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「仕事ができる」は、コンビニで鍛えられる――学生時代に一度はバイトした方がいい理由

学生時代、アルバイトをするなら、一度くらいコンビニで働いてみてもいいと思っている。

もちろん、コンビニでなければ身につかない特別な能力がある、という話ではない。飲食店でもスーパーでも、似た経験はできると思う。

それでもコンビニには、仕事をするうえで必要になる基礎的な能力を鍛える場所として、かなり優れたところがある。

私自身、学生時代にコンビニで働いていた経験が、社会人になった今もかなり生きている。

コンビニは、やることがとにかく多い

コンビニの仕事というと、まずレジを思い浮かべるかもしれない。

しかし実際には、レジ以外にも、品出し、発注、清掃、商品の陳列、問い合わせ対応、宅配便などの各種サービス、ホットスナックやカフェ商品の対応など、かなり多くの業務が存在する。

しかも、それらを大人数で分業しているわけではない。限られた人数で店舗全体を回さなければならない。

だから、ただ目の前にある仕事を順番に片付ければいいわけでもない。

レジが混み始めたら品出しを止める。納品の時間が近づけば、それまでに終わらせておくべき仕事を考える。これからピークが来るなら、ホットスナックを事前に準備しておく。

「今、何をするべきか」を、その瞬間の店舗の状態を見ながら判断し続ける必要がある。

自分の仕事ではなく、店舗全体を見るようになる

もちろん、最初からすべてを任されるわけではない。

「レジをやっておいて」と言われて、その仕事だけを担当する段階もある。

でも、少しずつ仕事を任せられるようになると、見る範囲が広がっていく。

自分が何をするかだけではなく、同じ時間帯に働いている人をどう配置するかまで考えるようになる。

たとえば、お客様への対応が重要だからといって、客足が少ない時間にも一人をずっとレジに張り付けておくことが本当に正しいとは限らない。

今なら別の仕事をしてもらった方がいいかもしれない。品出しを進めておけば、この後のピークが楽になるかもしれない。

限られた人的リソースを、店舗全体を見ながら配置し直す。

そこで求められているのは、単なる作業能力ではなく、全体を俯瞰しながらオペレーションを回す能力だと思う。

「後で起きること」から逆算して、今動く

コンビニには、一日の中にある程度決まったリズムがある。

納品が来る時間があり、お客様が増える時間帯があり、商品の補充が必要になるタイミングがある。

だから慣れてくると、目の前だけを見るのではなく、少し先を見ながら仕事をするようになる。

「これは今すぐ必要ではない。でも、今やっておけば後が楽になる」

「30分後に納品が来るから、その前にここまで終わらせよう」

「この後ピークになるから、今のうちに準備しておこう」

社会人になってからの仕事でも、構造はほとんど変わらない。

依頼されてから動くのではなく、これから何が起こるのかを考え、そのときに困らないように現在の行動を変える。

私にとって、この感覚を最初に身体で覚えた場所の一つがコンビニだった。

コンビニは「小さなビジネス」でもある

さらに面白かったのが、自分の工夫と結果の距離が近いことだった。

たとえば新商品を、どこにどう陳列するか。

発注する量を少し変えてみたら、どうなるか。

本部から一定量の商品が入ってきたとして、それをどう見せれば売れるのか。

自分なりに考えて動くと、売上や在庫という形で比較的すぐに結果が返ってくる。

もちろん、いつもうまくいくわけではない。

発注を間違えて、賞味期限の短い商品が大量に届いてしまったとする。

本来なら起こさない方がいい失敗だけれど、起きてしまえば、今度は「これをどうやって売るのか」という問題が生まれる。

陳列を変えるのか。見せ方を変えるのか。次の発注をどう調整するのか。

仮説を立て、実行し、結果を見て、また変える。

規模はとても小さいけれど、ビジネスにおける試行錯誤のサイクルを、自分の手で何度も回すことができる。

これもコンビニで得られる面白い経験だった。

高度に設計されたオペレーションの中で働く

もう一つ、コンビニが面白いのは、店舗の裏側にかなり高度に設計されたオペレーションが存在していることだと思う。

発注、物流、商品配置、レジ、在庫管理。

本部側では、店舗を効率よく運営するための仕組みが長い時間をかけて作られている。

アルバイトとして働くことで、その完成された仕組みの中に入ることができる。

ただし、仕組みが優れているからといって、店舗が自動的にうまく回るわけではない。

実際の客数も違えば、その日の人員も違う。予想外の問い合わせも起こる。

設計されたオペレーションを、目の前の状況に合わせて実際に成立させるのは、現場で働いている人たちである。

だからコンビニでは、良く設計された仕組みを理解することと、それを現場で動かすことの両方を経験できる。

「仕事ができる」は、専門知識よりも前にある

社会人になると、いろいろな専門性が求められる。

業界についての知識、会計、法務、営業、ITなど、仕事によって必要な知識や経験は違う。

もちろん、それらは重要だ。

でも、そのもっと前に、「仕事ができる」という基礎的な能力があるように思う。

状況を見る。優先順位を決める。先を読む。段取りをする。周囲の人と役割を分担する。全体がうまく回るように自分の行動を変える。やってみた結果を見て、次の行動を変える。

こうした能力は、特定の業界だけで使うものではない。

どんな仕事をするにしても、その上に知識や専門性を載せていくための土台になる。

そして、この能力は「全体最適を考えましょう」「先回りして仕事をしましょう」と説明されるだけでは、なかなか身につかない。

実際に状況が動き続ける中で、何度も判断することで少しずつ身につくものだと思う。

だから、一度くらいやってみてもいい

コンビニで働けば、誰でも同じ経験ができるわけではない。

任される仕事の範囲にもよるし、自分がどう仕事に向き合うかによっても得られるものは変わる。

そして当然、似た経験ができるアルバイトは他にもたくさんある。

それでもコンビニは、全国の多くの場所にあり、学生でも働きやすく、募集されている機会も多い。そして小さな店舗の中に、驚くほど多くの業務が詰め込まれている。

そう考えると、これほど身近に存在する「仕事を回す練習場」は、なかなかない。

私自身、社会人になってからコンビニ時代の何か特定の知識を使っているわけではない。

もっと根本的なところで、あのとき繰り返していた判断や段取り、先読み、全体を見る癖が、そのまま仕事の仕方として残っている。

専門知識を身につける前に、小さな現場を自分の手で回してみる。

その経験として、学生時代に一度くらいコンビニでバイトをしてみるのは、かなり悪くないと思っている。

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