EVは“大容量電池”から脱却できるか? 10分で何が変わるのか! 電池を増やすほど難しくなるトラック輸送――商用車に広がる新たな可能性とは
国内保有率1.06%――商用EV普及を阻む「大容量バッテリー」の壁を、東芝の次世代電池が打ち破る。10分で80%という超急速充電により、大量の電池を積む「航続距離至上主義」から、「小型電池のつぎ足し充電で稼働率を高める」運用へと常識を覆す。物流の形を変革するパラダイムシフトの最前線に迫る。
商用車の常識を打ち破る次世代電池

日本のCO2総排出量(2024年度)のうち、運輸部門は全体の約19%を占める。さらに貨物自動車だけで運輸部門の38.3%を占めることから、トラックを中心とする商用車の電動化は、脱炭素社会の実現に向けた最重要課題といえる。
これまで、電気自動車(EV)の航続距離を伸ばすには、より大きなバッテリーを積むという考え方が一般的だった。だが商用車では、電池を増やすほど車両重量が増し、価格や積載量にも影響する。国内のEVトラック保有率が2025年3月末時点で1.06%にとどまり、小型で約32%の普及率に達する中国などと比べて大きく遅れている背景にも、こうした事情がある。
そこで別の方向からこの課題に向き合ったのが、東芝の次世代リチウムイオン電池「SCiB Nb」だ。ニオブチタン酸化物(NTO)を負極に用い、10分間で80%以上まで充電できる性能と、1万回以上の充放電後も80%以上の容量維持率をうたう。ここで見逃せないのは、これが「航続距離をさらに伸ばす技術」にとどまらない点だ。
運行途中や待機時間に短時間で充電できれば、最初から大量の電力を積んで走る必要性そのものが変わるかもしれない。
・電池を大きくするEV
・必要な分だけ積んで頻繁に充電するEV
では、商用車の使い方やコストはどう変わっていくのか。「SCiB Nb」の技術と実証事例から、その条件を探ってみたい。