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『活字の種をつくった人々』の見どころ・読みどころ

数ヵ月前からお知らせを重ねてきた雪の新刊『活字の種をつくった人々 わずか2ミリのもと“種字たねじ”を手彫りした彫刻師たち』(水鈴社)の見本書籍が私の手もとに届き、発売がいよいよ近づいてきました(8月発売です)。

今回はあらためて、本書の見どころ・読みどころをお伝えしたいとおもいます。


◉フォントの源流=種字を彫った職人「種字彫刻師たねじちょうこくし」をまとめた初めての本

本書は、活版印刷にもちいられる「活字」のおおもとの型である「種字たねじ」を彫った職人たちを紹介する本です。日本の書体デザイン史では、明治のはじめに鉛活字をもちいた活版印刷が本格的に導入されたとき、種字彫刻師という人たちがおおもとの文字を彫っていた、ということにはふれられてきましたが、どんな会社の種字をどういう職人たちが彫っていたのか、彼らはどんな修行の末にその技術を身につけ、どんなふうに仕事をして、どんな文字をデザインしてきたのか――それをまとめた本はまだありませんでした

種字彫刻師が彫った文字は、そこから型をとって鋳造で使う「母型ぼけい」がつくられ、活字の量産がおこなわれました。つまり、種字彫刻師はたんに彫刻するだけでなく、文字のデザインそのものまで担っていたにもかかわらず、彼らの多くはその名を残すことなく、ただ美しい文字だけを残していったのです。

※種字、そして種字彫刻師については、こちらの記事で説明しています。

本書『活字の種をつくった人々』は、可能なかぎり種字彫刻師や関係者への直接取材をおこなったのに加え(種字彫刻師はほとんど亡くなられていたので、直接お話をお聞きできたのはごくわずかでした)、資料や実物をできる限り集め、なんとかまとめあげた1冊です。

写真は池田晶紀・池ノ谷侑花(ゆかい)
14人の彫刻師を紹介。くわしいエピソードがわかったり、
実物がたくさん残っていたりする彫刻師については、10ページ前後で紹介している場合もあります
写真を見ていくだけでも楽しめる、ビジュアル豊富な構成です

◉活版印刷や活字の基本も解説

しかしそもそも、活版印刷とはどういうもので、活字がそこでどんなふうに使われているのか、ごらんになったことがない方も多いとおもいます。そこで本書は、活版印刷がどんなふうにおこなわれ、活字がどんなふうにつくられるのか、という解説から始まります。まずは活版印刷の基本について知り、それをふまえて読み進められる構成です。

活版印刷にもちいられる部品をくわしく解説。
このほかにも、活字をどうつくるのか、活版印刷の工程の流れなどを解説したページもあります

種字から母型をつくる工程も、図解によってわかりやすく説明しています。

種字から母型をつくる複雑な工程も、わかりやすく図解(イラスト:セキサトコ)

◉巻末資料も充実

年表や参考文献などの巻末資料も充実させました。また、市谷の杜 本と活字館で展示をした際に好評だった「人物相関図」も収録しています。この図を見ると、種字彫刻師から現代の書体デザイナーまでのつながりがひと目でわかります。

◉カバーの墨文字は活版印刷

カバーの墨文字は、本書のなかでも紹介している「秀英初号活字(大きい文字)」などの活字を組み、活版印刷しています。凹凸のある紙にギュッと圧をかけて印刷された墨文字は力強く、その存在感に圧倒されます。

活版の文字は強い

◉帯文は尾崎世界観さん

帯には、作家・ミュージシャンの尾崎世界観さんから身に余る文をお寄せいただきました。こんなに美しい文章をいただけるなんて……。この文章がすでにひとつの作品ですね。歌詞を書き物語を書く人の凄みを感じました。

いかがでしたか? すこしでも興味をお持ちくださったかたのために、目次を載せておきますので、ごらんください。

以下の記事では、見やすいよう、目次をテキストで掲載しています。

雪 朱里 著『活字の種をつくった人々』水鈴社 刊
写真:池田晶紀・池ノ谷侑花(ゆかい)
イラスト:セキサトコ
ブックデザイン:山田和寛+竹尾天輝子(nipponia)
校正:鷗来堂
編集:津田淳子(水鈴社)

文選・植字/協力:市谷の杜 本と活字館(大日本印刷)

印刷・製本:映文社印刷
活字鋳造:佐々木活字店
活版印刷:五味印刷所

どうしても種字彫刻師のことを伝えたくてつくった本です。ひとりでも多くのかたに、いま私たちが使っているフォントの源流となる文字を彫った彼らのことを知っていただけたら、これほどうれしいことはありません。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

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