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共有パソコン1台なら、契約も1本でよいのか|台数ではなく、人の数で決まっている

    工場の事務室に、共用のパソコンが1台あります。

    日勤と夜勤で、3人が交代で使います。事務用のソフトのライセンスは、1本でいいだろう。

    パソコンが1台なら、ソフトも1台ぶん。そう数えたくなります。

    入れてみると、最初の人は使えました。次の人がログインして開くと、表示はできるのに、文字が打てません。

    台数ではなく、人の数で決まっているものがあります。

    この記事では、共用パソコンのライセンスと、同じ人が同時に開ける会議の数を、マイクロソフトとZoomが日本語で公開している資料から並べます。別々の製品ですが、つまずき方は同じです。
    「1つあれば足りるはず」という数え方が外れます。

    この記事は、マイクロソフトとZoomが日本語で公開している資料をもとに、2026年9月時点の内容にしています。プランの名称や条件は改訂されます。契約の前に、そのときの公式資料を確認してください。


    共用パソコンには、専用のライセンス認証が要る

    「必要です」と書かれている

    まず、共用パソコンには専用の仕組みがあります。

    マイクロソフトの日本語の解説に、こうあります。

    複数のユーザーが同じコンピューターを共有し、ユーザーが自分のアカウントでログインしているシナリオでは、共有コンピューターのライセンス認証が必要です。

    必要です、と書かれています。あったほうがよい、ではありません。

    当てはまる場面も、例で挙げられています。
    工場の3人が同じパソコンを交代で使う場合。
    病院の15人の看護師が10台を使い分ける場合。
    5人が同じコンピューターにリモートで接続する場合。
    会議室や共通の場所に置いてある機械。

    冒頭の状況は、1つ目そのままです。

    1人が使えるようにしても、次の人は使えない

    人の側については、こう書かれています。

    各ユーザーにMicrosoft 365 Appsのライセンスを割り当て、ユーザーが自分のユーザー アカウントで共有コンピューターにサインインしていることを確認します。

    1人ずつに割り当てる、ということです。パソコンが1台でも、使う人が3人なら3人分です。

    同じ解説には、もっとはっきりした一文もあります。

    1 人のユーザーがコンピューターでMicrosoft 365 Appsをアクティブ化したからといって、コンピューターにサインインする他のすべてのユーザーに対してMicrosoft 365 Appsがアクティブ化されるわけではありません。

    最初の人が使えたことは、次の人の保証になりません。


    使えるプランが、限られている

    ここが、いちばん引っかかるところです。

    この仕組みは、どのプランでも使えるわけではありません。同じ解説に、はっきり書かれています。

    Microsoft 365 Business Premium プランは、共有コンピューターのライセンス認証のサポートを含む唯一のビジネス プランです。

    唯一、です。そして続けて、こうあります。

    Microsoft 365 Apps for businessを含む他のビジネス プラン (Microsoft 365 Business Standard など) がありますが、これらのビジネス プランには共有コンピューターのライセンス認証のサポートは含まれていません。

    名前が似ていて、値段も近いプランが並んでいます。その中で、共用パソコンに使えるものは限られています。

    もう1つ、注意書きがあります。

    共有コンピューターのアクティブ化は、Office for Macでは使用できません。

    共用機がMacの場合は、この仕組み自体がありません。

    プラン名を並べて選ぶと、この差は見えません。やりたいことから引く必要があります。


    割り当てが無い人は、読めるが直せない

    冒頭の「表示はできるのに、文字が打てない」の正体です。

    同じ解説に、機能が縮小されたモードの説明があります。

    このモードでは、ユーザーは Office ドキュメントを表示および印刷できますが、ドキュメントを作成または編集することはできません。

    読めて、印刷もできる。だから、壊れているようには見えません。ただ、作れないし直せない。

    この状態は、警告なしに起きます。ライセンスが割り当てられていない人がログインして開けば、そうなります。

    使えないと言われたとき、ソフトの不具合を疑う前に、その人に割り当てがあるかを見ます。

    誰に何が割り当たっているかを書き出す作業は、別の記事で扱っています。共有リンクは転送できることと、退職者のIDが残ることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n88b3e264756d


    30日で切れる。ネットにつながっていないと動かない

    もう1つ、知っておくと慌てずに済むことがあります。

    共有コンピューターに格納されているライセンス トークンは、30 日間のみ有効です。

    30日です。期限が近づくと自動で更新されますが、その人が30日サインインしなければ切れることがあります。次に使うときに、あらためて取り直します。

    そのために、こうも書かれています。

    共有コンピューターは、ライセンス トークンを取得または更新するために、インターネット上の Office ライセンス サービスに接続する必要があるため、共有コンピューターとインターネット間の信頼性の高い接続が必要です。

    つまり、共用機をネットにつながない運用にすると、この仕組みは動きません。工場や倉庫で、あえて外に出さない端末を置いている場合は、ここが引っかかります。

    なお、普通の使い方についても書かれています。

    通常、ユーザーは 5 台の PC など、限られた数のデバイスでのみMicrosoft 365 Appsをインストールおよびアクティブ化できます。

    こちらは台数の話で、共用の仕組みを使う場合はこの制限には数えないとされています。台数の制限と、人への割り当ては、別の話です。


    会議も、同じ人が同時に開ける数が決まっている

    ここから、別の製品の話になります。数え方は同じです。

    午後2時からの会議と、午後2時半からの会議が重なりました。どちらも社長が主催者として設定されています。社長は前半だけ出て、あとは部下に任せるつもりです。

    2つ目の会議の時間になり、参加者が入ろうとすると、入れません。

    会議室が足りないのではありません。

    契約の種類で、数が変わる

    Zoomの日本語のサポート記事に、この機能の説明があります。

    同時開催ミーティングの主催とは、同一のユーザーが同時に複数のミーティングを主催することです。この機能を利用できるかどうかは、ご利用のアカウントとライセンスのタイプによって異なります。

    そして、数字が書かれています。

    ベーシックユーザー、プロアカウントのライセンスユーザーは、同時に1つのミーティングしか主催できません。

    ビジネス、教育機関、およびエンタープライズ向けアカウントのライセンスユーザーは、最大2つのミーティングを同時に主催することができます。

    1つか、2つか。そういう区分です。

    数えているのは、主催する人ごと

    大事なのは、これが「会議室の数」ではなく「主催する人ごとの数」だという点です。

    同じ記事の例では、2人の利用者がいる場合、それぞれに上限が設けられているため、開催時間が重なっていても各人が1つずつ主催できる、と説明されています。そのうえで、こう但し書きが付いています。

    Johnが両方のミーティングをスケジュールして主催することはできません

    冒頭の場面は、これです。2つとも社長の名前で作ってあったので、社長1人の上限に当たりました。


    予約は、いくつでもできてしまう

    混乱のもとは、予約と開催が別だということです。

    スケジュールできるミーティングの数に上限はありませんが、実際に出席しているかどうかに関係なく、同時にアクティブにすることができるミーティングの数は1つだけです。

    予定表にはいくつでも入れられます。入れられるので、重なっていても気づきません。実際に始まる時刻になって、はじめて分かります。

    参加者側に何が見えるかも書かれています。

    ホストがまだ開始していないミーティングに参加者が参加しようとすると、そのホストにはほかに進行中のミーティングがあるというメッセージが彼らに届きます。

    社外の人に、その状態が見えます。

    できない組み合わせと、機械の側の条件

    上限のほかにも、条件があります。

    ユーザーは同時に複数のウェビナーを主催することはできません。

    ユーザーは、1つのミーティングと1つのウェビナーを同時に主催することはできません。

    説明会のような形式は、同時に2つ開けません。会議1つと説明会1つ、という組み合わせも駄目です。

    機械の側の条件もあります。

    これらのユーザーは同時に2つのミーティングをアクティブにすることができますが、通常は、ミーティングを別々のデバイスで開始および実行することで実現されます。これは、デフォルトでは、ユーザーはデスクトップアプリ上で同時に複数のミーティングへの参加または開始を行うことができないためです。

    2つ開けるといっても、1台のパソコンで2つ同時に、という形ではありません。端末を分ける前提です。

    据え付けの機械についての記述もあります。

    Zoom Roomで [ホストの前に参加] 機能を有効にして2つ目のミーティングを開始しようとすると、警告なしで最初のミーティングが終了します。

    進行中の会議が、警告なしに終わります。会議室に機械を据えている会社は、ここを知っておく必要があります。

    予約の画面では分からない、という形は、ファイルの共有でも起きます。

    自分の画面だけでは分からない状態の見分け方は、別の記事で扱っています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n42a8fbd13b62


    重なったときの逃げ方

    対処は、契約を上げることだけではありません。同じ記事に、運用での逃げ方が書かれています。

    1つ目、別の人を主催者にする。

    上限は人ごとなので、主催者を分ければ重なりません。予定を作る段階で、誰の名前で作るかを決めます。

    2つ目、代替ホストを設定する。

    いずれのミーティングも、元のミーティングホストまたは代替ホストが開始する必要があります。

    本人が出られなくても、代替ホストが開始できます。

    3つ目、ホスト権限を渡して退出する。

    ホストは、必要に応じて、ミーティングを退出し、別のユーザーにホスト権限を渡すことができます。

    前半だけ出る、という冒頭の想定は、この形なら成立します。

    どれも設定の話で、費用はかかりません。知っているかどうかだけです。


    買う前に、何を単位に数えているかを聞く

    2つの製品に共通しているのは、数え方です。

    共用パソコンは、台数ではなく使う人の数で数えます。会議は、会議室ではなく主催する人ごとに数えます。

    どちらも「1台だから1本」「1つの部屋だから1つ」という直感から外れています。外れる理由は、売る側が何を単位にしているかが製品ごとに違うからです。

    同じ製品でも、作る人と見る人で請求が変わる仕組みは、別の記事で扱っています。社外の人を招いたときに、誰の契約が減るかをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/ncc427cdd07c9

    導入の前に確かめることは、4つです。

    1つ目、その端末やその予定を「誰が」使うかを、人数で書き出す。

    台数でも部屋数でもありません。交代で触る人、名前で予約を作る人を数えます。

    2つ目、その人数ぶんの割り当てがあるかを見る。

    足りなければ、足りない人が読み取り専用になったり、開けなかったりします。

    3つ目、契約しているプランで、その使い方ができるかを確かめる。

    名前の似たプランで差が出ます。公式の一覧に当たります。

    4つ目、前提の条件を見る。

    ネットにつながるか、Macではないか、端末を分けられるか。どれも、仕組みが動くかどうかの前提です。

    そして、聞く順番があります。値段を聞く前に、この製品は何を単位に数えていますか、と聞く。人ですか、台数ですか、部屋ですか。値段は、そのあとで決まります。


    まとめ

    共用パソコンで事務用ソフトを使うには、専用のライセンス認証が必要だと明記されています。複数の人が自分のアカウントでログインして使う場面が対象です。

    利用権は端末ではなく人に割り当てます。1人がアクティブ化しても、ほかの人に対してアクティブ化されるわけではないと書かれています。

    この仕組みを使えるプランは限られており、ビジネス向けでは特定のプランだけが対応しているとされています。Mac版では使えません。

    割り当てが無い人が使うと、表示と印刷はできるが作成と編集ができない状態になります。壊れているようには見えません。

    共用機に保存される認証の情報は30日間のみ有効で、更新のためにインターネット接続が要ります。

    会議のサービスでは、同じ人が同時に主催できる数が契約の種類で決まっています。基本の区分とプロの利用者が1つ、ビジネスなどの区分の利用者が最大2つとされています。

    予約できる数に上限はありません。重なっていても予約の時点では分からず、始まる時刻になって分かります。主催者がすでに別の会議を開いていると、参加しようとした人にその旨が届きます。

    上限は人ごとなので、主催者を分ける、代替ホストを設定する、ホスト権限を渡して退出する、という運用で回避できます。

    皆さんの会社に、交代で使っているパソコンはありますか。同じ人の名前で予約されている会議は、重なっていないでしょうか。


    参考・引用元

    共用パソコンのライセンス

    会議の同時開催


    実務で使う書式について

    この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。

    実務で使う書式・キット
    https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40


    関連する記事

    誰に何が割り当たっているかを書き出す作業は、別の記事で扱っています。共有リンクは転送できることと、退職者のIDが残ることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n88b3e264756d

    自分の画面では正常に見える、という状態は、こちらで扱っています。OneDriveの青い雲マークと、自分の画面だけでは分からない4つをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n42a8fbd13b62

    カタログの数字が何を測ったものかは、別の記事で扱っています。駆動時間の測り方と、保守の翌営業日がいつから数えられるかをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/nb43bf2dd1174

    契約を終わらせるときの手順は、こちらで扱っています。解約と、自社側の設定の削除が別の作業であることをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n3f98920bc795

    ソフトの契約そのものを読む話は、別の記事で扱っています。
    人数を減らせる時期がいつ決まるのかと、解約したあとに何が残るかをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n90d516e15c0d

     
     
    Digital Workplace Architect|社内外のIT・AIの導入と運用 IT・AI・セキュリティと周辺機器の「今さら聞けない」を一次情報で解説。書式・キットも。 Amazonのアソシエイトとして、梟 〜GLEANINGS〜は適格販売により収入を得ています。

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