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「家族って、どうしてこんなに苦しいんだろう?」 ──シベリア抑留を経験した祖父の物語【第2話】|Maririn_Abe
家を出ると決めた夜の空気は、 冬の寒さとは また違う冷たさを 帯びていた。 弟と争ったわけでも、 激しく言い合ったわけでもない。 ただ、家のどこを歩いても、 祖父の影が 「もうそこに属していない」 ことだけが 静かに分かってしまったからだ。 長男として育てられた日々は、 もう誰の記憶にも 残っていないように見えた。 仏間の灯りの前で立ち止まったとき、 祖父は線香を取ろうとして、 ふと手を止めた。...