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「祖母の死」と、「アダルトチルドレン」と「毒親」と


 先日、95歳の祖母が亡くなりました。
 
 本当は、自分の身内のこと、しかも亡くなった人のことを悪く言うのは少し気が引けるのですが・・・
 
 祖母は、私の母親にとって、
 正直「毒親」だったと思っています。
 
「毒親」といっても、あからさまな育児放棄や虐待ではなく、外からはわかりにくい、いわゆる「世間体を気にして、子供を自分の思い通りに支配する」タイプの「毒親」でした。
 
 若かりし祖母は、幼い母に、あまり愛情を示してくれなかったようです。育児放棄とまではいかないまでも、祖母からは、わりと放っておかれることが多かったといいます。

 ある日、母の小学校の先生から、「お子さんの成績が悪い」という指摘をされた祖母は、怒りを覚えます。
 自分の頭の良さには自信があった祖母は、信じられないのと同時に、出来の悪い子供を持った親と見られることの恥ずかしさからか、母に勉強を強要するようになります。
 でも母いわく、いくら時間をかけて勉強しても、なかなか成績は上がらなかったそうです。

 祖母もそんな母に、勉強については見切りをつけたのか、今度はピアノを習わせます。
 母は、レッスンが終わった後も、毎日何時間もピアノの椅子に縛り付けで、練習を強要されたそうです。

 祖母の言い分としては、「勉強ができないこの子は、このままでは将来どうしようもないと思った。せめて、ピアノを習得させて音楽教師にでもなって食いっぱぐれることがないようにと、子供の将来のためを思ってしたこと」だと。

 でも、母からすると「勉強ができないだけで、自分の存在を全て否定されたように感じ、好きでもないピアノを無理やり強要されて辛かった」と、幼い頃の私は母から何度も聞かされました。

 そんな祖母に育てられた母は、とても「不安」を感じやすく、大人になってからも祖母からなかなか離れられず、反発しながらも祖母の支配下にいました。

 母は、いわゆる「アダルトチルドレン」なんだと思います。

 そして、そんな母親に育てられた私も、もしかしたら「毒祖母」の影響を少なからず受けてしまったかもしれません。

 私は、就職を機に、地元を離れて二十数年。
 祖母や母からは、物理的に距離ができていましたし、しばらく音沙汰がありませんでした。

 そんな母親から、久しぶりに連絡がきたと思ったら、祖母の訃報でした。

 案の定、依存する祖母という存在を失った母は、不安からか自分の抱える不安や心情を吐露する内容のメールや連絡を、私に頻繁にしてくるようになりました。

 私も私で忙しいので、「不安なのはわかるが少し連絡を控えてほしい」と伝えたところ、
「世話になった親に対して冷た過ぎる」と逆ギレされ、挙げ句に、あれだけ批判していた祖母のことを、「厳しく育ててくれたおかげで生きてこれた」と擁護するようになったのです。

 その様子に、祖母の面影を見て恐怖を感じてしまった私は、母とは、物理的距離だけでなく、心の距離も取ることにしたのです。

 具体的には、母から送られてくる大量の逆ギレメールを、そのままそっくり母へ返送することにしました。

 「私は、母から何も受け取るつもりはない」という意思表示のつもりでした。

 母も、自分が送るメールの内容が、祖母の言動と似ていることを自覚してきたのか、じきに母からの連絡は来なくなりました。

 世間的には、冷たい娘に見えるかもしれませんが、私は私を守るため、私の子供たちを守るため、今の母とは境界線を引かざるを得なかったのです。

 このまま、もしかしたら母とはわかり合えないままになるかもしれません。でも、それでもいいと思っています。
 わかってほしいなどと、期待はしないほうがいいと。
 
 そのかわり、逆に私自身が「毒親」にならないよう、自戒をしながら子供たちに向き合うことが大切だと、あらためて肝に銘じる日々です。