
天井高7mの開放感がもたらす “生活と地続き”のクリエイティブ空間
ボーカルの吉田沙良とベースの角田隆太による、日本語詞とジャズ、ソウルを核に柔軟な音楽性で注目を集めるユニット=モノンクル。そのサウンドの要となる作詞・作曲家/ベーシストの角田隆太は、新たな拠点として天井高約7mのメゾネット空間を選んだ。「生活と地続きの制作環境」をテーマに、Ableton Push 3とMacBook Proを中心とした“In the Box”かつフィジカルなシステムを構築。AIツールの活用やゲームからのインスピレーションなど、独自の制作哲学が息づくプライベート・スタジオの全貌に迫る。

“光が入ること”が絶対条件だった
角田が案内してくれたのは、とある住宅街に位置するメゾネットタイプのスタジオだ。最大の特徴は、2階分を一体化させた約7mの天井高と、壁一面に広がる大きな窓。
「物件選びの条件は、リビングと制作部屋が地続きであること、そして“光が入ること”でした。防音性を高めようとすると窓を潰してしまいがちですが、僕は外の空気を感じながら制作したかった。幹線道路沿いなので外部ノイズは多少ありますが、窓が元々重厚に作られていたこともあり、録音後の処理で十分対応できます。それよりも、日差しを浴びながらリラックスして作業できるメリットの方が大きいですね」

スタジオの広さは約10畳。高い天井のおかげで反射音が少なく、録音に適したルーム・アコースティックが得られているという。
「壁面のコンクリートに合わせて吸音材もグレーと白で統一し、インテリアとしての居心地の良さも重視しました。デスクは父から譲り受けたアンティークの木製机を使っています。自分でも棚を取り付けたり、端材で小物を作ったりと、DIYで空間を作っていくのが好きなんです」


デスク上にはさまざまな機材が置かれているが、制作の中核を担うのは Ableton Push 3だという。
「コンセプトは“In the Box”で、PCとコントローラーだけで完結する環境です。Push 3を導入してからは、MIDIキーボードすら置かず、これをMIDIパッド兼鍵盤として使っています。何よりPC画面を見ずに音作りに没頭できるのがいいですね」

Push 3の両脇には、分割(スプリット)キーボード が配置されている。
「Push 3を中央に置きたかったので、PC用のキーボードは分割タイプを導入しました。慣れるまで1ヶ月かかりましたが、今は快適です。PCはApple MacBook Pro(M1 Max) をクラムシェル・モードで運用し、DAWは Ableton Liveを愛用して約7年になります」
外出先では、スピーカー付きのAbleton Moveを活用するという角田。
「現場やホテルの空き時間に制作することもあります。バックパック一つでどこでも同じ環境が作れる、というのが僕の理想のスタイルです」

ゲーム『サイバーパンク2077』から受けた衝撃
オーディオ・インターフェースにはApogee Symphony Desktopを採用。かつては同社Elementシリーズを使っていた角田だが、Symphony Desktopについては音質の良さとコンパクトさが気に入っているという。
「Symphony Desktop内のDSP処理に対応したApogeeプラグイン、ECS Channel Stripなどを掛け録りで使用しています。特殊なことはせずとも、通すだけで音が良くなるので気に入っていますね」

デジタル主体の環境で異彩を放つのがアナログ機材やユニークなガジェットたちだ。中目黒で購入したというSHARPのラジカセは、サンプリング用として活躍している。
「あえてラジカセの内蔵マイクで録ったりすることもあります。プラグインでは出せない味やノイズ感が欲しい時に重宝しますね」

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