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【ファジサポ日誌】195.春の淡き夢 ~百年構想L第5~6節 ファジアーノ岡山(京都・清水戦) マッチレビュー~

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筆者個人が繁忙期に入ってしまったとはいえ、2022シーズンから開始した毎節レビューに「穴」を空けてしまったのは、レビューを開始したシーズンの5月以来のことである。
しかし、そんな時期の試合に限って見どころがたくさんあったのも皮肉ではあるのだが、今回は百年構想リーグ第5節京都戦から第6節清水戦を一つの流れとして振り返ってみたいと思う。

1.百年構想リーグJ1-WEST第5節

百年構想リーグJ1WEST第5節 岡山-京都 メンバー

84分、左サイドLWB(51)白井康介からのクロスをファーで途中出場RST(40)河野孝汰が高い打点で折り返し、京都CB間のスペースを取ったこれも途中出場RWB(28)松本昌也が押し込んだゴールによって岡山が1-0で勝利した。構想リーグ初の90分以内勝利である。

ゴールこそこの1点に止まったが、岡山は再三決定機を創出、ここまで4戦3勝1敗(PK戦1勝1敗を含む)の好調京都を内容面で圧倒した。
岡山としては半年前の0-5大敗のリベンジを果たしたといえる。

筆者がこれまで観戦してきたファジアーノ岡山のゲームの中でも5本の指に入る屈指の好内容であったと思っている。

その最大の理由は「相手の前進を止めて遅らせて、自分たちが前進を進める」ことを90分間通じてチームの設計として出来ていたからである。
構造的に理に適っていた岡山のサッカーは、これまで決して相性が良くなかった高崎航地主審の裁きにおいても不利に陥ることもなく、試合後、多くの京都サポから「岡山はサッカーをしていた」との称賛を引き出した。
つまり、無理なファールを冒す必要もなかったということである。

リーグでも屈指の縦の速さを誇る京都の前進をストップするにあたって、象徴的であったのが3CBの守備の仕方であったと思う。

54分の場面を振り返りたい。

百年構想リーグJ1WEST第5節 岡山-京都 54分 岡山の守備

この試合の前半は岡山も京都も中盤での繋ぎにチャレンジしていた。
京都は後半開始からそのキーマンであったCH(25)尹星俊からCH(39)平戸太貴にスイッチ、前半よりも縦への速さは増していたと言え、この後半は前半よりも3-4-2-1同士のミラーゲームの様相が色濃くなっていた。

京都のチャンスメイクは前線のRST(11)マルコ・トゥーリオとCF(9)ラファエル・エリアスが縦関係になり、前者がボールを収めチャンスメイク、後者が相手最終ラインの裏を取り仕留めるというやり方が目立っている。

この点を踏まえてこの場面をみると、京都GK(1)太田岳志からのゴールキックを(11)トゥーリオが下りて受ける形になっている。ここで彼に自由を与えるとやられてしまう。マンマークということもあるが、岡山LCB(2)工藤孝太は積極的に(11)トゥーリオについていき、落下点にいたCH(6)ジョアン・ペドロに競り勝っている。

ここで大事なのは岡山のCBが前向きに守備をしていることで、京都の前進を浅い位置で跳ね返していることである。これを可能にしているのが、(2)工藤が飛び出した後のスライドがしっかり出来ていることである。

このスライドが出来ていないと(2)工藤は自身が飛び出した裏のスペースを(9)エリアスに使われることを恐れ、前には出られないのである。

J2の頃からこのスライドは非常にスムーズな岡山ではあるが、この京都戦では、これまで以上に鋭い切り替えをベースに密を漏らさずに出来ていたと言える。
このシーン自体は(6)ペドロが頭部を痛め一時試合がストップしたが、後半全体で高い位置でのボールを奪取に成功した岡山は両サイドを使った素早いカウンターを披露、決勝ゴールも京都が自陣からスペースへ(11)トゥーリオを走らせるボールを出したところを(2)工藤が高い位置でカット、岡山がセカンドを回収し、サイドに展開した流れから生まれている。

相手強力アタッカーをものともしない強さによる前方でのディフェンス、そして高確率でのセカンド回収、そこからのワイドな展開、このパフォーマンスを毎試合表現できれば、岡山の上位進出も夢ではなくなってくる。
ふとそんな淡い期待も抱かせた京都戦であった。

2.百年構想リーグJ1-WEST第6節

百年構想リーグJ1WEST第6節 清水-岡山 メンバー

1-1のPK戦負け。苦戦であった。
筆者の淡い、甘い予測に基づく「常勝軍団ファジアーノ岡山誕生」の夢はあっさりと打ち砕かれた。
しかし、予感が全くなかった訳でもない。
ご存知のように今シーズンの清水は昨シーズンまで神戸を率いてた吉田孝行監督を招聘、神戸トップチームの主要コーチ陣やこの日先発したCB(15)本多勇喜といった選手たちとセットで「移籍」していた。

つまり、今の清水は昨シーズン岡山が2戦2敗を喫した神戸の戦い方を従来の清水流にアレンジして採り入れているといえる。

岡山が昨シーズンの「吉田神戸」に苦戦した最大の要因は、システムのミスマッチによる構造的な問題が大きかったと考える。
この構造が今節の清水戦でもそのまま反映されていたのである。

百年構想リーグJ1WEST第6節 清水-岡山 清水の攻撃に対する岡山の守備構造

京都戦と比較しやすいようLCB(2)工藤の「前へ向かう守備」についてみてみたい。
清水GK(16)梅田透吾のゴールキックをCF(9)オセフンが岡山陣内左に寄りながら下りて落とそうとする。この動きを(2)工藤が迎撃する訳だが、まず質的に(9)オセフンが優位に立っていたこともあり、岡山はCH(33)神谷優太も併せて競らせていた。この動きにより(9)オセフンの落としに多少の狂いが生じていたが、中盤のセカンド回収要員がCH(41)宮本英治のみになってしまい清水の中盤2枚との間に数的不利が生まれる。

また、京都戦同様に(2)工藤が飛び出した裏のスペースをLWB(88)山根永遠がスライドして埋めるのであるが、この清水戦で厄介であったのは(88)山根が空けたサイドのスペースを清水LWG(23)北川航也に使われてしまうことであった。そうした理由もあり、前半の岡山は(2)工藤の迎撃を自重させ、(9)オセフンに対するロングボールにまず(33)神谷を競らせるようにしていた。
こぼれ球に対する数的不利の問題については清水AN(10)マテウスブエノにLST(8)江坂任をマークに付かせて、中盤で2対2の数的同数をつくろうとしていた。確かにこれで(8)江坂にこぼれ球が流れてくれば、彼の展開力から一気に岡山にチャンスが生まれる可能性がある。

しかし(8)江坂がこの位置にくると彼をみる筈である清水RSB(14)パクスンウクも岡山CF(99)ルカオのケアに回ることができる。
岡山のボールが(99)ルカオに渡った際に1対3の状況になっていることがあったが、その理由もおそらくこうした構造によるものである。

こうなると、京都戦とは一転して岡山の陣形全体の重心は低い位置に留め置かれることになる。タチが悪いのは岡山の守備時5バックに対して、清水は前線3枚と両IHの5枚で数的同数になる。岡山ゴール前に攻め込みさえすれば、仮に回収されても即時奪還が可能なのである。
実際に岡山は自陣低い位置から果敢に保持にもチャレンジしていたが、最初のパスがズレるなどボールの出口作りに苦労していた。

清水のアタッキングサードでの崩しではLIH(81)小塚和季の動きが効いていた。攻撃時には彼が中盤3枚の横並びから前方に出てシャドー的に動く。ボックスの外側に岡山RCB(48)立田悠悟を引っ張ることでLWG(7)カピシャーバがボックス内に進入する道を上手くつくっていた。

昨シーズンの岡山は対神戸戦、ホーム&アウェイ共にLIH宮代大聖(ラス・パルマス)の動きに苦戦していた。彼とはタイプは異なるがやは4-3-3のLIHの動きに苦戦していたといえる。

アタッキングサードに入ってからの斜めのショートパスを小気味よく繋ぐスタイルは従来の清水の崩しと言ってもよいだろう。結局、後半の失点は、(81)小塚のズレをつくる動きを起点とした執拗な清水の最後の崩しにやられてしまったのである。

しかし、岡山にも抵抗が見られた点は大きな収穫であったといえる。
後半開始から(33)神谷に代えてCH(5)小倉幸成を投入、中盤での数的不利に対して、岡山は数的有利をつくるのではなく、ボランチのタイプを変えることで質的優位により試合展開を逆転しようとした。

結論から述べれば(5)小倉の投入そのものが試合展開を大きく変えたとまでは言い難い。しかし、ビルドアップの際に明確に最終ラインからボールを引き取ろうとする動きは清水の陣形全体を下げさせ、ボールを受けてからの数的不利な中盤を省略したダイナミックな展開やライン間で受けようとする(40)河野孝汰らシャドーへの縦パスは岡山反撃の大きなきっかけとなっていた。

そして60分に岡山は(22)一美和成をいつもの(99)ルカオとではなく(40)河野と交代。右サイドと中央を(99)ルカオ、(22)一美とポジションチェンジを頻繁に行いながら、岡山は清水陣内を混乱に陥れる。
こうしてようやく清水陣内で有効な起点をつくれるようになった岡山は最終ラインも高い位置を取れるようになる。66分(48)立田の枠内を捉えていたロングシュートはその証といえる。

更に岡山は(88)山根に代えて(27)木村太哉を、(8)江坂に代えて(28)松本昌也を投入、(27)木村は左のシャドーに入るが、ボールサイドであれば逆の右サイドにも思い切り寄せていくプレーも見せており、投入当初はウィング的にも動いていた(98)ウェリック・ポポと共に清水の目線を左右に振っていたといえる。

20分ほど続いた岡山の「地上戦」は(98)ポポの移籍後初ゴールという形で結実する。

岡山がこの2~3シーズンで大きく成長していると感じるのは、スローインを確実にチャンスに繋げられるようになったことである。木山体制の当初2年程はこれが出来ていなかった。
(22)一美のクロスは回転があまり掛からない厳しいボールであったが、ゴールと清水最終ラインの厳しいスペースを突くJ1仕様のクロスであったともいえる。ニアに(27)木村が飛び込んだことも効いているが(98)ポポのサイズが活きた同点ゴールであったといえる。

この試合展開であっても中盤の数的不利、構造的不利の解消にはそこまでこだわらずに前線の質と数にこだわった岡山側の姿勢が光っていた。

もちろん、吉田孝行型4-3-3との構造的不利の解消に何らかの答えを出さなくては、監督が変わったとはいえ「第5回川鉄ダービー」も苦戦することが予想される。しかし、何かそこにも新たな「淡い期待」を抱いてしまった清水戦であった。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。

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