つくかもしれないと思った瞬間、
自分の気持ちを先に引っ込めてしまうことについて書きました。
近いところで、
相手の気持ちを読むことが、
いつの間にか自分の基本形になっていることがあります。
読めてしまうことと、
その気持ちを引き受けることは、別でいい。
そんな視点について書いた記事です。
もうひとつは、
相手の不安や不満を受け取りすぎて、
いつの間にか自分が処理する側になっていた、という話です。
相手を大切にすることと、
全部をこちらで受け取ることは違う。
その境目を少し見直すための記事です。
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ご紹介くださり、ありがとうございました。
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