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イタリア在住日本人がタリンでラトビアTVのインタビューを受けるまで(下)


ラトビアTVのインタビューを受ける

18時を少し過ぎたあたりでDavidsさんから「入り口に向かっています。」というメッセージが届いた。これから入場しようという人や、自分の席に向かう人でごった返すロビーの混雑に巻き込まれないように、でも見つけやすいようにと気を配った場所で待機していると、Davidsさんとカメラマンがやってきた。

挨拶を交わし、どこでインタビューをするのか聞くと、ロビーでやるというのだ!人目につかない、静かな場所でやるのだと思っていたのでいきなり緊張がマックスになってしまったが、いまさら「嫌です」とも言えないので、Davidsさんとカメラマンが場所を決めるために歩く後について行った。ロビー通路の真ん中で、バールの前、スケート用品の売店の横だけれど、棚の後ろで人の流れが入ってこられないところに立ち止まって、ここにしようということになった。

ふと気が付くと、すぐ近くに知り合いのカメラマンと以前Facebookアカウントのお手伝いをしていたスケーターのご両親がいて、何が始まるのだろうという顔でふとこちらを見たりしていた(恥)

目の前をひっきりなしに人が往来し、国営TVのニュースキャスターで顔が知られているDavidsさんは、結構声をかけられる。「ラトビア人が随分来ていてびっくりした。」とDavidsさんが言う。そして応援しているスケーターについてなんとなく話が始まり、カメラマンは早くもその様子を撮影しているようだ。しばらく話したところで、「じゃあ、撮影しようか。」と言われたので(え、まだこれから始まるのか?最後まで持つかな。)と少し心配になったが、Davidsさんとはすぐに打ち解けることができたので、何とかなるだろうと思いなおした。

首元と肩から下げていたショルダーバッグの中にマイクを仕込み、「カメラは見なくて良いから。」と言われて、Davidsさんのインタビューが始まった。経験豊富なDavidsさんは、時に思いもよらない質問を繰り出し、一瞬どう答えようかと目が泳いでしまったこともあったが、だいたいの質問には問題なく答えられた。

手持ちバナーを出して「これは彼の出身地のカラーで、ダークブルーとシルバーとブラックを使っている。」と説明したり「彼がきっかけでラトビアに関心を持った人は私の他にも大勢いる。私も5回ラトビアに行っているし、2023年の歌と踊りの祭典にも行けた。本当に素晴らしい体験だった。」とラトビアが好きなアピールも忘れなかった。応援用にラトビア文様のマフラーを身に着け、同じ文様が入りラトビアカラーのトートバッグも持っていたので完璧だった。そして10年も応援している大好きなスケーターについてなので、ここぞとばかり褒めて褒めて褒めまくり、プロモーションに努めた。もちろん、本当にそう思っていることしか言ってないのだが、それを150%ぐらい増しでお話した。

インタビューの撮影が終わり、私の手持ちバナーをなめるように至近距離で撮影してから、カメラマンからもう1つリクエストがあった。ロビーを遠くから歩いてきて、カメラマンがいる位置の少し前の入り口から会場内に入る様子を撮影したい、と言われたのだ。「カメラの方を見てはいけない、自然に、あまり早すぎないように歩いて。」と言われ、先方の合図を待って歩きだす。(カメラの方を見てはいけない、自然に、自然に)と心の中で唱えながら会場内に入った。1回目は歩き方が早すぎると言われて撮りなおしになった…

もう一度、さっきのところまで戻って、こんどはゆっくり、時々あたりを見回し、目指す入口を探している風な小芝居をしながら、カメラマンのいる少し前の入り口で曲がって会場内に入った。今度はOKが出てほっとした。

ごたごた面倒くさいことを言ったが、Davidsさんとのインタビューはとても楽しい経験だった。何よりスポーツ全般を取材するDavidsさんが、ラトビアではマイナースポーツのフィギュアスケートをこんなに熱心に取材してくださっているのがありがたかった。

Davidsさんは「フィギュアスケートは不思議だ。他のスポーツは強い選手や強いチームだから人気があるけれど、このスポーツだと、最終順位の選手でも良い演技をしたら、観客が熱狂的に拍手や声援を送ってくれる。自分の国だけではなく、他国の選手の国旗まで持って応援している。実に興味深い。」と言っていた。

「もしミラノのオリンピックの取材にいらっしゃるのでしたら、私にできることは何でもお手伝いします。もちろん有名なキャスターでいらっしゃるあなたには、私の手伝いなど必要ないかもしれませんけれど。」と伝えた。広域開催のオリンピックなのでラトビアのTV取材班は4か所に担当が分かれ、Davidsさんはちょうどミラノが担当だと喜んでくださって、ミラノや日本に行くときは、必ず連絡すると言ってくれた。

カメラマンとDavidsさんと固い握手を交わして分かれ、すでに競技が始まっている会場の自分の席の入り口を入ると、さっき撮影をそばで見ていた知り合いのカメラマンとまた会った。「エキストラもやっていたの?」と少し笑いながら言われたので、歩くところの撮影も見られたらしい(苦笑)「あなたの奥さんが来ていたら、あなたの奥さんもやるはずだったインタビューなのよ。」と返し、同じスケーターを応援してくれているけれど、気管支炎と膝の怪我で来られなかった奥さん(彼女もカメラマン)の容体を訪ねたりの会話を少し交わした。そのうちスケーターの演技が終わったので、きりが良いところで自分の席に向かった。

まとめ

欧州選手権直後に密着取材の動画は公開されたが、ファンとジャーナリストのインタビューはその中にはなかったので、いずれドキュメンタリーとして編集されるのだろう。20分以上は話したと思うのだが、そのうち何分の映像が使われるのかはわからないが、興味深いドキュメンタリーができるようにと願っている。

Davidsさんは私が応援しているスケーターが野外の凍った湖(彼のホームタウンの近くには湖がたくさんある)で滑る様子を撮影してみたいと言っていて、実は私も、最近かなりいろいろなスケーターがシェアしている、そういう映像がとても素敵なので、いつか彼が滑っているところも撮影されればよいのにと思っていた。

そちらのほうも、実現するようにと願っている。とはいえ、Davidsさんと話した後お父様に「ホームタウンの近くの凍った湖で滑る姿を撮影したいと言ってましたよ。実現したら私のドリームカムトゥルー企画なんですけれど。」と言ってみたのだが、お父様は「湖が凍る季節に息子が来ていることはほぼない。」とややシニカルなつれない返事だった。その後本人にもDavidsさんのアイデアを話してみたが、彼は彼で「あの辺の湖が凍ることはそんなにない。」と言うのだった。「タイミングが難しいかもしれないけれど、いつか実現すると、私だけではなく多くのファンが喜ぶと思うので、故郷の湖がダメなら、拠点の近くのスイスの湖でも良いから撮影できないかしらね。」と重ねて言ってみた。さて、この願いが実現することはあるのだろうか。


応援しているラトビア代表のデニス・ヴァシリエフス選手の動画も、よろしければご覧ください!

イタリアのフィギュアスケートサイトに記事を投稿しています。このマガジンに入れた記事は今のところ私が担当したものが大部分です(元はイタリア語)よろしければこちらもお読みください。