「共感脳」と「解決脳」
子育てに必要なのはどちらか?
最近、子育てに関する情報を見ていると、「共感」「寄り添い」という言葉を目にする機会がとても増えたように感じます。
子どもの気持ちに共感することは、もちろん大切なことです。否定されず、受け止めてもらえる経験は、子どもの心を安定させます。
ただ、その一方で、少し気になることもあります。
共感すること自体が目的になってしまい、その先が用意されていない関わりが増えてはいないでしょうか。
人の脳には、大まかに言えば二つの働きがあるそうです。
一つは、感情を感じ取り、共有する「共感脳」。
もう一つは、状況を整理し、どう行動すればよいかを考える「解決脳」。
「共感脳」と「解決脳」、子育てに必要なのはどちらの「脳」でしょうか。
幼い子どもにとって、まず必要なのは共感です。
不安や悔しさ、悲しさを受け止めてもらうことで、「自分は大丈夫だ」と感じられるようになります。
この土台がなければ、子どもは前を向くことができません。
しかし、共感だけで終わってしまうと、子どもは次の一歩を学ぶ機会を失います。
「そうだよね、つらかったね」で止まってしまえば、困った状況に直面したとき、どう考え、どう行動すればよいのかを身につけることができないのです。
ここで必要になるのが、「解決脳」です。
問題を少し離れた位置から見て、「じゃあ次はどうする?」と考える力。
失敗しても、やり直せる道を探す力です。
この二つは、どちらが正しい・間違っているという関係ではありません。
順番と役割が違うだけです。
共感で心を落ち着かせ、解決で未来へ進む。
その両方があって、子どもは成長していきます。
育児の場面では伝統的に、母親が共感役、父親が解決役、と語られることがあります。
けれども、これは性別の話ではありません。
母親であっても解決役になれますし、父親であっても共感役になれます。
大切なのは、「一人の大人がすべてを担おうとしないこと」です。
大切なのは多様性
共感が得意な大人もいれば、解決が得意な大人もいる。
感情に寄り添うのが上手な人もいれば、冷静に道筋を示すのが上手な人もいる。
子どもにとって必要なのは、そのどちらか一方ではなく、多様な大人像に触れることです。
一人の大人だけを見て育つよりも、多くの大人に接し、
「この人は話を聞いてくれる」
「この人は次の方法を考えてくれる」
などと経験を重ねることで、子ども自身の中にも、「共感脳」と「解決脳」の両方が育っていくものです。
共感しすぎて、代わりに答えを出してしまわないこと。
突き放すような解決だけを押し付けないこと。
そのバランスを、家庭や地域、学校など、様々な場所で、複数の大人で支えていく。
子育ては、誰か一人が完璧にやるものではありません。
共感する大人がいてもいい。
解決を示す大人がいてもいい。
少し不器用な大人がいてもいい。
その多様性こそが、子どもにとっての「安心」や「力」になるのではないでしょうか。
