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【学び】HowからWhatへ|仕事の型と人文知をつなぐ5つの学び

はじめに

今回は、荒木博行さんのVoicy「夜プレ☆人文系書籍を読む理由は?/久保さんの組織対話カフェ」をきっかけに考えた、

仕事を覚えた先で、なぜ人は働く意味を問い始めるのか

という問いを、構造から整理していきます。

最初にHowを学び、現場で実践する。
経験を重ねた後に、WhatやWhyを問い始める。

今回のお話からは、この流れが単なる仕事の習得ではなく、人としての学びのプロセスにもつながっているように感じました。

ただし、HowとWhatは、どちらか一方を選ぶものではありません。

何度も往復しながら、自分の仕事や生き方を更新していくものだと思います。

学び① Howは、現場で働くための共通言語になる

新しい職場では、まずHowを身につける必要があります。

どのような順番で仕事を進めるのか。
どのタイミングで周りに声をかけるのか。
何を優先し、どのような状態を完成とするのか。

こうしたHowは、単なる作業手順ではありません。
その職場で積み重ねられてきた経験や失敗、価値観が反映されたものでもあります。

Howを学ぶことで、初めて周りと同じ前提に立てるようになります。

逆に、共通のHowを理解しないまま、自分のやり方や理想だけを持ち込むと、周囲との間に摩擦が生まれます。

本人は改善しようとしていても、周りからは「現場を理解していない」と見えてしまうことがあります。

目の前の仕事を覚えることは、自分の能力を証明するためだけではありません。

周りと一緒に働くための言語を、身につけることでもあるのだと思います。

学び② Howの積み重ねが、Whatを考える土台になる

Howを何度も繰り返していると、少しずつ仕事の全体像が見えるようになります。

なぜ、この順番なのか。
なぜ、このルールがあるのか。
本当に、この方法が最適なのか。

最初は言われたとおりに動いていたことに対して、疑問や違和感が生まれます。

この違和感が、Whatへの入口になるのだと思います。

山口周さんの『ニュータイプの時代』では、問題を解くことだけでなく、問題そのものを発見し、提起する力が重要だと整理されています。

また、HOWによって指示するだけではなく、WHATやWHYを共有することが、人を動かすうえで大切だと述べられています。

Howを知らなければ、現場の違和感がどこから生まれているのか判断できません。

しかし、Howだけを繰り返していても、その方法が何のために存在しているのかを考えなくなります。

まずはHowによって現場を理解し、その中で生まれた違和感からWhatを考える。

この順番には、現場を無視せずに問いを立てるための意味があるのだと思います。

学び③ 人文知は、答えではなく別の見方を与えてくれる

仕事で悩んだ時、私たちはすぐに使える解決策を探します。

コミュニケーションの方法。
リーダーシップの型。
時間管理の技術。
生産性を上げる仕組み。

こうしたHowを学ぶことは、目の前の問題を改善するうえで役立ちます。

しかし、Howだけでは整理できない悩みもあります。

なぜ働くのか。
自分にとって成長とは何か。
評価されることと、自分の価値は同じなのか。
組織のために働くことと、自分らしく働くことは両立するのか。

こうした問いには、決まった正解がありません。

だからこそ、哲学や歴史、文学、社会学といった人文知が必要になるのだと思います。

人文知は、目の前の問題を直接解決するというよりも、自分が使っている物差しそのものを見直すきっかけを与えてくれます。

ラース・スヴェンセンの『働くことの哲学』も、「仕事とは何か」という問いに手っ取り早い回答を示すのではなく、仕事と幸福、意味、自己実現などの関係を多面的に考える本です。

人文系の書籍を読む理由は、答えを増やすためではなく、見方を増やすためなのかもしれません。

見方が増えることで、

続けるか、辞めるか。
頑張るか、諦めるか。
評価されるか、評価されないか。

という二者択一から離れ、第三の道を考えられるようになります。

学び④ 信頼関係が、助けを求められる環境をつくる

Howを身につける過程では、苦手なことや失敗することも出てきます。
すべてを一人でできるようになる必要はありません。

大切なのは、壁に当たった時に助けを求められる関係をつくっておくことだと思います。

エイミー・C・エドモンドソンの『恐れのない組織』では、心理的安全性は個人の性格ではなく、集団の中につくられる規範として捉えられています。

対人関係への不安が強い環境では、分からないことを質問したり、失敗を報告したり、異なる意見を伝えたりすることが難しくなります。

助けを求められない職場では、本人が抱え込むしかありません。

目の前の仕事が終わらなくても相談できない。
自分の考えに自信がなくても確認できない。
限界に近づいていても、弱音を吐けない。

その状態でHowを極めようとすると、成長する前に疲弊してしまうことがあります。

信頼関係があれば、

「ここまではできますが、ここから先は助けてください」
「このやり方で合っていますか」
「今、自分一人では整理できていません」

と伝えられます。

Howを学ぶためには、本人の努力だけでなく、分からないと言える関係性が必要なのだと思います。

学び⑤ HowとWhatは、何度も往復する

守破離という考え方に重ねると、最初は型を守り、繰り返す中で自分なりの工夫が生まれ、やがて型が自分の中に馴染んでいきます。

ただし、HowからWhatへ進んだら終わりではありません。

Whatを問い直したことで、新しいHowが必要になるからです。

たとえば、

「お客様にとって心地よい時間とは何か」

というWhatを考えれば、今までのサービス方法を見直すことになります。

「このチームで働く価値とは何か」

というWhatを考えれば、会議の進め方や役割分担、声のかけ方というHowが変わります。

「自分は何を大切にして働きたいのか」

というWhatを考えれば、仕事の選び方や時間の使い方というHowが変わります。

つまり、成長の流れは、

Howを覚える

現場を経験する

違和感が生まれる

Whatを問い直す

新しいHowを試す

という循環になっているのだと思います。

一度Whatを考えたからといって、Howが不要になるわけではありません。
むしろ、Whatが変わるたびに、Howも更新されていきます。

現場と未来の間にあるもの

現場では、目の前の仕事を確実に行うことが求められます。

一方で、組織やリーダーには、未来を考え、今までのやり方を問い直す役割もあります。

どちらか一方だけでは、組織はうまく動きません。

現場だけを見ていると、今のやり方を繰り返すことが目的になります。
未来だけを見ていると、目の前で働く人たちとの間に距離が生まれます。
大切なのは、現場で積み上げたHowと、未来に向けたWhatをつなぐことです。

その間をつなぐものが、信頼関係なのだと思います。

目の前の仕事を一緒に行ってきた。
苦しい時に支え合ってきた。
失敗した時に責めずに考えてきた。

そうした関係があるからこそ、今までとは違う考え方を提案した時にも、耳を傾けてもらえるのではないでしょうか。

組織で転用するための3つの問い

今回の学びを現場で使うとすれば、次のような問いが考えられます。

今、身につけるべきHowは何か

まだ現場の前提を理解できていない段階で、自分のやり方を優先していないか。

まず覚えるべき型や、周りと共有すべき基準は何か。

今、問い直すべきWhatは何か

慣習として続けているだけで、目的が分からなくなっている仕事はないか。

その仕事によって、本来は誰にどのような価値を届けたいのか。

助けを求められる関係があるか

分からないことや苦手なことを、安心して伝えられる相手がいるか。

一人で抱え込んでいる人に対して、周りから声をかけられているか。

この3つを分けて考えることで、

本人の能力の問題なのか。
仕事の意味が見えない問題なのか。
助けを求められない関係性の問題なのか。

少しずつ構造を整理できるようになると思います。

まとめ|Howを学び、Whatを問い、またHowへ戻る

新しい現場では、まずHowを身につける。
Howを通じて、周りと働くための共通言語を持つ。
目の前の仕事を引き受けながら、信頼関係を積み重ねる。
経験を重ねた先で、仕事の意味や価値をWhatとして問い直す。

そして、見つけたWhatを、再び新しいHowとして現場に戻していく。
この循環が、仕事を覚えることを、人生の学びへとつなげていくのだと思います。

すべてを極めなくてもいい。
苦手なことがあれば、助けを求めてもいい。
問いにすぐ答えが出なくても、問いを持ったまま働いてもいい。

人文系の書籍を読むことは、目の前の仕事から逃げることではなく、目の前の仕事を別の角度から捉え直すことなのかもしれません。

Howだけでもなく、Whatだけでもない。
その間を何度も往復しながら、自分なりの働き方をつくっていく。

それが、現場で働きながら人文知を学ぶ意味なのだと思います。

▼この内容のきっかけになった問いはこちら


摩擦を、構造に。
問いを、資産に。

Yuta


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