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S021|少年法を「匿流犯罪対応」に変えるべき時代が来た

栃木県上三川町の強盗殺人事件では、実行役とみられる16歳の少年4人と、指示役とみられる20代夫婦が逮捕された。さらに、夫婦の背後に別の指示役がいる可能性も報じられている。

この事件を見ていて強く思うのは、もはや少年犯罪を「少年本人の非行」としてだけ見る時代ではない、ということである。

昔の少年事件なら、家庭環境、学校生活、交友関係、本人の性格、非行歴などを見れば、ある程度は事件の背景が見えた。もちろん昔も集団非行はあった。しかし、それでも多くは地元の仲間、先輩後輩、学校、地域という範囲の中にあった。

ところが、今の匿名・流動型犯罪、いわゆる「匿流」は違う。

SNSやネット掲示板で「高額バイト」「即日即金」などの言葉を使って実行役を集める。応募した者に身分証や顔写真、住所などを送らせる。そして、やめようとすると「家に行く」「家族に危害を加える」と脅す。警察庁も、闇バイトは詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯として使われ、応募者が犯罪組織の手先として利用される危険を警告している。

つまり、少年が単独で悪事を考えたのではない。

大人の犯罪組織が、少年を「使い捨ての実行部品」として拾い上げているのである。

ここに、今の少年法の限界がある。

現在でも、16歳以上の少年が故意の犯罪行為によって人を死亡させた事件は、原則として家庭裁判所から検察官へ送致される、いわゆる原則逆送の対象になる。18歳・19歳の特定少年については、2022年施行の改正少年法で原則逆送対象事件も広がった。

しかし、それだけでは足りない。

問題は、厳罰化するか、保護するか、という二択ではない。
匿流犯罪では、少年の役割をもっと細かく見なければならない。

第一に、闇バイトに応募してしまったが、実行前に怖くなって親や警察に相談した少年がいる。こういう少年は、処罰よりも保護を厚くすべきである。早く逃げた者が助かる制度にしなければ、少年は犯罪組織の脅しに縛られたままになる。

第二に、見張り、運転、下見、受け子、出し子、荷物運びなどで関与した少年がいる。ここは軽く見てはいけない。だが、同時に、その少年を入口にして、上位の指示役へたどる仕組みが必要である。

第三に、住宅へ押し入り、暴行し、殺害に関わった少年がいる。ここは少年であっても重く扱うべきである。被害者の命が奪われている以上、「少年だから」で済ませることはできない。

だから、少年法は「匿流関与型少年事件」という考え方を持つべきだ。

家庭裁判所の調査でも、これまでのように家庭環境や学校生活だけを見るのでは足りない。誰に誘われたのか。どのSNSから入ったのか。どのアプリで連絡したのか。個人情報を握られていたのか。報酬はいくらと言われたのか。上位者のアカウント、送金経路、車両手配、ターゲット情報の出どころはどこか。

ここまでを標準の調査項目にすべきである。

また、少年を犯罪に利用した大人への罰則は、もっと重くする必要がある。未成年を強盗、詐欺、窃盗、薬物運搬などの実行役として使った場合、それ自体を重く評価するべきだ。少年を利用することは、少年本人を壊すだけではない。被害者を生み、地域社会を壊し、家族まで巻き込む。

さらに、実行前に相談した少年を守る制度も必要である。
警察はすでに、闇バイトに申し込んでしまった人に対し、警察相談ダイヤル「#9110」や最寄りの警察署への相談を呼びかけている。
しかし、少年や親が本当に相談しやすい仕組みになっているかといえば、まだ足りない。学校、家庭、警察、児童相談所が連携し、「実行前に逃げれば助かる」という道を明確に示すべきである。

少年法の目的は、少年を甘やかすことではない。
少年を更生させ、再び社会に戻すことである。

しかし、匿流犯罪の時代には、その前提が変わっている。少年は単なる非行少年ではなく、犯罪組織に拾われ、脅され、使い捨てられる存在にもなっている。だからこそ、本人の責任を問うだけでは不十分である。

実行した少年には責任を負わせる。
逃げようとした少年は守る。
誘った少年や中間役は重く見る。
そして、少年を利用した上位の大人を必ず捕まえる。

この四つを同時に進めなければならない。

少年法は、昭和の少年非行だけを見ていてはならない。
令和の犯罪は、SNS、匿名アカウント、秘匿アプリ、個人情報による脅迫、使い捨ての実行役という形で動いている。

ならば、少年法も令和の犯罪構造に合わせて変わるべきである。

少年を守るためにも。
被害者を出さないためにも。
そして、少年を食い物にする大人の犯罪組織を断つためにも。

今こそ、少年法を「匿流犯罪対応」に改正する必要がある。


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