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人生はだいたい非線形だ

僕は大学で数学科にいた。
数学には「線形」と「非線形」という考え方がある。

ものすごく雑に説明すると、線形というのは入力に対して出力が素直に比例する世界だ。

1を入れれば1。
2を入れれば2。
10を入れれば10。

グラフにすれば直線になる。

一方で非線形はそうではない。

1を入れたら1になるとは限らない。
10を入れてもほとんど何も起きないこともあれば、ある地点を超えた瞬間に100になったり1000になったりする。

入力と出力が単純には比例しない。
そして僕は最近、人生なんてだいたいこっちだよなと思う。

4期目までは、死にかけながら生き延びただけだった

会社をやって、前身の会社から数えれば今期で7期目になる。
今では社員が80人を超えた。
こうやって数字だけを見ると、順調に会社が成長してきたように見えるかもしれない。

全然そんなことはない。

特に4期目くらいまでは、成長したというより死にかけながらなんとか生き延びていたという表現のほうが近い。

売上が思うように上がらない。
人が増えない。
お金もない。
何をやれば正解なのかもよくわからない。

それでも毎日働いた。

今日頑張ったから明日会社が大きくなるわけではない。
営業を10件したから1件受注できるわけでもない。
採用に力を入れたから来月10人増えるわけでもない。
発信したからすぐに仕事につながるわけでもない。

努力と成果が比例するのであれば、経営はもっと簡単だったと思う。
でも現実は違った。

ずっと何も起きないように見える期間があって、少しずつ何かが変わり始めて、あるところから会社の景色が急激に変わっていった。

社員が増える。
実績が増える。
実績が次の仕事を連れてくる。
人が人を連れてくる。
取引先とのつながりが新しい取引先につながる。

昨日までの一つ一つの小さな行動が、別の何かと掛け合わさって大きな結果になる。

気づけば80人を超えていた。
もちろん、まだまだ小さな会社だ。

それでも4期目までの僕が今の会社を見たら、たぶんかなり驚くと思う。
あの頃から今日まで、きれいな直線を描いて成長したわけではない。

人生はだいたい非線形なのだろうと改めて思った。

だから微力には意味がある

僕はよく「微力」という言葉を使う。

大きなことを成し遂げる特別な才能が自分にあるとは思っていない。
だからできることを少しずつやる。

一件営業する。
一人と会う。
一つ勉強する。
一本noteを書く。
一人採用する。
一つ新しいことに挑戦する。

一回一回は微力だ。
その一回だけを切り取ったら、人生なんてほとんど変わらない。

今日noteを書いたところで会社の売上が急に倍になるわけではない。
今日誰かと会ったから人生が変わるとも限らない。
今日一日必死に働いたところで、明日の朝に会社が突然100人になるわけでもない。

でも非線形な世界では、それでいい。
むしろ今日の入力に対して今日の出力を求めすぎることのほうが危ない。

10努力したのだから10返ってこい。
こんなに頑張ったのだから結果が出るはずだ。
これだけやったのだから評価されるべきだ。

人生を線形だと思っていると、こう考えてしまう。
でも実際には10入れて0の日なんていくらでもある。
100入れて1しか返ってこない時期もある。
逆に、過去に入れ続けた1000の微力がどこかでつながって、たった一つのきっかけから10000になって返ってくることもある。

だから僕は微力を止めたくない。
今日の努力が何になるのかわからなくても、とりあえず入力し続ける。

それくらいしか僕らにはできないのだと思う。

人の成長だって直線ではない

これは社員育成でも感じる。
人の成長も非線形だ。

昨日教えたから今日できるようになる。
そんなに簡単なら育成で悩む人はいない。

何度言ってもできない。
同じ失敗をする。
本人も頑張っているはずなのに、なかなか成果として表れない。

育てる側からすると焦る。
僕自身も短気なので、なぜできないのかと思ってしまうことがある。
でも、自分の人生を振り返ればそんなことを言える立場ではない。

僕だって何年も何年も大した結果を出せなかった。
会社を始めて4年間、必死にやっても80人の会社にはならなかった。

それなのに社員には数日で変化を求めてしまう。
これは反省しなければならない。
人間の成長は一次関数ではない。

ずっと横ばいに見えていた人が、何かをきっかけに突然伸びることがある。
今まで教えてきたことがある瞬間につながって、一気に理解することもある。

もちろん、何もしなくてもいつか突然成長するという話ではない。
入力は必要だ。

勉強する。
失敗する。
怒られる。
挑戦する。
考える。
また失敗する。

その一つ一つがすぐ成果になるとは限らないだけだ。
だから育てる側も、目の前の出力だけを見てはいけないのだと思う。

今どれくらいできるかだけではなく、どれくらい入力しているか。
どれくらい挑戦しているか。
どれくらい変わろうとしているか。

そして、その入力がいつ大きな変化につながるかわからないということを忘れないようにしたい。

うまくいっていないこともたくさんある

もちろん今の僕にも、うまくいっていないことはたくさんある。

仕事だってそうだ。

会社が80人を超えたからといって、経営者として急に優秀になったわけではない。
むしろ会社が大きくなったことで、今まで見えなかった問題がたくさん見えるようになった。
採用も育成も組織も営業もプロダクトも、課題だらけだ。

恋愛だってそうだろう。
頑張ったからうまくいくわけではない。
優しくしたから好きになってもらえるわけでもない。
何回会ったから関係が進むという公式もない。

むしろ人間関係なんて、非線形の代表みたいなものなのかもしれない。
ある一言で急に距離が縮まることもあれば、一つの出来事で急に遠くなることもある。
こちらが100を入れたから、相手から100返ってくるなんて保証はどこにもない。

仕事より難しい。

少なくとも会社なら売上や利益という数字があるが、人間の感情にはそんなわかりやすい目的関数すらない。
だから、うまくいかない。
それでいいとは言わない。
うまくいかせたいものは、うまくいかせたい。

僕だってそんな達観した人間ではない。
結果が出なければ落ち込むし、焦るし、悔しい。

ただ、今日結果が出ていないことと、この先も結果が出ないことは同じではない。
そこは分けて考えたい。

直線ではないから面白い

もし人生が完全に線形だったらどうだろう。

努力量を入力すれば、将来の成果が計算できる。
100勉強すれば100賢くなる。
100働けば100会社が大きくなる。
100人に会えば、そのうち10人と必ず仕事になる。

全部計算できる。
それはそれで楽なのかもしれない。
でも、たぶん面白くない。

たった一人との出会いが人生を変えることがある。
なんとなく始めたことが数年後の仕事になることがある。
死にかけながら続けていた会社が、いつの間にか80人を超えることもある。
逆に、絶対にうまくいくと思っていたものが一瞬で崩れることもある。

予測できない。
比例しない。
思い通りにならない。

人生はだいたい非線形だ。
だから僕らにできることは、未来のグラフを正確に描くことではない。

今日できる微力を入力し続けることだ。
今うまくいっていないこともある。

会社にもある。
社員育成にもある。
僕自身にもある。
恋愛にもある。

それでも、今日の出力だけを見て未来を決めつけないようにしたい。
昨日と今日で何も変わっていなくても、昨日と10年後が同じとは限らない。

僕自身のこの7年間が、何よりそれを証明している。

だから今日も微力を尽くす。
人生は直線ではない。

その曲線がどこで跳ねるのかなんて、まだ誰にもわからない。

#人生 #数学 #経営 #社員育成 #微力

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