「夜店から」②ヒカリちゃんの場合
夜店から
もらったたこ焼き
たのんでない
◇ ◇ ◇
「お母さん、あっちも見てきていい?」
上目づかいに指をさす。
「あんまり遠くにいっちゃダメよ」
そう言って振り向いた
次の瞬間にはもう遠くに走っていた。
「おいしそうー」
「たのしそー」
キラキラ目を輝かせて
夜店を見て回る
ふと目の前に
男の人が凄い形相で
地面を見ている
道を塞いで通れない
仕方がないので少し待った
10分後
我慢の限界が来た。
「ねぇ、まだ前に進まないの?」
男は立ち上がる。
「ごめんね。もう少しだから」
そう言って後ろの方を見て
目がまんまるになった。
私も後ろを見た。
結構並んでた。
男の人は急に
「見つけた人には1万円!」
と言った。
大人って、急に変なことを言う。
とにかくコンタクト探しが始まった。
なかなか見つからない。
後ろの子が泣き出した。
しょうがないので
後ろにまわる。
さっきより増えてた。
「1分スタート!」
「絶対俺が見つけるぜー」
(最初に私が並んだんだから)
3回目の挑戦が来た。
遠くから大人が叫んでやってきた。
男の人は目も合わせず怒られてる。
それよりもこっちが先だ。
なかなか見つからない
制限時間ギリギリ
手前をふと見下ろす
きらりと2つの光
「あったー」
嬉しくて笑顔になった。
男の人を見ると
なぜか手で十字架を作ってた。
なんか呟いてた。
結局、お礼はたこ焼きになった。
でも十分だった。
「お母さんー!たこ焼きゲットー!」
元気よく走り出した。
「どうしたの?それ」
母が不思議そうに尋ねる。
指を差す。
「あそこでね。もらった!」
立ち寄る予定のなかった夜店から。
終
●シロクマ文芸部 お題「夜店から」参加作品
