イタリア在住日本人がタリンでラトビアTVのインタビューを受けるまで(中)
リモートインタビューを提案してみた
自分はインタビューを受けたくないが、応援する選手のファンで母数が一番多いのは日本人なのも事実。Davidsさんが日本まで取材に来たいと思っているなら、何とか日本のファンのインタビューを実現したい。そこで思いついたのが、今回タリンには来ていないが日本のファンクラブを一緒にやっている同僚を推薦することだった。「私より英語がうまいし、Aさんにリモートでインタビューをやってもらっては?」と同僚の名を出すとお母様もがぜん乗り気になった。「それは素晴らしい考え。早速Davidsさんに提案してみて!」とメッセージが来る。
日本が朝になるのを待って、今度は同僚にリモートインタビューの話をふってみることにした。日本のファンクラブでファンミーティングを開催するときは、いつも彼女が司会と通訳をやっている。
これまでのいきさつとお母様の希望を伝えると、同僚はすぐ「リモートならもちろん大丈夫です。」と返事をくれた。「名前と顔が出ますけど、そこもOKですか?」と重ねて確認する。彼女は仕事の関係で名前や顔を出すことに非常に慎重だった。過去に「名前は出さない」という約束でラトビアの雑誌の取材を受けたのに、雑誌を読んだら名前がしっかり入っていたことがあって、彼女がとても困っていたのを思い出したからだ。「大丈夫です。」と言ってくれたので、同僚が日本のファンクラブの責任者であること、自分より英語がうまく、インタビューには彼女の方が適任なので、日本のファンの声として、リモートで彼女のインタビューを取り上げてはどうかと書いて、Davidsさんにメッセージを送ってみた。
しばらくしてDavidsさんから来た返事には「リモートではなく、現地にいるファンをインタビューしたい。あなたがタリンにいるのなら、あなたがインタビューを受けてほしい。2017年はかなり前の話だし。」だった。また振出しに戻ってしまった。
Davidsさんの返事をお母様にメッセージすると「じゃあ、あなたがインタビューを受けてAさんの業績を話してはどうかしら。私は彼女にずっと感謝しているの。ファンクラブを立ち上げたころに彼女の支援がなかったら、息子は競技を続けられなかったと思っているわ。」と書いてある。わざわざ同僚にお願いしたのにどうしよう、ここで結局私がやると言えば、彼女が気を悪くしないかと、どう返事をして良いかわからずしばらく考えることにした。
1時間ほどしてDavidsさんからもう一回メッセージが来て「お母様と話した。何とか日本のあなたの同僚とリモートインタビューをする方法を考えてみるので、心配しないで」と書いてあった。ああ、良かった。と思ってDavidsさんに同僚の連絡先を送り、お母様にもそのように報告し、これで一件落着だと思っていた。
結局自分でやることになった
ところがそこでお母様から返ってきたメッセージは「どうか、あなたもインタビューを受けてください。うまく話せるかなど心配しなくてよいので、できる範囲で。リモートインタビューがいつできるかわからないし、英語の部分が多ければ多いほど国際的になるから。」と書いてあった。
内心(えー、話が違う…)と思ったが、Davidsさんと話して何か新事実があったのかもしれないし、お母様の希望はかなえたかった。事情を説明し、お母様のメッセージをスクショして添え、もう一度同僚に了解を求めた。「結局私にインタビューやってほしいと言ってるんです。」と。同僚が「大丈夫です、気にしないでください。」と言ってくれたので、今度はもう1回Davidsさんにメッセージを送った。「いろいろ言ってすみません。もしまだ私のインタビューが必要なら、喜んでお受けします。」と書いて。
Davidsさんからはすぐに返事が来て、土曜日、男子競技の開始時間にロビーで落ち合うことになった。
インタビュー当日、観戦するファンだって忙しい
インタビュー当日になった。朝はインタビューのシミュレーションをし、伝わりやすい言い回しを考えたり、メモを書いたり、今更だけれど言いにくい単語の発音練習などしてみた。そしてその日のスケジュールだが、朝メインリンクで男子の練習がある。応援している選手は第3グループなので10時40分開始。10分ぐらい前には着けるようにホテルを出たい。しかし、いったんホテルを出たら、インタビューの時間まで戻れない。男子の前にアイスダンスの試合がある。その後の休憩時間にホテルまで戻って着替えたりお化粧を直したり(TVに写るので!)する時間はない。
会場から歩けるところのアパートに泊まっている友人に「休憩時間にお化粧直しに行っても良いか?」と聞いてみた。インタビューを受ける話を知っている彼女はすぐオーケーを出してくれた。ヘアアイロン、メイク洋品、歯ブラシなどを持って会場へ行く。
ホテルから会場まではバスで20分ぐらいだった。会場に入ると先に来たファンたちは、主に選手がウォーミングアップをする場所に近い座席に座っていた。お目当ての選手が姿を現すとスマホで動画を撮るからだ。
私はそれとは離れた、人がいない方の一番後ろの席に座る。その方がリンク全体が見やすいのだ。Davidsさんがカメラマンを連れてやってきた。私が紹介した中国人のカメラマンに近寄って、何か話しかけたり、カメラのモニターを確認する様子を接近して撮影したりしている。(あんなに近くから撮られるの嫌だな)と思ってその様子を見ていた。
練習が始まる直前にご両親も見に来た。お母様は熱心だが、お父様はそれほど席に座っていない。立ったり、移動したり、外に出て煙草を吸ったりしている。緊張しているのだろうか。当日なので選手はだれもが追い込んだ練習はせず調整している感じで、時間より早く上がってしまう人もいた。
男子の練習を2グループ見て、試合が始まるまでそのまま会場のカフェで軽くお昼を食べることにした。郊外にある会場付近には他に食事ができるところがあまりなく混雑していたが、何とか座れる場所を見つけてスープを飲んだ。
その日の試合は13時から16時20分までアイスダンスの決勝戦(フリーダンス)があり、休憩をはさんで18時から男子の決勝戦(フリースケート)があった。Davidsさんとは18時にロビーで落ち合うことになっている。
欧州選手権で私が一番好きな競技はアイスダンスで、華やかで個性的な演技がたくさん見られ、とても楽しい。その日も次の男子競技やインタビューの心配を忘れて観戦を楽しんだ。そしてフリーダンスが終わるとすぐアパートを使わしてくれる友達にメッセージを送る。表彰式は見ずアパートに行かせてもらうためだ。友人と会場入り口で落ち合い、徒歩6・7分の友人が借りているアパートに向かう。その週はずっとどんよりとした天気だったが、土曜日は風が強くて雪がちらつき、昨日までよりかなり寒かった。フードを目深にかぶってすでに暗くなり始めている道を急いで歩く。
アパートに着くと時間を確認し、会場に戻らなければいけない時間から逆算して、準備の手順を考えた。友人が淹れてくれたお茶を飲み、軽く間食してから化粧直しをしてヘアアイロンで髪を整え、歯を磨いた。
約束の時間の10分前には会場に入れるように友人のアパートを出たが、会場に近づくと入口に並んでいる列が見えてきた。間に合うように中に入れるか少し慌てたが、5分ぐらい並んで中に入れたので、そのまま入り口付近でDavidsさんを待つことにした。
イタリアのフィギュアスケートサイトでインタビューを担当しています。私が書いた応援しているスケーターのレポ兼インタビューを訳しました(元はイタリア語)のでよろしければこちらもお読みください。
