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S030|食料品の消費税減税よりも、物流トラックの高速無料化を

物価が上がった。だから食料品の消費税を下げろ――気持ちは分かる。だが私は、順番が違うと思う。いま直すべきは「買う段」の数字ではなく、「運ぶ段」の詰まりだ。

日本は、結局トラックで回っている。食料も日用品も部品も、最後はトラックが運ぶ。ここが滞れば、どんな減税も“末端の湿布”にしかならない。値札は一瞬下がって見えても、輸送の負担が残れば、別の形で戻ってくる。

しかも現場は、人手も時間も限界に近い。働き方の規制強化、ドライバー不足、荷待ち、付帯作業、渋滞。これらが重なって「運べない」「間に合わない」「割に合わない」という形で噴き出している。ここを放置して、食料だけ税をいじっても、国の体質は変わらない。

私の提案は単純だ。物流用トラックだけ、高速を無料化する。

狙いは三つある。

一つ目は、物流の時間を取り戻すこと。高速に乗れば信号と右左折が減り、所要時間のブレが小さくなる。定時性が上がれば、同じ車両・同じ人員でも回せる仕事が増える。これは輸送力の回復そのものだ。

二つ目は、市街地の安全と渋滞を改善すること。大型車が市街地や幹線一般道から高速へ流れれば、交差点や生活道路の危険が減る。渋滞の原因になりやすい発進停止や合流の押し合いも減る。事故も渋滞も、まず“混在”が問題だ。動線を分けるだけで、街は静かになる。

三つ目は、環境負荷の低下だ。一定速度で巡航できる区間が増えれば、発進停止の多い一般道より燃料消費も排気も安定しやすい。大きく派手な数字を掲げなくても、現場の流れを整えるだけで空気は変わる。

ここまでが「無料化の効能」だ。だが、甘い点もある。無料化しただけで、ドライバーの給料が上がるとは限らない。コストが下がった分を荷主が値下げ要求で吸い上げれば、現場は救われない。だから制度はセットで組むべきだ。

具体的にはこうだ。

物流登録車両のみ対象にする。ETCで判定し、対象車種・事業用途を明確にする。
元請け・荷主の不当な運賃叩きを抑えるため、運賃の適正化と下請け構造の監視を強める。無料化の恩恵が「現場の拘束時間削減」と「処遇改善」に回るよう、指標と報告を義務化する。
高速が混むなら、時間帯誘導を組み合わせる。深夜・早朝優遇、都市圏のピーク管理などで、流れを崩さず回す。

次に財源だ。高速は維持費がかかる。無料化は“誰が払うか”を決めなければ成り立たない。ここで私は、観光・レジャーなど緊急性の低い一般車を、料金でコントロールすべきだと思う。禁止ではない。優先順位を価格で示す。

都市圏や繁忙期は一般車を割増にする。渋滞の時間帯ほど高くする。公共交通に乗り換えた方が合理的になるように設計する。高速バスは優遇し、鉄道との接続を強める。地域ごとに事情が違うなら、地域ごとに料金を変えればいい。ETCの時代に、区間・時間・車種で変動させることは技術的に可能だ。

まとめる。

食料品の消費税減税は目に見える。だが、原因に届きにくい。
物流トラックの高速無料化は地味だ。だが、社会の詰まりをほどく。

物価を抑えたいなら、まず「運べる国」に戻すことだ。そこから先に、家計支援の議論を積めばいい。順番を間違えないこと。私はそれを言いたい。


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