「大丈夫なの?」スマホばかり見ていた息子。実は、私よりずっと策士だった
大学受験生だった息子は、家に帰ってくると、リビングでゴロゴロ横になってスマホを見ていた。
家にいる時間は、ほとんどそんな感じだった。
「大丈夫なの?」
私は、よくそう思っていた。
日中は学校。
放課後は塾で講習を受けたり、自習をしたりしている。
でも、そんな姿は私には見えない。
私が見るのは、家に帰ってきてからの息子。
リビングでゴロゴロしながらスマホを見ている姿だった。
だから私は、
「受験生なのに、こんな感じで大丈夫なのかな」
と思っていた。
そんな息子が、高校3年生の夏休みに、自分から言ってきた。
「夏休みは、毎日10時間勉強する」
夏休みの間、毎日10時間。
私はまた、ふざけて言った。
「じゃあ、できなかったらどうするか約束しようよ」
そして、
「中学生のときみたく、バリカンで坊主頭にするっていうのはどう?」
我ながら、身も蓋もない提案だった。
ところが息子は、
「いいよ」
と、その条件を飲んだ。
そして夏休み。
息子は、自分で決めた毎日10時間の勉強をやり切った。
だから、約束どおりバリカンで毛を刈られることはなかった(笑)。
ところが、夏休みが終わっても、家に帰ってくれば相変わらずゴロゴロしている。
私はまた、
「大丈夫なの?」
と思っていた。
そんな私が、あの頃の息子のことを知ったのは、大学に入ってからだった。
あるとき、私は息子に言った。
「本当に、あのときは大丈夫なのかなって心配してたんだよ」
すると息子は言った。
「俺、家はリラックスする場所だと思ってるから。勉強は外でする主義なんだよ」
「えー、そうだったの?」
私は本当に知らなかった。
そして、もう一つ驚いた。
息子は、受験についてもかなり調べていた。
一般入試の試験科目を調べ、自分はどの科目なら有利なのかを考える。
大学ごとの入試についても調べる。
さらに、給費で学費が全部無料になる大学まで探していた。
ただ勉強するだけではない。
自分がどうすれば有利に受験できるのか。
そこまで考えていた。
私は、スマホばかり見ている息子を見て、遊んでいるのだと思っていた。
でも、そのスマホで息子は、受験について調べていたのだ。
ここは、娘とはずいぶん違った。
娘は、とにかく勉強するタイプだった。
受験方式を細かく調べるより、目の前の勉強を一生懸命やる。
息子は違った。
勉強する。
そして、調べる。
自分に有利な方法を探す。
そして、その息子は現役で慶應大学に合格した。
大学に入ってから、私は初めて知った。
「俺、家はリラックスする場所だと思ってるから。勉強は外でする主義なんだよ」
「えー、そうだったの?」
あの頃、リビングでゴロゴロしながらスマホを見ていた息子。
私には、ただ遊んでいるようにしか見えなかった。
でも息子からすれば、外では勉強して、家では休む。
スマホでは受験について調べ、自分に有利な方法を探す。
夏休みには、自分で毎日10時間勉強すると決めて、ちゃんとやり切る。
……なるほど。
私が「大丈夫なの?」と心配している横で、息子は息子で、ちゃんと自分の作戦を立てていたわけだ。
今になって思えば、あのゴロゴロしていた時間まで含めて、全部、息子なりの受験だったのかもしれない。
やっぱり、息子のほうが私よりずっと策士だった(笑)。
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