【サーチファンド特別インタビュー】AI面接” 次世代版SHaiN(シャイン)”は経営者候補の「資質」をどう紐解いているのか?-後編-(タレントアンドアセスメント山﨑社長×YMFGキャピタル藤本取締役)
前編では、対話型AI面接サービス”SHaiN(シャイン)”(以下、SHaiN)の成り立ちや業界などを語っていただきました。
後編では、実際にその評点基準や仕組みについて、お伺いしてまいります。
前編のインタビュー記事はこちら↓
藤本(YMFGキャピタル):
SHaiNの評点基準にはいくつか評価項目がありますけれど、改めて具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
AI評価項目の「バイタリティ」「イニシアティブ」「対人影響力」「柔軟性」「感受性」「自主独立性」「計画力」、観察項目の「理解力」「表現力」「ストレス耐性」と10項目に分かれています。
ただ、株式会社PKSHA Technology(本社:東京都文京区、代表取締役:上野山 勝也、以下PKSHA)と対話型AIを活用した新機能を共同開発しまして、2025年12月3日にバージョンアップした” 次世代版SHaiN”をリリースしました。評価項目についてもアップデートをしております。
PKSHA、タレントアンドアセスメントと対話型AI面接サービス「SHaiN」における新機能を共同開発、次世代版として提供開始 | 株式会社PKSHA Technologyのプレスリリース
藤本(YMFGキャピタル):
新聞など様々なメディアに取り上げられていましたよね。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
従来の10資質の評価に加え、経団連の「新卒採用に関するアンケート調査結果」(※)にて挙げられている重視項目「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」の分析結果を、その他資質として追加しております。8種類のコンピテンシーによる多角的な評価を新たに実装しまして、より精緻な人物分析が可能となりました。

藤本(YMFGキャピタル):
その重視項目は、弊社のサーチャー選考でも必ず確認する部分ですね。知らない土地、知らない文化、知らない世界に飛び込んでいくサーチャーに対し、必ず求められる資質だと考えております。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
しかし、この評価の重み付けには苦労しました。例えば、コミュニケーション能力って単なる話し方の上手さだけではないですよね。聞くことも上手でなければいけない。これは「表現力」と「理解力」に該当します。また、融通をきかせるような臨機応変さもなければならない、そうなると、「柔軟性」と「感受性」も必要になるんですよ。
藤本(YMFGキャピタル):
コミュニケーション能力というと、やはり話し方をイメージしてしまいます。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
世間一般的な面接では、この「表現力」のみを切り取ってコミュニケーション能力やコンピテンシーを推し量るパターンが非常に多いですね。でも、本来はコミュニケーション能力を推し量るためにこの4要素を確認しないといけないんです。
例えば、水って元素記号は”H2O”ですよね。”H”(水素)2つと”O”(酸素)が合成して、はじめて水という形が分かる。コミュニケーション能力も同じで、4要素のどれか一つが欠けていると成り立たない。
一方で、要素一つを取り上げ、柔軟性が高いですね、とか、感受性が高いですね、と言われてもピンとこないですよね。これが、コミュニケーション能力が高いですね、と言われると分かりやすい。
SHaiNでは、そうしたコミュニケーション能力を始めとして、様々な能力を分解できるような評価設計になっています。

藤本(YMFGキャピタル):
一概にコミュニケーション能力といっても、複合的な要素を一つずつ紐解いていかないと中々評価できませんね。せっかく弊社のサーチャー選考を受けていただいているのであれば、表面的な要素ではなく、定性的な部分を含めしっかりと確認しないと失礼に当たります。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
生成AIだと、このコミュニケーション能力の分解が出来ないんですよ。他にも、受検者がトップリーダー向きか、チームプレーヤー向きかどうかも評点化し、役割適性を示します。元素記号をもち分解ができる、つまり全て根拠に基づく説明が可能な評価レポ―トのご提示をお約束しているので、ブラックボックスとなる分析は行いません。
藤本(YMFGキャピタル):
バージョンアップによって、更に評価レポートも細分化されているとお聞きしております。ちなみに弊社では、過去のサーチャー選考におけるAI評価項目「バイタリティ」「イニシアティブ」「対人影響力」の評点が高い受検者は、弊社サーチファンドのサーチャーとして親和性が高いのではないかと分析しております。サーチャー登用のミスマッチを防ぐためにも、選考担当者の経験や勘だけでなく、データによって判断できるのもAI面接のメリットですね。

山﨑(タレントアンドアセスメント):
経験や勘についてお話する際、よく天気予報の話をさせていただいております。
天気予報って、昔は本当に当たらなかったんですが、今ってほとんど当たりますよね。実はこれ、AIの力が大きく働いているんです。人間はデータを全て覚えることができないので、膨大なデータがあればあるほど、必然的にAIの方が予測値の精度が高くなるんですよ。ただ、そのデータの部分は、経験や勘によるものなんです。
AIがない時代は、よく天気は漁師に聞けって言われていました。彼らは、船が沈没すると生命の危機に直結しますから、天気に詳しいんですね。船舶免許の取得試験で一番難しい科目も気象といわれています。今日は雨が降るぞ、海が荒れるぞっていうような、経験や勘からくる天気予報の精度はとても高い。
人間の面接も同じで、経験や勘は必要なんです。ただ、属人化していると、データが積みあがらない。そのデータをかき集めて、弊社はSHaiNを開発しました。

藤本(YMFGキャピタル):
その経験や勘という部分は、まさに弊社がノウハウとして言語化すべき点です。こうした客観的なデータは大変助かります。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
今回のバージョンアップで、新しく傾聴の3ステップというものを取り入れました。採用面接では、サーチャーとアルバイトに求める能力や素質は異なるため、それぞれに合わせて質問を設定しております。そうなると、ヒアリング技術も重要になるので、そこを大幅に改良しました。
実際のAI面接においては、状況・課題・行動・結果の順でAIが質問を投げかけます。しかし、状況を聞く場面で、最初に課題や行動までお話いただく受検者が多くて、AIが状況か課題か判断できず、同じ質問を繰り返し行っていた、という場面もよくみられましたね。
藤本(YMFGキャピタル):
回答したのに何度も同じ質問がきて混乱した、というご意見をよく耳にします。

山﨑(タレントアンドアセスメント):
これは、状況のみご回答いただくと次の質問に移るんですけど、同じ質問に同じ回答をしてしまっているので、そのような事象になっているんですね。
今回、このネガティブな体験を解消するため、受検者の回答に合わせて返答を行い、受け止めた上で質問を広げるような反映的傾聴を可能にしました。AIの対話で違和感を覚える部分はほとんどないと思います。
藤本(YMFGキャピタル):
受検者の負担が減るのは良いですね。弊社のAI面接における受検時間は概ね1時間半程度なんですけれども、他の企業も同じ程度でしょうか。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
現状は1時間程度ですね。経営者を目指す方々は熱意もあり、それ相応の人生経験を積まれていらっしゃる方で話も濃い内容ばかりだと思いますが、2時間を超えると流石に長いかなと。学生はだいたい1時間以内に終わります。
今回のバージョンアップで、受検時間は35分程度とかなり短縮される見込みです。
藤本(YMFGキャピタル):
そもそもAI面接は、面接対策が可能なのでしょうか。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
話し方など、通常の面接練習という範疇では可能かもしれませんが、事実上対策しようがないというのが答えですね。なぜなら、過去の経験を質問しているので。「バイタリティ」「イニシアティブ」といった資質はまさにそうです。
将来の事を質問する面接に対しては取り繕うことができますが、過去については遡って事実を回答するだけですから、基本的に対策はできません。
藤本(YMFGキャピタル):
選考する側は、いかにして過去の経験をしっかりヒアリングできるかが重要なカギとなりますね。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
そもそも、人種差別しない、ジェンダー差別のない面接は何なのかということなんですよ。人種や性別が含まれない部分は、全て過去の行動にしかないんですね。その過去の行動は、将来の行動を予測するという行動理論に基づいており、これは犯罪心理学の分野でも用いられているものなんです。将来犯罪を犯す人の内訳には、再犯率40%の数値が含まれているんですよ。痴漢歴がある人は、再び痴漢する可能性が高いとされているのもご存じかと思います。
ただ重要なのは、ネガティブな面のみ反復するわけではなく、ポジティブな面も同様に反復するという点です。大学生時代にレポートの提出期限を守る人は、社会人になっても守ろうとする。徹夜も厭わない。バイタリティがありますよね。
一方、徹夜をせずにレポートの提出期限を守る人もいる。計画力がある。どちらも正解。この反復性を確認して、評点を算出しています。

藤本(YMFGキャピタル):
とてもスッキリする説明で分かりやすいです。ネガティブな面だけでなく、ポジティブな面も評点にしていただいているんですね。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
その通りです。
私は、過去の経験、特に無理難題や理不尽な事柄に対処してきたことなど、壁を乗り越えた話をひたすら聞きたいんですよ。御社のサーチファンド事業において、もしネガティブな面があれば、そこをサポートしていくというのが良いのではないでしょうか。
藤本(YMFGキャピタル):
そこは伴走支援を掲げている弊社にとって、まさに求められる部分ですね。過去の行動が、現在に繋がるということはとてもイメージしやすいです。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、この3武将のホトトギスの話をご存じですか。「鳴かぬなら」で始まる句ですよね。状況は全て同じなんですが、「殺してしまえ」の織田信長、「鳴かせてみせよう」の豊臣秀吉、「鳴くまで待とう」の徳川家康、それぞれ行動が異なるんですよね。要するに、ここに性格が表れているんです。信念を貫き通すのか、工夫や努力なのか、忍耐力なのか、性格が異なると行動も異なる、だから行動理論なんですよね。AI面接で確認する、状況・課題・行動・結果はSTAR法という法則に基づいておりまして、受検者の行動特性や資質を明らかにしていくものなんです。
藤本(YMFGキャピタル):
なるほど。各人の特徴も、行動にフォーカスすれば自ずと理解が深まりますね。
これほどSHaiNの仕組みや内容についてご説明いただけるとは思いませんでした。SHaiNの評価における解像度が高くなりましたし、選考活動で意識する着眼点も明確になりました。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
SHaiNはあくまでも受検者の特徴結果を出すだけなので、その方にフィットする企業をお引き合わせするのは、御社の仕事になりますね。

藤本(YMFGキャピタル):
おっしゃる通りです。
承継企業の探索活動におけるミスマッチをなくすためにも、各サーチャーを理解することはとても大事だと考えておりますので、今回は大変勉強になりました。この度はインタビューの機会をいただきありがとうございました。
山﨑(タレントアンドアセスメント):
こちらこそありがとうございました。
