向き不向きの話【経営者・起業家】
経営というものに「向き・不向き」はあるのだろうか。
社員にはがっかりされるかもしれないが、僕は自分が経営に向いているタイプだとは思っていない。華やかなビジョンを語り、人を熱狂させ、どんなピンチも「面白くなってきた」と笑い飛ばせるような経営者像。世の中にはそういう存在がいるし、実際に結果を出している起業家を見るたびに、自分との差を感じることがある。
経営者に必要な資質
経営者に必要な資質を考えたとき、大きく二つあると思っている。
一つは体力。
これは満たせている自覚がある。持って生まれたものがあるし。走ることも習慣にしているし、長時間の稼働にもある程度は耐えられる。トラブルが重なっても、現場を回し続けるだけの持久力はある。
もう一つは覚悟だ。
この「覚悟」という言葉に、最近よく引っかかる。
他の起業家を見ていると、自分にはその覚悟が足りないのではないかと感じることがある。
僕は、自分がスペシャルな人間ではないことをとっくに理解している。何も失わずに何かを手に入れられるほど、甘い世界ではないことも知っている。だからこそ、自分の人生の一部を差し出すことも受け入れてきたし、自分の幸せを後回しにしてでも会社のために動くこともいとわない。
ここまで聞けば、覚悟があるように思われるかもしれない。
だが、どこかで「自分の幸せ」に対する執着が薄い。
大金持ちになりたい、誰よりも成功したい、圧倒的に勝ちたい。そういったわかりやすい欲望が、僕の中には強く存在していない。
ピンチに陥ったとき、メンタルが落ちたとき、「まあこんなものか」と妙に冷静になってしまう自分がいる。感情を爆発させてでも状況をひっくり返す、そんなタイプではない。
圧倒的な経営者になれる素質とは
真の起業家というのは、窮地に立ったときこそ燃える存在なのではないか。
逆境を楽しみ、追い込まれるほど強くなる。そういう資質こそが経営に向いているのではないかと考えてしまう。

もしかすると、僕は「良い上司」にはなれても、「圧倒的な経営者」にはなれていないのかもしれない。
だが、ここで立ち止まるつもりはない。
向いていないと思うことと、やらないことは別だ。
資質が足りないと感じるなら、鍛えればいい。覚悟が足りないと感じるなら、自分なりの覚悟の形を見つければいい。
僕にとっての覚悟は、「自分を犠牲にすること」ではなく、「会社とともに成長し続けること」なのかもしれない。欲望で突き進むタイプではなく、責任で前に進むタイプ。派手ではないが、積み重ねることでしか到達できない場所を目指す。
せめて社員たちに恥じない姿を
AI INNOVATIONという組織も、まだ発展途上だ。
僕自身も、まだ未完成だ。
だけどそういった組織と人間だからこそ、作れるものがあると思っている。
完成された人間が経営をするのではなく、未熟な人間が挑戦し続ける姿そのものが、会社の文化をつくるのだと思っている。

社員たちに恥じない経営者でありたい。
今はまだ足りないと感じる部分が多い。それでも、会社とともに、自分ももう一段、二段、大きくなる。その過程を逃げずに引き受けることが、今の僕にできる覚悟だ。
向いているかどうかは、最後に振り返ったときに決まるのかもしれない。
少なくとも今は、向いていないと思いながらも前に進み続けている。その積み重ねが、いつか「向いていた」と言える状態をつくると信じている。
