√ルートの外で、生きてみた―人生は、答えを当てる問題じゃなくて、自分の式を描く「命題」なのかもしれない。―
今回は、少し遅れてのバトン参加です😂
noteで開催されている「#エッセイしりとり」のバトンを、
ひとひら|雨音美月さんからいただきました🌿
ひとつ前の記事タイトルの最後の文字を受け取り、その文字から始まるタイトルでエッセイを書き、また次の方へつないでいく企画です。
私がいただいた文字は、
「る」
でした。
……実は、バトンをいただいていたことに気づくのがかなり遅くなってしまいました😂
「今からでも大丈夫かな」と少し迷ったのですが、せっかくいただいた一文字。
考えてみたい!と思い、遅ればせながら参加させていただくことにしました。
「ラストシーンはもう決まっている」
ひとひらさんの記事は、
『ラストシーンはもう決まっている』
というタイトルでした。
小説を書くとき、最後に主人公が辿り着く場所を先に決めておく。
だからこそ、途中で迷ったり、予定とは違う方向へ進んだりしても、物語を自由に歩かせることができる。
そして、もし人生も同じように最後には幸せな場所へ辿り着くのだとしたら。
今は意味が分からない出来事も、遠回りに見える時間も、あとから振り返れば一つの物語をつくる場面なのかもしれない。
私は、そんなふうに受け取りました。
もちろん、人生の意味や未来については人それぞれだと思います。
それでも、
「今すぐ全部の意味を決めなくてもいいのかもしれない」
と思えて、少し心が軽くなりました。
そして読み終わったあと、こんなことを思いました。
もし人生のラストシーンで、
「私、幸せだった」
「愛を受け取り、愛を渡せた」
と思えたなら。
その感覚こそ、私が何度でも戻っていく「根」のようなものなのかもしれない、と。
ひとひらさんの記事はこちらです🌿
ひとひらさんの物語
ひとひらさんは、恋愛やBLを中心に、人の心のとても繊細な部分を描かれている作家さんです。
私が特に印象に残っているのは、
『僕の声を、君にだけ』。
自分の声を傷つけられ、その声そのものを嫌うようになった少年が、ひとりの女性との出会いをきっかけに、少しずつ自分自身を取り戻していく物語です。
読んでいて私は、
傷は、共感や愛の中で少しずつ癒えていくこともあるのだな
と感じ、とても心に残りました。
言葉の奥。
沈黙の奥。
傷ついた理由のさらに奥。
人には、外から見えるものだけでは分からない何かがある。
今回書こうとしている「人に√をつけ、その奥の根を見てみる」という発想とも、どこか重なるような気がします。
ほかにも『取り残された春』『鏡に映る嘘』など、切なさや言葉にならない感情を描いた作品を書かれています。
▶︎ ひとひらさんのカクヨム
「る」を考えていたら、数学にルートがあった
さて。
「る」から始まるタイトル。
ルール。
ルビー。
留守番。
いろいろ考えていたのですが😂
そんなとき、ちょうど数学の問題を解いていて、目の前にこれがありました。
√
ルート。
「あ、これかもしれない」
と思いました。
そして同時に浮かんだのが、英語の route。
道。
道筋。
進路。
同じ「ルート」という音なのに、
routeは、どこへ進むか。
√は、数字の奥に何があるのか。
を見ています。
そこから、
『√ルートの外で、生きてみた』
というタイトルが浮かびました。
道の外に出ると、道そのものが見えることがある
私たちの周りには、
学校へ行って、
進学して、
就職して、
働いて――
というような、「標準的なルート」があるように見えることがあります。
もちろん、その道が自分に合っている人もいるし、そこで幸せを見つける人もいます。
でも、そこから外れたとき。
それは本当に、
「道を失った」
ということなのでしょうか。
もしかしたら、地図に線が描かれていないだけで、その先にも道があるのかもしれません。
道の中にいるときは、
「どうやってこの道を進もう」
と考えます。
でも、一度外へ出ると、
「そもそも、私はなぜこの道を歩いていたんだろう?」
と、道そのものを眺められることがあります。
考えてみると、私は物語を書くときにもよく似た問いを置いています。
「本当に、この未来しかないのかな」
「別の道を選んだらどうなるんだろう」
「変えられないものの中にも、まだ選べるものは残っていないだろうか」
最近書き始めた長編版、
『この季節の残りを、君と』
も、私にとってはそんな問いから生まれた物語の一つです。
変えられないことがあっても、
誰と出会うのか。
誰を大切にするのか。
与えられた時間を、どんな時間として生きるのか。
そこにはまだ、選べるものが残っているのではないだろうか。
物語を書くことは、
「本当に、このルートしかないの?」
と世界にそっと問いかけることなのかもしれません。
▶︎ 『この季節の残りを、君と』
人にも、√をつけてみたら
数学では、
√9 = 3
です。
「9」という結果から、その奥にある「3」を探していく。
しかも名前は、
平方根。
もちろん数学としては別の意味がありますが、問題を解いていた私は、
√は、表面からその奥の“根”を探しにいく記号みたいだな
と勝手に人生へ重ねてみました😂
もし人にも√をつけてみたら。
学生。
会社員。
父親。
母親。
研究者。
成功した人。
失敗した人。
そんな外から見える言葉の奥に、
好きだったもの。
諦めたもの。
守りたかった人。
誰にも話していない夢。
本当は選びたかった未来。
いろいろなものがあるのかもしれません。
人を理解するということは、
目の前にある「答え」だけを見るのではなく、
そこに辿り着くまでの式を少しずつ知っていくこと
なのかもしれない。
そんなふうに思いました。
√2は、割り切れない
数学には、きれいに終わらない数もあります。
たとえば、
√2 = 1.41421356……
割り切れません。
でも、だからといって√2が「失敗した数字」になるわけではありません。
人生にも、
「あれは何だったんだろう」
と、何年経っても答えが出ない出来事があります。
予定していたところへ行けなかったこと。
遠回りだったように思える時間。
きれいに説明できないこと。
でも、
割り切れないことと、価値がなかったことは、同じではない。
数学を見ながら、そんなことも思いました。
幸せは、ゴールより「根」に近いのかもしれない
ここでもう一度、ひとひらさんの
『ラストシーンはもう決まっている』
を思い出します。
もし人生の最後に、
「私、幸せだった」
と思えたとしたら。
それは最後に突然手に入る答えというより、
ずっと地面の下で自分を支えてきた「根」なのかもしれません。
誰を愛したかったのか。
何を大切にしたかったのか。
どんな時間に心から笑えたのか。
何を見たときに、
「生きていてよかった」
と思えたのか。
それらが根にあるなら、
routeが途中で変わっても、
また歩き出せる気がします。
だから人生には、
二つのルートがあるのかもしれません。
目的地へ進む route。
そして、
自分の根を確かめる √。
外へ進みながら、ときどき自分に√をつけてみる。
「私は、本当は何を大切にしたかったんだろう」
と根を確かめて、
またrouteを選び直す。
そんな歩き方も、あっていいのかなと思います。
私なりの「命題」
最後に、タイトルに使った
「命題」
という言葉について。
数学で「命題」は、真か偽かを考えられる文を指します。
でも今回、私がこの言葉を使ったのは、それだけではありません。
私にとって人生は、
「命をどう使うか」を考え続ける“題”
でもあるように感じたからです。
何に時間を使うのか。
誰を大切にするのか。
何を守りたいのか。
どんなときに、
「生きていてよかった」
と思えるのか。
それを考え続けることが、
私なりの「命題」なのかもしれません。
人生は、
用意された正解を当てる問題というより、
自分で問いを立て、自分なりの式を描いていくもの。
最短ルートではなくてもいい。
途中でrouteを書き換えてもいい。
割り切れない部分が残っていてもいい。
最後に、
「私、幸せだった」
と思える根を大切にできたなら。
私は、そんな人生を描いていけたらいいなと思います。
おわりに
今回の「#エッセイしりとり」は、私が気づいたときにはすでに企画期間を過ぎていました😂
なので、今回はバトンを次の方へお願いするのではなく、
ここでそっと置いておこうと思います🌿
でも、この文章を書きながらどうしても紹介したくなった作品があります。
澄風 灯音さんの『Dear Fifty, From Five』。
50歳の女性・灯子さんと、5歳の男の子・朔太郎くんが出会い、
人とのつながりや居場所を通して、
それぞれの人生を少しずつ見つめ直していく物語です。
私が好きなのは、
人生をまるごと「やり直す」というより、
今いる場所から、もう一度続きを描いていく
ような優しさがあるところ。
今回「ルートの外」を考えていて、
この物語にもどこか通じるものを感じました。
▶︎ 澄風 灯音さんのカクヨム
▶︎ 灯音さんのnote
そして、紹介してくださったひとひらさん、
すてきなバトンと、ここまで考えるきっかけをありがとうございました☺️
▶︎ ひとひらさんのカクヨム
▶︎ ひとひらさんのnote
少し遅れての参加になってしまいましたが、
「る」という一文字から、
思いがけず自分の人生のルートまで考える時間になりました🍀
いいなと思ったら応援しよう!
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます😊
これからも物語や絵本を紡ぎ続けるために、サポートしていただけたらとても嬉しいです🌿
いただいたチップは創作費として大切に使わせていただきます☺️
