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新しさには先例がある ~京極派スペース抄~

「心のままにことばの匂ひゆく」ように歌を詠む――鎌倉・南北朝時代の和歌文脈において異色であったこの歌論を、京極派という和歌グループは選択しました。
その京極派について、X(旧Twitter)にて毎週お話しています。

この記事は、そんな京極派スペースの音声を読み物として整えた京極派スペーステキスト版の一部を抜粋したものです。



2026年3月28日放送スペース「花を詠んだ京極派和歌(玉葉集)」
5月13日テキスト化した「『玉葉集』の花盛り」より。

敵対する二条派から攻撃されがちな京極派・為兼は、どのように自流の正当性を主張したのか。
その一例を、今回テキスト版から抜粋しご紹介します。


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新しさには先例がある ~京極派スペース抄~

「山もとの鳥の声より明けそめて」の鳥は小鳥ですね。コケコッコじゃないです。

京極派は「鳥」というのを鶏以外の小鳥の意味で使うことがあります。
為兼も『玉葉集』の最初のほうにその歌を置いています。

鳥の音ものどけき山のあさあけに霞の色ははるめきにけり

京極為兼

これはコケコッコではなくチュンチュン、チーチーです。

「鳥の音/声」のそうした使い方が根拠のないことではなく、きちんと先例がある、
と示す意味で、二条派も尊重する藤原定家の歌を同じ『玉葉集』に為兼は入れています。

鳥の声霞の色をしるべにて面かげにほふ春の山ぶみ

藤原定家

先例を示さないと悪口言われますからね。示しても悪口は言われますが。
「あなたたちの大好きな定家さんだってやっていますよ」と示すために定家のこの歌を『玉葉集』に入れた、
というそれだけが入集理由ではもちろんないですが、そういう意図もあっただろうと考えられます。


永福門院のお歌に戻りますが、この「鳥の声より明けそめて」も小鳥の声ですね。
チュンチュン、ピーピーのさえずり。コケコッコじゃないです。


先ほど岩佐先生の解説も紹介しましたが、

この4首の並び、京極派の女性歌人の4首はすべて、伝統的な花の詠み方から外れた、前衛的な詠み方をしているんですが。
その前に3首、三条実房、西園寺公経、そして藤原定家と前時代の歌人の詠があります。
岩佐先生によると、

上来三首、新古今歌人の京極派的表現詠を連ねて、京極派女流歌人詠につなぐ。

岩佐美代子『玉葉和歌集全注釈 上』196「山もとの」の補説

ということで、
「いや、新古今時代の人たちもやっていましたからね。
私たちのやっていることを伝統にそぐわないとか悪口言う人たちがいますけど、定家さんたちもやっていましたからね」
ということを示したい意図もあってのこの排列だろう、ということです。


「京極派スペース抄」は以上です。ありがとうございました。


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京極派スペース抄


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この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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