【期間限定・無料全文公開】「不明白播客」元中国共産党校教授の蔡霞氏に聞く(後編):なぜ習近平は「側近を粛清」したのか?
米「ニューヨークタイムズ」紙の中国人記者、袁莉さんがホストをつとめるポッドキャスト「不明白播客」から、元共産党幹部候補生学校教授の蔡霞さんによる、現在の中国の政治体制に関するお話の後編をお届けする。
今回も10月に行われた中国共産党の第4回中央委員全体会議(四中全会)を巡る内容だが、前編では主に中国人民解放軍の大粛清と習近平が軍に向けた視線に関する話題をお送りした。今回は、この四中全会でなぜ、習近平の腹心と思われていた人たちが次々と粛清されたのか、軍と政治指導部の間で何が起きているのかが解き明かされる。
前編の内容と同じように、今回も日本メディアの解説ではまったくみられなかった視点であり、大変納得させられる内容となっている。
なお、袁さん及び蔡霞さんについては、これまでも何度かご紹介してきたので、ここでは省く。気になる方は過去記事を参考にしていただきたい。
記事起こしに当たって、いつものように[]で筆者による注釈や解説、わかりにくい部分の補足を行った。
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◎「不明白播客」元中国共産党校教授の蔡霞氏に聞く(後編):なぜ習近平は「側近を粛清」したのか?
●軍部9人の更迭は「クーデター」だった
袁莉(以下、袁):今回の会議で特に注目されたのは、張昇民[*23]の中央軍事委員会副主席の補任でした。彼はいま、中央軍事委員紀律委員会書記と中央軍事監督委員会の党委員会書記を兼任しており、ミサイル部隊の上将ですが彼の昇格をどう見ていますか? すでに一部メディアは彼を「腐敗撲滅のツァーリ」と呼んでいますが、習近平が腐敗撲滅や粛清を継続するための人事なのでしょうか?
[*23]張昇民:1958年生まれの中国人民解放軍の上将で、中央軍事委員会副主席、中央紀律検査委員会副書記・書記を兼務し、腐敗撲滅の指導的役割を担った。陸軍からミサイル軍にかけて要職を歴任し、今回張又侠のバックアップで中央軍事委員会副主席に抜擢された。なお、張又侠とは同じ姓だが、血縁や親戚関係にはない。
蔡霞(以下、蔡):軍内の粛清はまだ終わっておらず、これからも続きます。ただ、それを主導するのが張又侠なのか、習近平なのかは断言できません。
張昇民の軍事委員会副主席への抜擢を語る前に、「9上将の去就公開」について触れるべきでしょう。
四中全会開催の3日前の10月17日、国防部[国防省に相当]の報道官が突然、何衛東ら9人の上将の党籍・軍籍剥奪処分を公式発表した。とはいえ、党籍剥奪については四中全会が承認する必要があるわけですが。
でも、本来は国防部は一政府機関であり、一方処分された何衛東は政治局委員や軍事委員、つまり準閣僚級の地位にありますから、国防部にはその処分を発表する権限はありません。それにもかかわらず、国防部はあえて四中全会に先駆けて処分を公表した。
これは一部では、「クーデター」だと言われています。ならば、国防部が9人の上将処分を公式発表することで、張又侠が追い詰めようとしたのは誰なのか。
……もちろん、習近平です。ならば、張は習に何を迫ったのか。
中国共産党内部の規定では、中央委員会全体会議[中全会]の議題は政治局が投票によって決めることになっていますが、実際には総書記、つまり習近平が決定権を握っている。そこで政治局が正式に処分を決めなければ、習の一存で苗華や何衛東が「逆転復活」する可能性もありました。
張らはそれを封じるために、先に公表してしまい、四中全会がこの問題を避けることができないようにしむけたのです。結果として、四中全会は上将9名の党籍剥奪を「追認」する形になった。一方の軍籍については軍内で簡単に処理できることです。
張昇民は軍内部で腐敗撲滅を担当しており、軍の紀律検査委員会を率いています。今回の上将9人の摘発にも彼の部署が深く関わっています。だから、[張又侠は]今回の処分で空いた軍事委員会副主席の席に彼をつけたのです。
一方、政治局委員には、天安門事件(1989年)以降の慣例で軍から2人入ることになっています。何衛東は軍事委員会副主席であると同時に政治局委員を務めていたので、本来なら軍事副委員会主席となった張昇民は、同時に政治局委員にもなるはずでした。ですが、張昇民は「片っぽだけ昇格」、つまり軍事委員会副主席にはなったものの、政治局委員には入れなかった。
袁:そのルールはどういうものなのですか? もし習近平が張昇民を政治局委員に昇格させたければ、四中全会はそれを論じることができる場ですよね?
蔡:そのとおり。中央委員全体会議では政治局委員の補充を行うことができることになっています。
袁:つまり、そこで彼が軍事委員会副主席に任命されながら政治局に入れなかったのは、かなり微妙なことなんですね?
蔡:そう、とても不自然です。
もし張昇民が、習近平のために軍の不正な人間を粛清したのなら、それは立派な功績のはず。習近平が政治局委員の地位を与えないはずはありません。
でも、軍事委員会副主席にしたのに政治局委員にはしないということは、張昇民が習近平の側の「担当者」ではなかった、ということを意味しています。
●不可解な人事と習が抱える不安
袁:では、[習近平は]なぜ張昇民に中央軍事委員会副主席の職を与えたのでしょうか?
蔡:まず、少し説明を付け加えますね。
1989年の天安門事件の鎮圧の功績によって、第14回党大会で古参の軍人である劉華清が中央常務委員会[共産党中央執行部の最上位機関]に入りました。
しかし、1997年の第15回党大会以降、中国共産党は「軍人は政治に関与しない」方針に転じ、軍人は中央常務委員会に入れなくなった。その後、制度として定着したのが「中央政治局委員25名のうち、2席を軍に割り当てる」という仕組みです。これが制度化したわけです。
つまり、張昇民が中央軍事委員会副主席に就任した以上、政治局にも入って政治局委員になるのが筋でした。しかし今回はそれをさせなかった。私は、その理由は2つあると見ています。
まず、習近平にとって、この軍事委員会副主席の補任ですら、「やむを得ず」の措置だった可能性です。
次に、中央政治局の定員は25名ですが、第20回党大会の時、習近平は敢えて24名に、つまり「欠員状態」にした。もし今回の四中全会で、[何衛東が抜けた]1人分を補うのであれば、[本来欠けている]もう1つの空席も補うべきでしょう。それでは、もし張昇民を政治局委員としたら、もう1人の席に誰を据えるか?
現時点での報道を見る限り、党内の上下から比較的評価が高いのは胡春華[*24] です。しかし、習近平が胡春華を政治局委員に戻すことを認めるでしょうか?
[*24]胡春華:胡春華は元国務院副総理。内モンゴル自治区党委書記や広東省委員会書記を歴任し、習近平の前任胡錦濤と同じ共産主義青年団の出身であり、胡錦濤の寵愛を受けた。次期指導者候補と目されていたが、2022年に中央政治局委員から外された。
もしそんな人事を行えば、単に胡春華や張昇民の起用人事話に留まらず、習近平自身の権威低下が一気に露呈してしまう。習にとって絶対にできないことでした。
ご質問に戻りましょう。なぜ張昇民は中央軍事委員会副主席の後釜に任用されたのか。
それは軍隊が 「双首長制」[司令官と政治委員の二頭体制]を採るからです。軍事委員会副主席は軍事を掌り、何衛東は軍内の政治工作を担当していました。中国では軍隊は政治によって構築されており、「党による軍への絶対的な指導」や「党による銃の指揮」が政治工作によって担保されています。
このため、軍の各兵種・各戦区には、必ず司令員と政治委員という2人のトップがいます。今回、張昇民が任用されたのは政治工作システムにおける軍事委員会副主席の後釜だったというわけです。
●軍には習が信頼する人物がいない
袁:もう一つ注目されている点があります。今回の四中全会では、14名の中央委員や候補委員が党籍を剥奪されました。一方で、11名が中央委員に補任されています。この人数はどちらも、罷免、任命ともに中国共産党の全体会議における過去最高の数となりました。これはどういうことなのでしょうか?
蔡:本来なら欠員が出ただけ補うのが筋ですよね。中央委員会の候補委員はたくさん人数がいるのですから。
ただ、[党籍が剥奪されたとはいえ、]一部の降格者には、まだ調査中で最終結論が出ていない者もいるわけです。最終的に問題なしと判断されれば、ポストはそのまま保たれ、処分が軽く済む可能性もあります。だから現時点で全ての欠員を埋める必要はなかったのです。
もう一つの理由としては、先ほど触れた軍内の問題です。
今回、軍所属の中央委員8名が党籍と軍籍を剥奪されましたが、軍からは1人も中央委員が補われていません。本来なら軍の候補委員から高い順位の者が繰り上がるのが当然ですが、今回はそこを飛ばして別人を任用している。多分、軍については「十分に掌握できていない」ために、あえて軍から補わなかったのでしょう。
今回起用された11人の中央委員は、すべて地方の党政務関係者です。私はまだこの11人の経歴や政治的背景を完全には把握できていないので、全員が習家軍[*25]かどうかの断言はできません。ただ、少なくとも補任されるべき軍の中央委員は1人も補われていない。習はそこまで軍を無茶苦茶にしたということですね。
[*25]習家軍:中国共産党内で習近平総書記の嫡系派閥を指す。習近平の過去の勤務地(浙江、福建、陝西など)で共働した人材や信任厚い側近が中心。二十大で中央委員の多くを占め、党の権力基盤を形成。習政権の政策実行を担うが、内部粛清の標的にもなっている。
●「党の崩壊」は経済から起こる可能性も
袁:蔡先生は公開イベントの際に、「もし習近平が経済をダメにして、元指導者の長老たちの生活も立ち行かなくなれば、彼らは立ち上がって習近平に対抗するだろう」とおっしゃいました。
続いて、長老たちにその力が残っているのかなどの話題も上がりましたが、さらに疑問があります。それは、「習近平は別に経済を良くするかどうかより、現在の状況を保とうとしているのでは?」ということです。
というのも、ここ数年蓄えた財産があり、2035年には「社会主義現代化の基本的実現」などとも口にしています。
そうすれば、彼はずっと権力を握り続けられるし、2027年の連任も問題なく、統治の正当性も特に脅かされない[と考えている]のでは?
蔡:現実はそうたやすいものではないでしょう。
トウ小平は「2049年までに中国は、世界の中等発達国の水準に追いつく」と言いましたが、習近平はそれを14年も前倒しして2035年と言った。14年も前倒しするのであれば、今の経済は極めて良好でなければならないはずです。しかし、実際には無茶苦茶な状態です。経済がここまで悪化していなければ、長老たちが立ち上がって彼のやることに口を出すことはないはずです。
でも、2023年に李克強が亡くなり、李強[*26]が総理になった。しかし、李強がどれだけやっても経済は上向かない。李強にしても何立峰[*27]にしても、経済を立て直す能力がないわけです。
[*26]李強:1959年生まれ。第8代国務院総理(首相)で、習近平の側近。浙江省や上海市で要職を歴任し、テスラ上海工場の誘致など経済政策に実績。2023年に総理就任、党内序列第2位として習政権の経済運営を主導する。
[*27]何立峰:1955年生まれの中国政治家。アモイ大学経済学博士。福建省や天津市で経済開発を推進し、習近平の信任が厚く、習家軍メンバーの一員とされる。2023年、国務院副総理兼党中央財経委員会弁公室主任に就任。経済政策の司令塔として、成長戦略や財政改革を担う。
2024年はさらに悪化し、今年に至っては失業問題・収入問題に加え、公務員の給与が半減し、央企・国企の職員は過去のボーナスを返上させられ、銀行員まで返納させられている。これらの人たちはすべて「体制内部の人間たち」です。
経済は全般的に非常に悪い状態で、だからこそ長老たちが手を出しつつある。長老が介入するのは習近平に「実績を作らせる」ためではなく、「党が崩壊しないようにする」ためです。
中国経済がここまで下向きになり、問題が解決できないなら、中国共産党の支配は維持できませんし、政権を維持することが不可能になります。
だからこれからは、四中全会の後に十五五(第15次5カ年計画)で経済が上向くかが焦点になります。もし上向けば、習近平は2027年の第二十一回党大会で再任を狙うでしょう。
しかし経済がダメなら、連任などできない。彼のおかげで船が転覆仕掛けているわけですから、彼の思いどおりにはいきません。
「経済は悪化し、失業は拡大し、国民の収入は下がり続け、民も官も食えない」状態が現在の状況です。だから私は、習近平は今後、連任の正当性を見つけられないし、そもそもその正当性を持ちえていないと見ています。
袁:四中全会後に出た公報には、「雇用の安定化・促進に取り組み、重点層[若年層・農民工などの政策上重要な就業対象を指す]の安定した就業を促す。未払い賃金の是正を強化する」と書かれていました。
私は党文書に詳しいわけではないのですが、未払い賃金の是正や重点層の安定した雇用促進といった文言が四中全会の公報に盛り込まれたというのは、やはり問題が相当深刻だということを示している?
蔡:少なくとも習近平にとってはそうですね。ただ、これまで彼はこういう問題を気にかけてこなかった。でも今は経済がもはやごまかしきれないところまで来ていると認識したからこそ、こういう言葉が出てきたのです。
今回の公報を読んでいても、未払い賃金はかなり具体的な問題ですし、失業問題はマクロ経済の数字にも表れる大きな問題です。未払い賃金、失業、生活水準の向上、民生保障、これらをまとめて書いたということは、マクロでもミクロでも問題が深刻だと彼自身が見ているということです。だから、彼は経済の深刻さを感じ取ってはいるけれど、彼らには本当の意味で中国経済を立て直す能力がない。私は、習近平のこの13年で中国経済はすでに崩壊寸前に追い込まれたと思っています。
袁:でも、アメリカを含む世界の中国観はそうではなく、「中国のテクノロジーはすごい」「インフラはすごい」という認識ですよね。私はこの問題について何度も話してきましたが、今回の四中全会も冒頭から「高品質な発展が目覚ましい成果を挙げた」「科学技術の自立自強が大幅に向上した」「全面的な改革深化で新たな突破を得た」などと書かれています。実際、テクノロジー国家あるいは科学技術による国家運営に対しては、依然として大きな期待がありますし、正直言うと、中国はここ数年、その分野では多くの人が——私自身も含めて——5年前に想像していた以上の成果を上げてきたとも思います。2020年当時、私は中国の科学技術や製造業がここまで発展するとは思っていませんでした。
●習は後継者を選ぶのか?
袁:最後の質問ですが、やはり究極のテーマ——後継者問題です。習近平は圧力や慣例によって後継者を出すと思いますか?
蔡:私は、習近平が圧力を受けて後継者を指名する可能性はあると思います。ただし、彼が選ぶ人物は、必ず彼自身が満足し、信頼し、信用できる人間に限られます。
まず第一に、彼は能力本位ではなく、身内か自分が信じる人間本位で人を選ぶ。では、彼が信頼する人物は本当にエリート中のエリートなのか? それは大いに疑わしい。
第二に、いったん後継者が決まれば、その瞬間に「未来の権力中心」が生まれます。党内には「老皇帝=習近平」と「新皇帝=後継者」という二つの権力中心が並び立つことになる。老皇帝はいずれ退き、新皇帝がいずれ上位する。ならば新皇帝が即位する前に取り入っておこう、という動きが出るはずです。多くの人が後継者のもとへ走り、投機的に取り入ろうとするでしょう。これは直ちに習近平の権力への安心感を揺るがします。
こんなふうに、中国共産党が後継者問題でつまずくのは習近平に始まったことではありません。毛沢東も、トウ小平も、まともに処理できなかった。後継者問題がこじれるたび、党内では残酷な粛清が繰り返されました。彼が誰かを指名したとしても、その人事は党内に絶えざる政治的動揺を生むだけで、この党に「長期安定」をもたらすことは不可能です。制度的保障もなければ、権力の正統性もないからです。
習近平はここ十数年、後継者を置きたくないがために、共産党官僚の「はしご構造」[世代交代システム]を構築しようとしてきませんでした。トウ小平はかつて「三つのはしご」[老・中・青の三世代が継いでいく体制]を作り、その事業は一代ごとに受け継ぐべきだとした。
しかし、習近平はそれをしなかった。彼はただ、自分が気に入った福建派・浙江派・軍工派・清華派などの人間で空席を埋めただけで、「その次」は考えていない。でも、それでは党の継続性は失われます。
「継承」というのは、習近平個人にとっては「自分の権力を守るため、言うことを聞く人物を置くこと」であり、共産党が考える「後継メカニズム」とは意味が違う。たとえ習近平にとって聞き分けの良い人物を後継者に据えたとしても、地方の各省・市にはその次を担う適任者が育っていない。共産党の土台そのものが崩れてしまうわけです。
つまり、共産党が言う「後継者制度」と、習近平が口にする「後継者」は意味がまるで違うのです。彼はできる限り引き延ばし、引き延ばせるだけ引き延ばすでしょう。どうにもならなくなった時に選ぶ。でも、この党がその後も支配を続けられるかどうかなんて、彼の頭にはない。むしろこの問題は、共産党の危機がすぐそこまで来ていることを示していると思います。
袁:ええ。これは、レーニン主義体制がどうしても越えられない最大の危機ですね。
蔡:映画『スターリンの葬送狂騒曲』[*28]のあの感じですよ。
[*28]映画『スターリンの葬送狂騒曲』:原題は『The Death of Stalin』。2017年にイギリス・フランスでコメディ映画。本稿配信時点で、日本ではU-NEXT、Amazonプライム、YouTube(要課金)などで視聴可能。
袁:あの映画、本当に面白いですよね。
蔡:そう。スターリンが死んだら、次は誰? 彼の側近たちがその瞬間から互いに噛みつき、争い、殴り合いを始める。制度として後継を決める仕組みがないからです。
●共産党内部の残忍さを知る作品
袁:さて、ゲストの皆さんに、それぞれ本や映像作品を三つ推薦してもらっていますが、先生のおすすめはなんでしょうか?
蔡:まず、『スターリンの葬送狂騒曲』ですね。
袁:私は何度も観ました。本当に笑えるし、同時にすごく恐ろしいですよね。
蔡:そう、だからこそ、ぜひ皆さんにも観てほしいと思います。
その他には、この「不明白播客」の成蕾さん[*29]がゲストだった回はおすすめです。彼女は「海外スパイ」のレッテルを貼られて、3年間も収監されていました。あの回は本当に一度じっくり聴く価値があります。共産党の血なまぐささ、残酷さ、暗さ、卑劣さがよくわかります。
[*28]成蕾:1975年中国生まれのオーストラリア国籍華人ジャーナリスト。中国の国有テレビ「中央電視台 CCTV」やその系列外国向けテレビ局「CGTN」で経済番組のホストを務めた。2020年に中国で国家秘密漏洩容疑で逮捕され、3年間の服役後2023年に釈放され、国外追放となる。オーストラリアに帰国後、拘束体験を回顧録で公表し、中国の司法問題を告発した。「不明白播客」での中国語インタビューはこちら。
そこで語られていた、彼女を監視していた看守たちも、実際には同じように監獄にいる状態だったという点も興味深かった。
看守は彼女と話すことを禁じられ、自分たちも勝手に動いたり話したりできない。囚人から常に40センチの位置で立ち続けなければならない。つまり、看守もその40センチの位置から一歩も動けない。成蕾さんが語った話で、ある女性看守はお腹を壊していたのに、代わりの者がいないからその場を離れられず、最後はその場でズボンの中でお漏らしをしたという話は特徴的でした。
中国共産党や習近平は、スタッフを「人」として扱っているのでしょうか? 彼らは成蕾さんのように「犯人」と呼ぶ人たちを人間扱いしないだけでなく、自分たちのスタッフすら人として扱わないのです。成蕾さんは監獄に入れられた。しかし共産党の干部たちだって、形こそ違えど監獄暮らしをしているようなものです。
共産党の内部にある暗さも、残酷さも、普通の人間の想像をはるかに超えています。その実態が、成蕾さんの体験、彼女の記憶と回想を通してよく理解できるはずです。私は聴いていて本当に胸が痛くなりました。まだ聴いていない人には、ぜひ聴いてほしいと思います。成蕾さんは英語で手記も出版しています。
袁:そうですね。私は最初から最後まで読みましたが、本当に素晴らしい。細部がとにかくすごい。こんなに細やかに中国共産党の監獄について書いた人はこれまでいません。読んでいて本当に胸が痛むし、同時に「うわ…」と声が出るほどでした。
蔡:共産党内部の残酷さ、血なまぐささは、常人の想像を超えています。
袁:今日は本当にありがとうございました。また次回、お目にかかりましょう。
(オリジナルポッドキャストはこちらからどうぞ)
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