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自宅で産む、と妻は言った

前回で「第1の習慣 心と体の力を抜く」が終わりました。今回から「第2の習慣 良い食事と口腔ケア」に入ります。

30代で痛風の発作を起こし、半年かけて10kg減量しました。

痛風は、自分の体に目を向けるきっかけになりました。しかし、このころの関心は、もっぱら体重を減らすことでした。栄養について深く考えていたわけではありません。

減量後、私は元妻と結婚しました。減量は、結婚を可能にした要素かもしれません。なにしろ、元妻は、「デブ」と「ハゲ」は嫌いでしたから(笑)。

私が食べ物と栄養について本気で考え始めたのは、妻が妊娠してからです。

二人とも、家で生まれました

私には、元妻とのあいだに生まれた子どもが二人います。

どちらも、自宅で産みました。

一人目は助産師さんに取り上げてもらい、二人目は家族だけで迎え、私が取り上げました。

この話をすると、たいてい驚かれます。

家で産む?!

ある日、妻が言いました。

「病院では産まない。家で産む」

えっ、家で? とても不安に襲われました。難産だったら、どうするのか。

しかし、妻が一度決めたことを、簡単に曲げる人ではないことも知っていました。

ならば、自分も学ぶしかない。

そう覚悟しました。

「医者嫌いの看護師」

妻は看護師でした。それでいて、近代西洋医療、特にお産に関する処置に不信感を持っていました。

いわば「医者嫌いの看護師」です。

お産は、病気ではありません。

妻が気にしていたのは、お産が母子の状態だけでなく、医療機関の都合に合わせて管理されることでした。

当時、NHKの特集で、土日より平日に出産が集中している実態を見ました。このコントロールには、子宮収縮剤が使われることが説明されました。

NHKは、はっきりと批判していませんでしたが、番組全体からは問題提起の意図を感じました。

私は、このとき初めて子宮収縮剤というものを知りました。子宮収縮剤を使ったお産は、とても苦しいらしい、と聞きました。

こういう風潮に対して、自然分娩を行う助産院が人気を集め始めていたことを知り、実際に助産院を見学に行ったこともあります。

妊娠中の検診には通い、母子の状態を確認しながら準備を進めました。

こうした知識や経験を重ねるうちに、私も、だんだん妻の考えに傾いていきました。

そして、必要な対策をして、自宅出産に備えようという気になったのです。

胎盤という、もう一つの臓器

男性は、子どもの出産について、奥さんと医者任せという人が多いと思います。私の場合は、出産が急に自分の問題となったわけです。

それまでの私には、栄養について、真剣に考える機会がなかったのだと思います。

お腹の中の子どもに直接関わるとなると、栄養についても考えざるを得なくなりました。

妊娠すると、女性の体は胎盤という、もう一つの臓器を作ります。そこから赤ちゃんへ、酸素と栄養を送ります。

胎盤を作るために欠かせない遺伝子の一つは、もとはウイルス由来だとされています。太古に感染したウイルスの遺伝子が、人間の体に組み込まれて残った。私たちが胎内で子どもを育てられる背景に、ウイルスが関わっていたのです。

何もなかったところに、新しい人間の体が作られていく。

骨も、血液も、内臓も、すべて妻が食べたものを材料にして作られます。

考えてみれば当然のことです。

このとき私は、初めて、食べ物が体を作るということを、現実のこととして捉えることができました。

本を読み、分からないことを調べました。次々と疑問が湧いてきたからです。

エンジニアとしては、不具合の原因が分からない製品を世に出すことはできません。細部まで納得した上で、製品を工場に送ります。

ところが、体については、塩は控えめに、コレステロールは悪い、と聞いた話をそのまま信じていました。

栄養に関しては、伝聞情報だけで生きてきた、と言っても過言ではない状態でした。

ミネラルの重要性

調べる中で知ったものの一つが、麦飯石(ばくはんせき)でした。

淡い黄色の地に白い粒が散り、麦飯のおむすびに似ていることから、その名がついたといわれる石です。

この石は、漢方薬としても重用され、化学的には、バランスよくミネラルを含んでいるものでした。

幸いにして、妻の故郷で採れるものだったので、すぐに手に入りました。

妊娠期間中、私たちは、麦飯石を粉にしたものを水に溶いて飲んでいました。

つまり、大量のミネラルを摂取していたことになります。

初めてそれを口にしたときのことを、いまでも覚えています。

「もっと飲みたい」と、体が求めたのです。

理屈ではありません。体が欲しがった。そういう感じでした。

推測ですが、日本人に足りないと言われているミネラルが私たちにも足りなかったのかもしれません。

痛風は、自分の体に目を向けるきっかけでした。

そして自宅出産は、食べ物が人の体を作ることを考えるきっかけになりました。

お腹の子どもは順調に育ち、ついに、その日を迎えました。

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この連載をまとめて読む

これまでの記事は、マガジン「70年かけて検証した――心と体、お金と人間関係、見えないもの」にまとめています。連載完結まで1年以上かかる予定ですが、週4回更新しています。


次回は、一人目が生まれた日の話です。陣痛は、夕方に始まりました。

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