「なんでお前が許可する?」早口言葉よりめんどい、なんでか許可局
最近、「え、なんで?」が多い。
別に難しい「なんで?」じゃない。
宇宙はなぜ存在するのか、とか。
人はなぜ生きるのか、とか。
そういう壮大なやつじゃない。
もっと日常的な、
え。なんでお前がそれ決めるん?
の「なんで?」。
最近、これによく遭遇する。
たとえば、子どもとの冬休み。
子どもも私も、一緒に過ごしたいと言っている。
もちろん、子どもの学校があるとか、予定があるとか、生活上の支障があるなら調整する。
それは分かる。
だから話し合う。
ところが返ってきたのが、
「冬休みずっと一緒にいる必要性について、私としては納得できません」
だった。
いや。
なんで私、お前を納得させるゲームやってんの?
子どもにどんな支障があるのか。
どういう日程なら双方が過ごせるのか。
そういう話をしていたはずなんだけど。
いつの間にか、
私が希望を出す。
↓
相手が審査する。
↓
納得できるか判断する。
になっている。
あれ。
私、許可申請してたっけ?
会社でもあった。
私は採用時から在宅勤務について確認していた。
会社にも在宅勤務の制度がある。
もちろん、
「制度あるんだから、いつでも好き勝手に家で働きまーす」
という話ではない。
その日の業務内容を確認して、出社が必要な仕事がないか見て、周りに迷惑がかからないように調整する。
そりゃやる。
社会人だもの。
当たり前にやるさ。
そのうえで在宅勤務について確認したら、長文が返ってきた。
在宅勤務を実施できるかは本人の判断ではなく上長判断。
などなど……。
いや。
分かるよ。
業務上、出社が必要なら出社する。
上司に業務上の指揮命令権があるのも分かる。
でも、なんかおかしい。
いちいちそんな相談せなあかんの?
会社にある制度を、業務に支障がないよう調整して使う話だったはずなのに、
在宅勤務を希望します。
↓
上司殿が審査します。
↓
業務上ふさわしいか判断します。
↓
ご許可。
みたいになっている。
しかも、周りも上司の顔色をめちゃくちゃうかがっている。
必要以上にうかがっている。
在宅どうしよう。
フレックス使って大丈夫かな。
休み取っていいかな。
残業していいかな。
この日打ち合わせ入れていいかな。
いや。
会社の制度やろ。
もちろん、どれも業務との調整は必要。
でも、
調整することと、許可をいただくことは同じなん?
また出た。
え、なんで?
そして取引先。
これも最近あった。
こちらには委託されている業務がある。
契約している以上、その業務をやるのは当然。
取引先には、それを求める権利がある。
ところが、いつの間にか、本来こちらに委託されていない運営管理まで求められる。
そして、それをやっていないと、
「なんで管理していないんですか」
みたいな話になる。
いや。
そこ、お前の業務だろうよ。
やってほしいなら、業務範囲として決めればいい。
委託されているならやる。
でも、
お金を払っている。
↓
要望を出せる。
↓
指示できる。
↓
これもそっちでやるよね。
↓
なんでやってないんですか。
と、なんでか広がっている。
契約は願いを叶える魔法のランプではありません。
また、
え、なんで?
である。
ここまで続くと、さすがに思った。
なんか最近、
申請した覚えがないのに審査されること多くない?
そして、これ。
別々の話に見えるけど、なんか似ている。
家庭。
会社。
取引先。
全然違う場所なのに、
こちらが何かを希望したり、選択したりすると、
なんでか相手が、
「認める/認めない」側
にいる。
どうやら世の中には、正式に設置された覚えがないのに、なんでか許可を出している役所がある。
私はこれを、
「なんでか許可局」
と呼ぶことにした。
なんでか許可局には、いろんな支局がある。
親の責任から所管を広げる、家長支局。
会社の制度なのに上司のお気持ち審査を経由する、上司殿様支局。
契約上の権利から業務範囲を増築する、お客様神様支局。
そして、正式な決裁権なんてそもそもないのに、親密さから認可権が生えてくる、恋人特権支局。
恋人特権支局なんかは、分かりやすい。
「異性と二人で飲みに行かれるのは嫌」
これは分かる。
嫌なものは嫌なんだから、そう言えばいい。
自分の気持ちや希望を伝えるのは自由だ。
相手がそれを聞いてどうするかは、二人で話せばいい。
でも、
「異性と二人で飲みに行っていい?」
「ダメ」
になると、ちょっと話が変わる。
恋人って、いつから認可機関になったんだろう。
「私は嫌だ」と、
「だからあなたはしてはいけない」は別である。
親密な関係だから、相手に希望を伝えられる。
配慮してほしいとも言える。
でも、
親密である。
↓
希望を伝えられる。
↓
相手は自分に配慮すべき。
↓
だから相手の行動を自分が決められる。
になると、
また一局、開庁している。
で。
ここまで並べて、私は気づいた。
こいつら、建て方が一緒じゃない?
なんでか許可局って、
何もない土地に、突然ドーンと建つとは限らない。
むしろ最初には、ちゃんとしたものがある。
親には責任がある。
上司には権限がある。
顧客には契約上の権利がある。
恋人には、自分の気持ちや希望を伝える自由がある。
そこまでは普通。
問題は、その先。
もともと持っていた正当な権利や責任、権限、関係性を足場にして、なんでか所管範囲が広がっていく。
この領域について責任がある。
だから、ここは私が判断する。
その隣も関係ありそうだ。
じゃあ、そこも私が判断する。
だったら、あなたの希望を認めるかどうかも私が決める。
一部屋。
また一部屋。
増築されていく。
責任。
役職。
契約。
親密さ。
そういう正当なものを足場にして、その隣に一部屋ずつ増築される。
そして、
増築された部分には、だいたい建築確認がない。
誰も任命していない。
本人も、
「本日より私が許可局長です」
なんて思っていない。
むしろ本人としては、
責任を果たしている。
仕事をしている。
相手を大切にしている。
当然の権利を主張している。
くらいかもしれない。
だから「勝手に許可局」ではない。
本人も、勝手に始めたつもりなんてない。
気づいたら一部屋増えている。
また一部屋増えている。
気づいたら立派な庁舎が完成している。
だから、
なんでか
なのだと思う。
話し合いと、許可申請は違う。
調整と、審査も違う。
希望を聞くことと、認可することも違う。
決裁権があることと、何でも決めていいことも違う。
親密であることと、相手の行動を決めていいことも違う。
なのに、
なんでか許可制。
相談だったはずなのに、いつの間にか申請になっている。
そして今日も、どこかで誰かが、
頼んだ覚えのない審査結果を受け取っている。
え。
なんでお前が許可する側なん?
なんでか許可局。
全国各地に拠点あり。
もちろん、
コンビニよりもある。
もしかしたら、
人の数より多いのかもしれない。
何支局も持ってる人、多そうだし。
続き。
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