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書けない原因を調べてみた⑧|集中力



はじめに

「今日はちゃんと書こう」

タイトルを見つめて、一行目を書こうとして……。
ふとスマホを見る。
通知が一件。
「返信だけしよう」
そう思ったはずなのに、気が付けばSNSを見て、新刊情報を見て、おすすめ動画まで流れてきてしまう。

そんな経験、ありませんか?
私はあります。
というか、ありすぎます。

「集中力がない人間なんだな」
私はずっとそう思っていました。

でも心理学や認知科学を調べてみると、どうやら集中力とは、「気合い」で何とかするものではないようです。

ということで今回は、創作者目線で「集中力」について調べてみたいと思います。


集中力は「切れるもの」らしい

私は昔、
「集中できる人は何時間でも集中できる」
と思っていました。

でも研究を読んでみると、人間の注意はずっと同じ状態では続かないそうです。

認知心理学では、注意には限りがあり、長時間同じ課題を続けると少しずつ低下していくことが知られています。

つまり、
集中が切れるのは失敗ではなく、
脳としては普通の反応。
ということなんですね。

「今日は集中できない!」
そんな日があるのも、不思議ではなかったようです。


小説を書くって、思った以上に忙しい

調べていて改めて思ったのは、
小説を書くって、本当に同時進行が多い作業なんだということでした。

主人公の気持ち。
前の伏線。
口調。
世界観。
テンポ。
誤字。
読者に伝わるか。

頭の中では、こんなにたくさんの情報を一度に扱っています。

以前の記事で書いたワーキングメモリとも関係しますが、
小説を書くということは、
「一つのことだけ考える作業」
ではないんですね。

だから少し疲れるだけでも、
「あれ、何を書こうとしてたっけ?」
となりやすいのかもしれません。

……私なんて、登場人物の名前を忘れて前のページを見返すことまであります。
「お前が作ったんだろ!!」
と、自分で自分にツッコミを入れています😂


「ちょっとだけ」が積み重なる

集中できない日は、
不思議なくらい周りが気になります。

スマホ。
通知。
飲み物。
立ち上がってお菓子を取りに行く。
「あ、洗濯終わってる」
「そういえば夕飯どうしよう」
一つひとつは数十秒。

でも気付けば、
文章を書く時間より、
中断している時間の方が長かったりします。
認知科学では、
課題を切り替えるたびに、
脳は元の作業へ戻るための準備をしていることが報告されています。

この切り替えには、
思っている以上にエネルギーを使うそうです。

だから私は最近、
「5分だけスマホ」
より、
「5分だけ書く」
方が結果的に楽なのかもしれないと思うようになりました。


集中は「伸ばす」より「戻す」

調べながら一番印象に残ったのは、

集中力とは、
切れない能力ではなく、
戻ってくる能力なのかもしれない。

ということでした。

私は以前、
一度集中が切れると、
「今日はもうダメだ」
そう思っていました。

でも、
「じゃあ100字だけ戻ろう」
そう考えるようになってから、
意外と続きを書ける日があります。

もちろん、
100字で終わる日もあります。
でもゼロよりは前に進んでいます。

心理学でも、
小さな目標を設定すると行動を始めやすいことが報告されています。
「最後まで書く」
ではなく、
「一段落だけ」
「100字だけ」
そんな小さな区切りが、
集中を取り戻す助けになるのかもしれません。


おわりに

今回、集中力について調べてみて一番印象に残ったのは、

集中力は才能ではなく、限りある資源なのかもしれない。

ということでした。

私は今でも、スマホを開いて、「あ、また30分たってる!」なんて日があります。

締切前なのに、部屋の掃除を始める日もあります。
普段掃除なんて大嫌いでやらないくせに、なぜ今日なのでしょうね?ほんとうに不思議です。

でも以前より、
「私は集中力がない」
ではなく、
「今日は集中を使い切っているのかもしれない」
そう考えられるようになりました。
集中できない日は、自分を責めるより、もう一度戻る。
100字だけ戻る。
その繰り返しでも、作品は少しずつ前へ進んでいきます。

もしこの記事を読んでくださったあなたが、
「今日は全然集中できない」
そう感じているなら。
1時間頑張ることより、
5分だけ戻ってみる。
その5分が、次の5分を連れてきてくれるかもしれません。



書けない理由は、これだけではありません。
創作者目線で「書けない」の正体を、またひとつずつ調べていけたらと思います。
また一緒に考えていただけたら嬉しいです。
書けない私が、もがきながら前に進もうとした記録も別の記事にまとめています。
「書けない時間」を過ごしているあなたに、少しでも寄り添えたら嬉しいです。


書けないことを、責めないで。
この本を読んだら、少しだけ進めるかもしれません。


「書けない原因」を調べてみています。
よければ過去作もぜひ🍀

📖書けない原因を調べてみた①|完璧主義
📖書けない原因を調べてみた②|先延ばし
📖書けない原因を調べてみた③|脳の疲れ
📖書けない原因を調べてみた④|睡眠
📖書けない原因を調べてみた⑤|「やる気が出ない」の正体
📖書けない原因を調べてみた⑥|自分に厳しすぎる
📖書けない原因を調べてみた⑦|SNSと比較
📖書けない原因を調べてみた⑧|集中力
📖書けない原因を調べてみた⑨|「自分を甘やかす」は、本当に悪いこと?



参考文献

① 注意資源・注意の限界
Daniel Kahneman (1973). Attention and Effort
https://archive.org/details/attentioneffort0000kahn

② ワーキングメモリ
苧阪直行(2005)
『特集「ワーキングメモリと注意の脳内表現」によせて』https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/48/4/48_477/_article/-char/ja/
苧阪直行(2007)
『メタ認知と前頭葉―ワーキングメモリの認知神経科学からのアプローチ―』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/50/3/50_216/_article/-char/ja/

③ タスク切り替え(Task Switching)
Rubinstein, Meyer & Evans (2001).
Executive Control of Cognitive Processes in Task Switching
https://psycnet.apa.org/record/2001-17152-001

④ 小さな目標と行動
Locke, E. A., & Latham, G. P. (2002).
Building a Practically Useful Theory of Goal Setting and Task Motivation
https://psycnet.apa.org/record/2002-12738-005

⑤ 日本心理学会
https://psych.or.jp/


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