口紅

口紅(くちべに、lipstick)は、唇に使用する化粧品の一種[1]。メイクアップをする際、唇を彩るために使われ、その多くはスティック状である。
概要
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唇に色を付けて輝きやつや感を出すための化粧品である[2]。唇の彩色のほか、唇を乾燥から守ったり荒れを改善したりする機能を有するもの(トリートメント口紅)もある[2]。現代では口紅として流通するもののほとんどがスティック状口紅である[3]。一方、特に唇につやを与える目的で用いられる化粧品としてリップグロスがある[4]。リップグロスは開発当初は固形状の商品だったが、液状のものが主流になっており「液状口紅」に分類される[4](詳細はリップグロスを参照)。
口紅の意味で用いられる「ルージュ (rouge) 」は、フランス語で赤という意味である(フランス語で口紅を指す場合はRouge à lèvresという)[5]。単にルージュという場合には頬紅を含む場合がある(頬紅を参照)。専門的にもRougeは「紅類」とされ、口紅や頬紅(Cheek Rouge)を含む概念とされている(日本香料工業会「香粧品用香料の用途別特性」)[6]。ただし、日本では一般的にルージュは口紅と同義で使われている[7]。
英語では「リップスティック (lipstick) 」と言う。ただし、日本ではそのように略すと口紅より、主に唇の乾燥を防ぐために用いられるリップクリームを連想させる場合がある。
なお、単にリップ(Lip)という場合、口紅やリップグロス、リップクリームなどを広く含む[7]。
成分と形状
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成分
[編集]油性原料と色材を主成分とする油性タイプが主流であるが、これに水やグリコール類を加えた油中水(w/o)型乳化系の乳化型口紅などもある[2]。
口紅に用いられる色材には、有機色素(タール色素)、無機顔料、天然色素(カルミン(コチニール色素)、クチナシ、ベニバナなど)、光輝性粉体などがある[4]。
また、口紅に用いられる主なワックス成分には、鉱物由来のものと天然由来のものがある[4]。鉱物由来で精製品のパラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、鉱物由来で合成品の合成炭化水素ワックスなどがある[4]。天然由来のものには、ビーズワックス、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ライスワックスなどがある[4]。
形状
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- スティック状口紅
- 有機または無機の顔料と油性染料を混ぜてロウや油脂で固めたもので、口唇の表面温度で溶けるようにしたもの[3]。
- 水口紅
- 顔料などをエタノールやグリセリンで溶解し、それを精製水で調整したもの[3]。
- 練口紅
- スティック状口紅の油分を無油性クリームにしたもので、使用するときは紅筆を用いる[3]。
形状については、棒状のリップスティック、固形状の口紅をパレットに流し込んだパレットタイプ、鉛筆型あるいは繰り出しペンシルタイプのリップペンシルに分けられることもある[2]。
歴史
[編集]古代には魔除けや儀式に用いられたという[4]。ギリシャ・ローマ時代には植物などから取った色素を唇に塗布していたとされる[2]。
日本では江戸時代にはベニバナから採取した紅を付けることが行われていた[4]。口紅を塗る動作そのものを「紅を引く(べにをひく)」と表現することがある。古くは薬指のことを「紅差し指」とも呼んだ。→艶紅
スティック状の口紅は19世紀後半のフランスで開発された[4]。日本では20世紀前半に国産のスティック状口紅が発売された[4]。
口紅指数
[編集]2001年秋のアメリカ不況時、他の高級品の売り上げが低下する中、口紅の売り上げは反対に11%増加した。この現象はエスティローダーの会長レナード・ローダーによって、「口紅指数」(lipstick index) と命名された[8][9]。
米ボストン大学のジュリエット・ショア教授(経済社会学)は、1998年に出版した『浪費するアメリカ人:なぜ要らないものまで欲しがるか』にて、不景気時にぜいたく品を購入して快感を得る「口紅効果」を説明している[10]。
不景気時には服飾品等への出費が抑えられ、比較的安価で必需品でもある化粧品が購入されるためといわれている。ただし、口紅の販売数に関する統計資料は少なく、景気と「口紅指数」の相関ははっきりとしない。
脚注
[編集]- ↑ 久保田 領志、秋山 卓美、五十嵐 良明「マイクロ波分解–誘導結合プラズマ質量分析法による化粧品中の微量金属不純物分析法の検討」『日本香粧品学会誌』第44巻第4号、2020年、doi:10.11469/koshohin.44.289。
- 1 2 3 4 5 口紅 日本化粧品技術者会。
- 1 2 3 4 4.香粧品用香料の用途別特性(556ページ) 日本香料工業会。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 半山 敦士「口紅とは?」『化学と教育』第58巻第5号、日本化学会、2010年、234-235頁、doi:10.20665/kakyoshi.58.5_234。
- ↑ ルージュ(Rouge) 色彩図鑑(I-IRO|色彩アトラス)
- ↑ 4.香粧品用香料の用途別特性(553ページ) 日本香料工業会。
- 1 2 「ルージュ」と「口紅」「リップ」の違い 美的.com
- ↑ "Lip reading", The Economist, Jan 22nd 2009.
- ↑ MAUREEN DOWD "Oedipal Loop de Loop", The New York Times, December 2, 2001.
- ↑ “リセッションと「リップスティック効果」、その実際の関連性とは”. forbesjapan.com. 2025年2月10日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]ビデオ
- 「口紅ができるまで」 - 原料が口紅になるまでの間の工程の流れを説明した動画。取材先は資生堂 鎌倉工場(全15分) 1998年 サイエンスチャンネル