協業とは 顧客価値を高める取組みを検証してみた
企業活動をしていると、「協業」という言葉を耳にすることがあります。
「他社と協業する」
「協業パートナーを探す」
「協業によって新しい事業をつくる」
など、さまざまな場面で使われています。
では、そもそも協業とは、何なのでしょうか。
単純に考えれば、企業同士が協力して仕事をすることです。
しかし、実際に企業同士が一緒に仕事を始めようとすると、
「誰が何をするのか」
「どこまで担当するのか」
「費用はどうするのか」
「利益をどう分けるのか」
など、さまざまな条件を決める必要があります。
そこで今回は、「協業とは何か」を改めて整理しながら、企業同士が協業するときに、何を最初に考えるべきなのかを考えてみます。
協業とは、企業同士が強みを持ち寄ること
協業とは、複数の企業や組織が、それぞれの強みや経営資源を持ち寄り、共通の目的に向かって事業を行うことです。
協業には、業務提携や販売提携、技術提携など、さまざまな形があります。
例えば、
自社には技術があるが、販売力がない
自社には販売網があるが、提供できるサービスがない
自社にはノウハウがあるが、新しい市場への接点がない
このような場合、それぞれが持っているものを組み合わせることで、単独ではできなかった事業を実現できる可能性があります。
つまり協業とは、
「自社にないものを、他社の強みで補う」
という考え方から始まります。
協業には、さまざまな形がある
協業と一言でいっても、その形は一つではありません。
例えば、
業務を共同で行う
技術を提供する
商品やサービスを販売してもらう
販売代理店として展開する
お互いの商品やサービスを組み合わせる
新しい商品やサービスを共同開発する
などがあります。
重要なのは、
「どの協業形態が正しいのか」ではありません。
何を実現したいのかによって、適した形が変わるということです。
そのため、協業を考えるときには、いきなり契約条件を決めるのではなく、
「何のために協業するのか」
を最初に考える必要があります。
協業で大切なのは、役割を決めること
企業同士が協業するとき、それぞれの役割を明確にすることが重要になります。
例えばA社とB社が協業するとします。
A社には技術があり、B社には販売力があるとします。
この場合、
A社が技術を提供し、B社が販売を担う。
という役割分担が考えられます。
A社の強み
│
│ 技術・ノウハウ
↓
┌────────────┐
│ 顧客への提供価値 │
└────────────┘
↑
│ 販売・顧客接点
│
B社の強み
このように考えると、協業とは単に「一緒に仕事をすること」ではなく、
それぞれの強みを組み合わせて、一社では提供できない価値をつくること
だと分かります。
協業のメリットは、単純なコスト削減ではない
協業のメリットとして、技術やノウハウ、リソースの共有などが挙げられます。
自社だけでは不足しているものを、他社と組むことで補えるからです。
また、新しい市場へ進出したり、新しい顧客層へ商品やサービスを届けたりすることも可能になります。
一方で、協業にはリスクもあります。
役割分担が曖昧だったり、目的が一致していなかったりすると、
「思っていた仕事と違う」
「相手に期待していたことが実現しない」
「どちらが責任を持つのか分からない」
といった問題が起こります。
つまり、
協業すれば必ずシナジーが生まれるわけではありません。
お互いの強みが、同じ方向を向いていることが重要です。
協業で最初に確認したいのは「誰の価値を高めるのか」
ここで、協業について少し違った角度から考えてみます。
企業同士が協業するとき、
「自社にどんなメリットがあるのか」
「相手企業にどんなメリットがあるのか」
という視点は当然必要です。
しかし、それだけでは協業の目的が「企業同士の利益」に閉じてしまいます。
本当に重要なのは、その先にいる顧客です。
A社の強み ─┐
├→ 顧客価値
B社の強み ─┘
A社とB社が協業することで、
「顧客にとって何が良くなるのか」
を考える。
これが、協業を考えるうえで重要なのではないでしょうか。
例えば、A社だけでは提供できなかったサービスを、B社の販売網を通じて顧客に届けられるようになれば、それは顧客にとっての価値になります。
反対に、企業同士にはメリットがあっても、顧客にとって何も変わらないのであれば、その協業には別の目的が必要になります。
協業を考える順番は「目的」から
協業の話になると、つい最初に、
「手数料はいくらにするのか」
「月額はいくらにするのか」
「利益を何%にするのか」
といった条件の話になりがちです。
もちろん、事業として成立させるためには必要な話です。
しかし、順番を変えて考えてみると、協業の形も変わってくるかもしれません。
まず、
何を顧客に提供したいのか。
次に、
そのためにA社は何を担うのか。
そして、
B社は何を担うのか。
そのうえで、
どのような仕組みが必要なのか。
最後に、
その役割に対して、どのような契約条件が適切なのか。
と考えます。
つまり、
目的
↓
顧客価値
↓
役割分担
↓
協業の仕組み
↓
契約条件
という順番です。
この順番で考えると、「条件が合うから協業する」のではなく、
「目的を実現するために、この条件が必要になる」
という考え方になります。
協業とは、契約することではない
協業という言葉からは、企業同士が契約を結び、一緒に仕事をすることを想像しがちです。
しかし、契約そのものが協業の目的ではありません。
協業によって実現したいものがあり、そのために企業同士が役割を分担します。
そして、その結果として顧客に新しい価値を提供する。
その価値が顧客に認められることで、協業する企業双方にも事業上の価値が生まれます。
A社の強み
+
B社の強み
↓
顧客価値を高める
↓
顧客に選ばれる
↓
A社・B社双方の事業価値
この循環が成立して、初めて協業の意味が生まれるのではないでしょうか。
まとめ
協業とは、企業同士が単純に協力して仕事をすることではありません。
それぞれの強みを持ち寄り、一社だけでは実現できない価値を顧客に提供するための取り組みです。
そのためには、
「誰と組むか」より先に、「何を実現するために組むのか」を考える。
そして、
「どんな条件なら協業できるか」より先に、「顧客価値を高めるために、それぞれが何を担うのか」を考える。
協業の形は、その結果として決まってくるものなのかもしれません。
企業同士の強みを組み合わせる。
その先にいる顧客の価値を高める。
そして、その価値が双方の事業価値につながっていく。
私は、協業とは、そんな循環をつくるための取り組みなのだと考えています。
