なぜ近鉄は「鉄道」のイメージを超えるのか? 営業収益の47%を占める事業とは! 一般消費者から見えにくい領域で何が起きているのか――「総合力」の広がりとは
鉄道・観光・食を結集した「総合力」

近鉄グループホールディングス(GHD)傘下の近畿日本鉄道(近鉄)、近鉄・都ホテルズ、近鉄リテーリングは、車内でフランス料理を提供するレストラン列車「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール・しま)」の運行を2026年11月1日から始める。
同列車は、名古屋と伊勢・志摩を結ぶ食事付きの観光列車である。旅行商品としては9月1日から一般販売を開始し、近鉄グループの旅行代理店・クラブツーリズムなどでは5月から販売していた。
車内で提供する料理は、近鉄・都ホテルズが運営する志摩観光ホテルの樋口総料理長が監修した本格的な「フレンチコース」と、近鉄・都ホテルズが監修した「フレンチ膳」の2種類。食事やドリンクの提供など、車内サービスは近鉄リテーリングが担う。
運行に向けては、既存車両の改造工事などに約7億5000万円(2025年10月発表時点)を投じた。鉄道、レストラン、食品流通、旅行代理店など、近鉄グループの「総合力」を生かした旅行商品だ。
近鉄GHDの母体である近鉄の歴史は、1910(明治43)年に発足し、1914(大正3)年に現在の奈良線を開業した旧大阪電気軌道に遡る。
旧大阪電気軌道はその後、自ら路線網を広げる一方、戦時中の軍事統制などを背景に周辺の多くの鉄道会社を合併し、1944年に近畿日本鉄道へ社名を改めた。
現在の路線網は大阪府・京都府・奈良県・三重県・愛知県の2府3県にまたがり、総営業キロ数は501.1kmと私鉄最長(2026年3月現在)を誇る。沿線にはふたつの国立公園、五つの世界遺産があり、都市間輸送、観光輸送、都市近郊輸送、地域輸送など、さまざまな役割を担っている。
戦後は早い段階から有料の特急列車を運行し、一部2階建ての「ビスタカー」をはじめ、「アーバンライナー」「さくらライナー」「伊勢志摩ライナー」「しまかぜ」「ひのとり」など、特色ある車両を次々と導入してきた。今回運行を始める同列車も、特急車両を改造したものである。