〈発達障害を考える 第1部・脳を育てる〉⑤全6回
学校などで発達障害を疑われて受診する子どもが急増し、過剰な診断・投薬や教育現場での過度な受診勧奨が広がっている。問題の背景を探り、望ましい子ども支援のあり方を考える連載の第1部では、生活改善による「脳育て」を中心に、薬に頼らない医療を報告する。(文中敬称略、杉谷剛)
◆先生から「薬か何かもらって来て」と言われ診察に
「学校の先生方からの熱心な服薬勧奨があるとも伺っておりますが、(中略)どうか行き過ぎた服薬勧奨はお控えいただきますようお願いします」
「薬に頼らない精神科」を掲げる埼玉県越谷市の独協医大埼玉医療センターこころの診療科。教授で診療部長の井原裕は、発達障害で診察した生徒が学校に提出する診断書に、そう付記することがしばしばあった。
「学校の先生が親御さんに『お宅のお子さんは落ち着きがないから、医者に診てもらって薬か何かもらって来てください』と言うことがあるので、抗議の意味を込めて書きます。これまで10枚以上は書きました」
井原は付記で、患者の児童生徒には生活習慣をめぐる指導などを行っており、薬物療法は必ずしも必要ないと説明。その上で教師たちの行き過ぎた「プレ診断」を注意してきた。
「子どもは多動こそ正常です。問題行動でお困りなのでしょうが、対処法の工夫で対応すべきで、安易に薬を処方せよというのはいけない」
◆「毎年どんどん増えているとは考えられない」
2004年に発達障害者支援法ができ、教育現場や社会の発達障害への意識が高まり、特別支援教育を受けたり、受診したりする子どもが急増した。小中高校で通常の学級に在籍しながら、困りごとに応じて一部の授業を別の教室(通級指導教室)で受ける子どもの数がそれを物語る。
文部科学省の調べで、...
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