メインコンテンツへスキップ
見出し画像

見るだけなのに契約を求められる|作る人と見る人、招く相手で請求が変わる

    売上のデータをまとめて、グラフにする道具を1人分だけ契約しました。

    担当者が作って、会議で見せる。そのつもりで、ライセンスは1本だけ買いました。

    できあがったので、部長にもリンクを送ります。開いてもらうと、契約をアップグレードしてください、という画面が出ます。

    見るだけなのに、なぜ。

    この記事では、集計を配る道具と、共同編集のサービスを、マイクロソフトとNotionが日本語で公開している資料から並べます。どちらも、自分の画面では問題なく見えています。
    止まるのも、請求が増えるのも、渡した相手の側です。

    この記事は、マイクロソフトとNotionが日本語で公開している資料をもとに、2026年9月時点の内容にしています。プランの区分や条件は改訂されます。契約の前に、そのときの公式資料を確認してください。


    作る側と見る側で、ライセンスが別に数えられる

    例として、マイクロソフトのPower BIというサービスの説明を見ます。集計とグラフを作って社内に配る道具です。

    日本語の解説に、こうあります。

    Power BI アプリ ワークスペースにコンテンツを発行し、コンテンツを編集し、他のユーザーとコンテンツを共有するには、Power BI Pro または Premium Per User (PPU) のいずれかの有料ライセンスが必要です。

    作る側に有料の契約が要る。ここまでは想像どおりです。

    ところが、同じページの冒頭に、できることが3つで決まると書かれています。

    使用するライセンスとサブスクリプションの種類
    コンテンツを格納するワークスペースの種類
    ワークスペースに含まれるロールとアクセス許可

    契約だけではありません。置き場所と、その場所での役割が、同じ重さで並んでいます。


    置き場所で、見る側の条件が変わる

    ここが要点です。

    Premium 容量を使用すると、有料ライセンスを持つユーザーは、コンテンツを表示するユーザーの有料ライセンスを必要とせずに、コンテンツを広く共有できます。

    Premium容量というのは、組織として買う置き場所のことです。そこに置けば、見る人は無料の契約でよい。

    逆に言うと、そこに置いていなければ、見る人にも有料の契約が要ります。同じ解説に、はっきり書かれています。

    コンテンツを作成して共有する場合、または他のユーザーが共有し、そのコンテンツが Premium 容量にないコンテンツを開く場合は、有料ライセンスが必要です。

    冒頭の画面は、これです。作った人は契約を持っている。置き場所が組織の容量ではない。だから、見る人にも求められます。

    1人分だけ契約して全社に配る、という使い方は、置き場所を用意しないかぎり成立しません。

    グラフと元データの両方が、同じ置き場所に要る

    さらに、ややこしいところがあります。

    無料のユーザーがレポートにアクセスするには、レポートとその基になるセマンティック モデルの両方が Premium 容量にある必要があります。

    グラフの画面だけでなく、その元になっているデータのまとまりも、同じ置き場所に無ければいけない、ということです。

    片方だけの場合にどうなるかも書かれています。

    レポートが Premium 容量にあり、セマンティック モデルが Premium 容量にないワークスペース内にある場合、無料ユーザーは Pro、PPU、または試用版にライセンスをアップグレードするように求められます。

    作った本人の画面では、どちらも見えているので気づきません。配ってから分かります。

    買えば全員が無料で見られる、とは限らない

    置き場所を買えば済む、という話でもありません。同じページの「考慮事項と制限事項」に、規模の条件が書かれています。

    無料の Power BI ユーザーが Power BI サービスの Premium 容量で Power BI アプリと共有コンテンツを使用できるのは、 F64 SKU 以上の SKU (Stock Keeping Units) のみです。 F SKU が小さい場合、共有コンテンツにアクセスするには有料ライセンスが必要です。

    F64以上、と数字で決まっています。それより小さい容量を買った場合は、見る人にやはり有料の契約が要ります。

    「組織の容量を買いました」だけでは足りません。どの大きさを買ったかまで確かめます。


    契約が足りないのか、権限が無いのか

    もう1つ、契約とは別の軸があります。

    無料ライセンスを持つユーザーが Premium 容量のワークスペースを使用しようとしたときに、そのワークスペースにロールが割り当てられていない場合は、Pro、PPU、または試用版にライセンスをアップグレードするように求めるメッセージが表示されます。

    置き場所が正しくても、その人にその場所の役割が割り当てられていなければ、同じ画面が出ます。

    契約の話と、権限の話が、同じメッセージで出てくるわけです。だから「契約が足りないのだろう」と思って買い足しても直らない、ということが起こります。

    出てきたメッセージだけで判断せず、置き場所と役割の2つを見ます。

    誰にどの役割が割り当たっているかを書き出す作業は、別の記事で扱っています。共有リンクは転送できることと、退職者のIDが残ることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n88b3e264756d


    組織に入れるメンバーと、ページに招くゲストは別

    ここから、別の製品の話になります。つまずく場所は同じです。

    社内の情報共有に、共同編集のサービスを使っています。5人で契約しています。

    外部の設計会社と打ち合わせをすることになり、仕様のページを1枚だけ見てもらうことにしました。担当者のアドレスを入れて、招待します。

    翌月、請求が6人分になっています。1枚のページを見せただけです。

    請求は、メンバーの数で増える

    Notionの日本語のヘルプを見ます。まず、費用の数え方です。

    有料プランをご利用の場合、ワークスペース内のメンバーごとに請求が発生します。

    メンバーごと、です。人数で増えます。

    そして、メンバーとは別の招き方があります。

    ゲストは個々のページに追加できますが、ワークスペース全体に追加できません。

    ページ単位で招く相手がゲスト、組織全体に入れる相手がメンバー。この2つは別のものです。

    外部の設計会社に見せたいのは1枚のページですから、本来はゲストで足ります。にもかかわらず請求が増えたなら、メンバーとして入ってしまったということです。


    メンバーになる経路が、いくつもある

    どこでメンバーになったのか。ヘルプを読むと、経路が複数あります。

    1つ目、招待リンクを配った場合。

    チームメンバーのメールアドレスを手動で入力することなく、招待されたユーザーがシークレットリンクをクリックするだけで、有料メンバーとして自動的にワークスペースに参加してもらうことができます。

    有料メンバーとして自動的に、と書かれています。便利な機能ですが、外部の人にそのリンクを渡すと、そのままメンバーになります。

    2つ目、許可したメールドメインで入った場合。

    ワークスペースに参加したユーザーはそのワークスペースのメンバーになり、それに応じて課金が発生します。

    3つ目、設定によって、ゲスト招待そのものが封じられている場合。

    エンタープライズプランを使用しており、メンバーによるページへのゲストの招待をワークスペースオーナーが無効にしている場合、ページに招待されるユーザーは自動的にメンバーとして追加されます。

    ゲストのつもりで招待欄にアドレスを入れたのに、設定側でゲストが禁止されていると、メンバーになります。操作している人の画面では、同じ「招待」です。

    あとから変える場合についても書かれています。

    ゲストをメンバーにすると、そのユーザーはワークスペース全体にアクセスできるようになります。 有料プランをご利用の場合は、メンバーが追加されるたびに請求が発生します。


    押す前に、どう追加されるかを確かめられる

    防ぎ方も、同じヘルプに書かれています。

    上記の手順で 招待 をクリックする前に、ゲストの名前またはメールアドレスにポインターを当てると、そのユーザーがページにどのように追加されるのか詳細を確認することができます。

    押す前に確かめられる、ということです。

    ゲストとして招く手順そのものにも、分岐があります。ページの共有からアドレスを入れたあと、メンバーにするかどうかを選ぶ場面が出てきます。ヘルプの手順では、そこでこう指示されています。

    メンバーではなくゲストとして追加するため、今はスキップ を選択します。

    つまり、何も考えずに進むとメンバー側に寄る作りになっています。急いでいるときほど、そのまま進みます。

    なお、ゲストとして共有できない場合の理由も列挙されています。
    ワークスペースでゲスト数の上限に達している。
    ページへのゲストの追加が無効になっている。
    相手のメールドメインが、許可されているドメインではない。

    うまくいかないときは、この3つを先に見ます。

    期限つきで招く枠がある

    費用と、消し忘れの両方に効く仕組みもあります。

    一時メンバーという区分があり、有効期限を設定して招きます。期限が過ぎると自動でアクセスが失われます。期限は「本日から最大1年後」とされています。

    費用についてはこう書かれています。

    一時的なメンバーは有料シートを消費しません。

    ただし、この区分はNotionマーケットプレイスのコンサルタントと連携する場合の説明として書かれています。誰にでも使える枠ではありません。使えるかどうかは、自社の契約で確かめることになります。

    仕組みの名前は製品ごとに違いますが、期限つきで外部の人を入れる枠が用意されていることがある、という点は他のサービスにも共通します。探してみる価値はあります。

    そして、案件が終わったら外します。

    外部サービスの後始末を落とすと何が起きるかは、別の記事で扱っています。解約と、自社側の設定の削除が別の作業であることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n3f98920bc795


    渡す前に決める4つ

    2つの製品に共通しているのは、自分の画面では分からない、という点です。作った人も、招いた人も、自分の側では問題なく見えています。

    同じ端末を交代で使うときに、何を単位に数えているかは、別の記事で扱っています。共用パソコンの認証と、会議を同時に開ける数をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n46d27b9ebae5

    渡す前に決めることは、4つです。

    1つ目、何人に渡すかを先に数える。

    3人なのか、全社200人なのか。外部の1人なのか、一緒に働く5人なのか。ここで方針が変わります。

    2つ目、相手にも契約が要る形か、要らない形かを決める。

    組織として置き場所を買うか、見る人ぶんの契約を買うか。組織に入れるか、ページだけに招くか。人数が増えるほど、前者と後者の差が効いてきます。

    3つ目、置き場所と役割を、両方そろえる。

    置き場所はグラフと元データの両方。役割は、契約とは別に割り当てる作業です。片方だけでは効きません。

    4つ目、渡す前に、社内の誰か1人に試しに開いてもらう。

    自分の画面では分かりません。これが、いちばん確実です。

    そして、招くときは押す前に1回確かめます。月末の請求が増えてから調べるより、そのほうが早く済みます。


    まとめ

    集計やグラフを作って配る道具では、作る側と見る側の契約が別に数えられます。発行して他の人と共有するには有料の契約が必要と明記されています。

    見る側の条件は、置き場所によって変わります。組織として買う容量に置けば、見る人の有料契約は不要とされています。そこに置いていない場合は、見る側にも有料の契約が必要と書かれています。

    グラフの画面と、その元になるデータのまとまりの両方が、同じ置き場所になければいけません。片方だけでは、見る人にアップグレードが求められます。

    容量を買えば済む、という話でもありません。無料の利用者が共有コンテンツを使えるのはF64以上の区分のみで、それより小さい場合は有料の契約が必要とされています。

    契約が足りない場合と、権限が割り当てられていない場合で、同じ画面が出ます。買い足しても直らないことがあります。

    共同編集のサービスでは、組織に入れるメンバーと、ページ単位で招くゲストが別に扱われます。請求はメンバーの人数で発生すると明記されています。

    招待リンクを渡した相手は、クリックするだけで有料メンバーとして参加します。許可したメールドメインで入った人も、メンバーとして課金されます。
    設定によっては、ゲストとして招いたつもりの相手が自動的にメンバーとして追加されます。

    押す前に、その人がどう追加されるかを確認できる仕組みがあります。期限つきで招く区分が用意されている場合もあります。

    皆さんの会社で作っている集計の画面は、何人が見ているでしょうか。共同編集のサービスに、外部の人は何人入っていますか。それはゲストですか、メンバーですか。


    参考・引用元

    集計を配る道具

    共同編集のサービス


    実務で使う書式について

    この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。

    実務で使う書式・キット
    https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40


    関連する記事

    誰にどの役割が割り当たっているかを書き出す作業は、別の記事で扱っています。共有リンクは転送できることと、退職者のIDが残ることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n88b3e264756d

    外部サービスを閉じるときの手順は、こちらで扱っています。解約と、自社側の設定の削除が別の作業であることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n3f98920bc795

    自分の画面では正常に見える、という状態は、別の記事で扱っています。OneDriveの青い雲マークと、自分の画面だけでは分からない4つをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n42a8fbd13b62

    配る前に数字そのものを確かめる話は、こちらで扱っています。エラーが出ないまま合計が変わる4つの場面をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/nd4362ae125c1

    契約の期間と、やめたあとに残るものは、別の記事で扱っています。
    人数を減らせる時期がいつ決まるのかと、解約したあとに何が残るかをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n90d516e15c0d

    この記事はnoteマネーにピックアップされました

    noteマネーのバナー
     
     
    Digital Workplace Architect|社内外のIT・AIの導入と運用 IT・AI・セキュリティと周辺機器の「今さら聞けない」を一次情報で解説。書式・キットも。 Amazonのアソシエイトとして、梟 〜GLEANINGS〜は適格販売により収入を得ています。

    あなたへのおすすめ