トントントン──こわいのは、なんの音?|シロクマ文芸部 お題「波の音」
小牧幸助さんの──
#シロクマ文芸部 お題で書きはじめるnote企画|「波の音」
──に参加しています。
今回は「400文字のショートショートを書く」という自分なりの課題を設定し、会話劇として仕立てました。
すぐそこにあるようで、もう遠い昔のような、子供の情景です。
『──波の音』
『あーよかった!』
『トントントン』
『なんの音?』
『──風の音』
『あーよかった』
「でもさ、『風の音』って、ほんとに怖くないのかな」
「怖くないだろ、ただの風なんだから」
「でも、台風だったらどうする?」
「あ、去年だっけ? 植木おばさんの家の屋根、飛ばされたよな」
「怖いじゃん」
「じゃあ、『波の音』は?」
「洪水だったらどうすんだよ、全部流されちゃうよ」
「──怖いな」
「──怖いよな」
「でも、一番怖いのはやっぱりおばけ!」
「お〜ば〜け〜の〜お〜と〜!」
「──でも、俺、おばけでもいいや」
「なんで⁉︎ おばけだぞ!」
「食べられちゃうぞ!」
「──おばけでもいいんだ、母さんに会えるなら」
「……ああ」
「……そっか」
「じゃあ今日は全部おばけ!」
「おばけ!」
晴翔は精一杯の低い声を出して叫んだ。
「お〜ば〜け〜の〜お〜と〜!」(了)
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