続・今日もこの店、あけときます。〜❶まいごのまいごの〜



この子が来たのは、3日前。

何か事情があるのかな?

しばらくの間、
お店で預かることにした……


気持ちよさそうで、いいねぇ〜♫


なんだかとっても気まぐれ。
だけど、お店の近くからは離れようとしない。

なのに、
呼んでも全然寄ってきてくれない。

「おぅい。おいで」

「眠いのかな〜」

 猫も猫なりに、
 思うところがあるのかもしれない。



 ひょっとして……
 名前を呼んだら、来てくれるかな?


 ………

あ。名前も何も……

この猫のこと
僕は全然知らない。。


「今ごろ気づいたの?ハァ。」

 そんな表情でしっぽの毛づくろいをしながら、
 チラリとこちらを見てくる。

 僕もため息をついて、
 猫が仰向けになってあくびをしている姿を
 なんとなく見守る……




「こんにちはーっ」



カランコロン♪

元気な声と一緒に、
爽やか少年が店に入ってきた。

こちらの様子を伺いながら、
少年は口を開いた。



「あの……」

 店の中をキョロキョロ見回す。


「このへんに、
 猫いませんでした?」


「猫?」


 僕は、
 ちょうどご飯を食べ終えた猫を見る。


 猫も、
 少年を見る。

 ……

「あっ!」


 少年の顔が、
 ぱっと明るくなった。


「いたーーーっ!」


 勢いよく駆け寄る。

 僕も、
 ちょっと安心した。



「よかった。
 この子、あなたの猫だったんですね。」

「はい!」

 少年はしゃがんで、
 両手を広げた。



「おいでっ!」

 ……

 猫はなぜか、動かない。





もう一度、気を取り直して
少年がやさしく声をかける。



「お・い・で〜!」

 ……

 猫は、
 顔の毛づくろいを始めた。





「えーっと…ところでこの子
 名前、なんていうんです?」

「あ。この子ですか?」

 少年は、
 にっこり笑った。



「まだ決めてません。」



「え?」

「1週間くらい前から、
 うちの庭に来るようになったばっかりで。」

「ええっ?」



 少年は猫を見る。


「3日前くらいに見かけなくなっちゃって、
 探してたんです。」



 ……

 僕は、
 猫を見る。

 猫は、
 知らん顔。



「じゃあ……
 あなたの猫でも、ないんですか?」


「はい……そうですけど。」


「んなっ!?……な、なるほど〜💦」


少年はそんなこと全く気にならない素振りで、
猫の隣に座った。


お前いい座布団、見つけたな!







「じゃあ、今日はここにいる?」


 少年が声をかけると、
 猫は、ゆっくり目を閉じた。


 ……

「いるみたいですね。」

「ですね〜。」



 少年は立ち上がった。

「じゃあ、また来ます!
 明日も、帰る気になったか聞きに来ます。」

「明日帰らなかったら、毎日?」


「はい!」



カランコロン♪


元気よく、
少年は帰っていった。


……

僕は、猫を見る。

猫も、僕を見る。



「どうするの?」


「にゃ。」



 ……




その日から。

少年は毎日、
店にやってくるようになった。

でも猫は帰らない……の繰り返し。





❷に続く