見出し画像

書けない原因を調べてみた⑨|「自分を甘やかす」は、本当に悪いこと?



はじめに

「今日は疲れたし、もういいや」
そう言ってパソコンを閉じる。
「今日は自分を甘やかそう」
好きなお菓子を食べて、お風呂にゆっくり入って、少し早めに布団へ入る。
その日は少しだけ楽になります。

でも翌日。
「昨日も書かなかったな」
そう思った瞬間、胸の奥が少しだけ重くなる。
「やっぱり甘やかしすぎなのかな」
「もっと根性があれば書けたんじゃないかな」
そんなふうに昨日の自分を責め始めると、不思議なくらい今日も机へ向かいづらくなります。

そんな経験、ありませんか?
私はあります。

むしろ、この「書けない原因を調べてみた」シリーズを書き始める前の私は、ずっとそんなことを繰り返していました。

でも心理学を調べてみると、「自分に優しくすること」は、私が思っていた"甘やかし"とは少し違うようでした。

ということで今回は、創作者目線で「自分を甘やかすこと」について調べてみたいと思います。


「もっと頑張れ」は、本当に効く?

私は昔、
「もっと頑張れ」
「努力が足りない」
そんな言葉を、自分へ何度も言っていました。
厳しくした方が、人は成長する。
そう思っていたからです。

でも研究を読んでみると、失敗したあとに自分を強く責め続けることは、次の挑戦を難しくしてしまうことがあるそうです。

心理学者クリスティン・ネフは、失敗した自分にも思いやりを向ける姿勢を『セルフ・コンパッション(Self-Compassion)』と呼びました。

ここでいう「優しさ」は、
「今日は何もしなくていいよ」
という意味ではありません。
「今日はうまくいかなかったね。でも、また明日やってみよう」
そんなふうに、自分を支える態度です。

もし友達が、
「今日は全然書けなかった」
と言ったら、
「才能ないね」
なんて言わないですよね。
なのに、自分には平気で言ってしまう。
……耳が痛いです。


「甘やかす」と「諦める」は違うらしい

調べながら、一番安心したことがあります。
セルフ・コンパッションは、

怠けることではない

ということです。

研究では、自分に優しい人ほど、失敗から立ち直りやすく、もう一度挑戦しやすいことが報告されています。

つまり、
今日は休もう。
でも、明日はまた書こう。
その両方を認められる力。
それが、自分に優しくすることなのかもしれません。

ここで私は、
「あれ? この話、どこかで見たような……」

そう思って読み返してみると、
このシリーズの⑥「自分に厳しすぎる」でも、セルフ・コンパッションは出てきました。

あのときは「自分を責め続けると書けなくなる」という話。
今回は「休んだあと、また机へ戻るためにも必要だった」という話。
同じ考え方なのに、違う場面でちゃんと役に立つ。
心理学って、調べれば調べるほど面白いですね。


私は「できなかったこと」しか見ていなかった

思い返してみると、

私はいつも、
「今日は1000字書けなかった」
そう考えていました。

でも一日を振り返ると、
・仕事をした。
・洗濯をした。
・ご飯を作った。
・資料を読んだ。
・主人公について少し考えた。
全部やっているんです。

それなのに、
「書けなかった」
その一つだけで一日を評価していました。

だから毎日、
「負けた」
そんな気持ちになっていたんですね。
最近は少しだけ考え方が変わりました。

100字しか書けない日でも、
「100字書けた」
そう数えるようにしています。

もちろん、その100字で終わる日もあります。
でも、その方が次の日は机へ向かいやすい。

自分を責め続けるより、自分を励ます方が、結局は創作を続けられるのかもしれません。


「また戻ってこられる人」が一番強い

今回調べながら、一番印象に残ったのは、

創作は、
毎日完璧に走ることではない。
ということでした。
疲れる日があります。
休みたい日があります。
どうしても書けない日もあります。
そんな日に必要なのは、
「もっと頑張れ」
ではなく、
「今日はここまで。また明日」
と言えることなのかもしれません。

優しさは、創作を止めるものではありません。
もう一度机へ戻るための力。
そんな役割もあるようです。


おわりに

今回、一番印象に残ったのは、

自分に優しいことは、甘やかすことではなく、創作を続けるための技術なのかもしれない。

ということでした。

私は今でも、
「今日は何もできなかった」
と思う日があります。
きっとこれからもあります。

でも以前より、
「今日は疲れていたのかもしれない」
そう考えられるようになりました。
今日は少し、お休みする日なんだ。
明日はちゃんとパソコンへ向かおう。
決意をして、今日は私を甘やかすのです。
…まあ、また次の日も甘やかしちゃうときも、ありますけども。
そのときはまた、私もこの記事を読み返そうと思っています。

休む日があってもいい。
でも、また戻ればいい。
創作は、その繰り返しなのだと思います。

もしこの記事を読んでくださったあなたが、
「私は甘えているだけなんじゃないか」
そう悩んでいるなら。
一度だけ、自分に友達と同じくらい優しくしてみませんか。
その優しさは、
創作を止めるためではなく、
また机へ戻るための力になる。

自分を甘やかすことは、創作を諦めることではない。
長く書き続けるための、一つの技術なのかもしれません。



書けない理由は、これだけではありません。
創作者目線で「書けない」の正体を、またひとつずつ調べていけたらと思います。
また一緒に考えていただけたら嬉しいです。
書けない私が、もがきながら前に進もうとした記録も別の記事にまとめています。
「書けない時間」を過ごしているあなたに、少しでも寄り添えたら嬉しいです。


書けないことを、責めないで。
この本を読んだら、少しだけ進めるかもしれません。


「書けない原因」を調べてみています。
よければ過去作もぜひ🍀

📖書けない原因を調べてみた①|完璧主義
📖書けない原因を調べてみた②|先延ばし
📖書けない原因を調べてみた③|脳の疲れ
📖書けない原因を調べてみた④|睡眠
📖書けない原因を調べてみた⑤|「やる気が出ない」の正体
📖書けない原因を調べてみた⑥|自分に厳しすぎる
📖書けない原因を調べてみた⑦|SNSと比較
📖書けない原因を調べてみた⑧|集中力


参考文献

Kristin Neff (2003). Self-Compassion: An Alternative Conceptualization of a Healthy Attitude Toward Oneself
https://self-compassion.org/wp-content/uploads/publications/SCtheoryarticle.pdf

Kristin Neff 公式サイト(セルフ・コンパッションの解説)
https://self-compassion.org/

Neff, K. D., & Germer, C. K. (2013). A Pilot Study and Randomized Controlled Trial of the Mindful Self-Compassion Program
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23070875/

日本心理学会(セルフ・コンパッション関連コラム)
https://psych.or.jp/

Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control
https://psycnet.apa.org/record/1997-08589-000





いいなと思ったら応援しよう!

あきざくら あひる 応援頂けると、私のテンションがあがって毎日がよりハッピーになることでしょう。 頂いたチップは私が楽しくなれること(例:酒)に使わせて頂きます。