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毒親育ちが陥る不幸のループについて――家庭の毒は大人になってから牙を剥く

毒親持ち・毒家庭育ちの人間は大人になってから苦労する。

子供から大人になるまでの過程に精神にたくさんの毒を溜めこむからだ。

その毒は、成人してから本人の人生に牙を剥く。

毒親・毒家庭育ちは、後に精神疾患を発症するリスクが高まりやすい。
子供時代から診断されている人もいるかもしれないが、社会に出てから精神疾患を発症する人も少なくない。育った環境で撒かれた病気の種が大人になって花開くといったイメージだ。

社会に出てから数年で精神を病み、仕事を辞めざるを得なくなるというのは、毒親・毒家庭育ちの1つのルートと言えるだろう。かくいう私もそのタイプである。

今回はまず、成人した毒親・毒家庭育ちがなぜ大人になってから苦しむのか、その不幸のループについて書いていく。解毒方法についてはまた別の機会に。

成人=解毒ではない

当たり前と言えば当たり前なのだが、成人と解毒はイコールではない。

わざわざこんな項目を用意したのは、勘違いする人が多いからだ。

SNSを巡回していると、こういう意見をよく目にする。

  • 成人したら一人前

  • 大人なのに親とか家のこと言うのはおかしい

  • いつまで親のことグチグチ言ってんの?

といった具合で、大人になるまで衣食住を提供してくれたことへの感謝を要求する内容もセットになりやすい。

どうやら、成人した時点で毒親や毒家庭の影響がデトックスされると勘違いしている人がそれなりにいるようである。

しかし、最初に言ったように成人した毒親・毒家庭育ちは一切解毒などされていない。むしろ、多量の毒を精神に溜め込んでいる。

成人になると楽になるわけではない。
むしろ、成人して社会に出てからが毒の本領発揮なのだ。

処世術が仇になる

なぜ毒親・毒家庭育ちが成人してから苦しむかというと

異常な環境に適応した結果、社会に適応できなくなる

ためである。

毒親にも種類があるし、毒家庭と言っても各家庭ごとに地獄の形は違う。
その中で共通しているのは、子供が子供をやれていないことだ。

親が親をやっていない、家庭に子供の受け皿がない。
そういう家で生まれ育つと、子供は早くから気を使うことを覚え、早々に大人の役割を演じ始める。なぜなら、大人が役割を果たせていないか、放棄しているからである。

ヤングケアラー

わかりやすい例で言えば、親が家事育児のボイコットするパターンだ。
母親が家事をしない場合、子供が料理や家事を請け負わなざるを得ない。下の兄妹がいた場合、その子たちの育児を長子が背負うこともある。また、介護が必要な家族へのケアをしていたり、家計を支えるためにバイトをせざるを得なかったりするパターンもある。

これらの例は非常にわかりやすく、異常性が外部にも伝わりやすい。
ヤングケアラーという言葉が知られだした時に、家事育児を担う子供がピックアップされたのは、このパターンがヤングケアラーの事例としてわかりやすいからだ。

一方で、ヤングケアラーにはわかりにくい例もある。
それが親の感情のケアである。
内容はケースバイケースだが、子供が親の愚痴を聞いてあげたり、カウンセラーになってあげたりするという異常な家庭状況は珍しくない。表向きの衣食住は与えられているため、先述したパターンより表出しにくいのが厄介な点だ。

親は無条件に子を愛さないが、子は無条件に親を愛し、気づかう。
子供たちは親を思って、家の崩壊を防ぐために人柱になるのである。
なぜなら、夫婦のように離婚して実家に帰るということはできないからだ。

生まれた家は子供にとって世界そのものだ。
適応できなければ誇張抜きに死ぬので必死になる。

生きるための必死の行動であり、同時に悲劇でもある。
この過剰な適応行動は多くの犠牲を産むからだ。

子供らしく過ごせなかった人は、大人になってから人生に不具合が生じる。

社会不適応

毒親・毒家庭育ちは大人になってからが苦しみの本番である。

先述したように、彼らは家庭という異常な環境で生き延びることを余儀なくされた。異常な環境に適応してしまっている。

その適応行動は、残念なことに社会で生きていくのにあまり役に立たない。
それどころか、足を引っ張ることの方が多い。

親の機嫌をうかがって生きてきた人は、職場でも同僚や上司の機嫌を先回りして取りに行くようになる。それはある場面では有効かもしれないが、逆効果になったり新しい人間関係の軋轢を生むこともある。

第一に、本人が望んでやっていることではないので、異常に疲れてしまう。親が機嫌次第で殴ってくるタイプだったらなおさらだ。
職場での誰かの不機嫌など、健常者ならある程度はスルーしてしまうところだが、親の機嫌が身の危険に関わる人にとっては一大事だ。ゆえに過剰に反応してしまい、余計なことに首を突っ込み、生き死にの境を切り抜けてきたように疲れてしまう。

親の機嫌をうかがわないといけなかった子供は多い。
社会に出てから過剰反応で潰れてしまい、精神疾患の診断を受けてレールから転落する人は、健常者が思っている以上に多い。彼らは笑顔を見せているが、心は常に戦場にいるのである。

恋愛・配偶者選択のミス

毒親・毒家庭育ちは恋愛や結婚における失敗の可能性も高まる。
もちろん、毒を断ち切って穏やかな家庭を築けるケースもある。
逆に、解毒できないまま夫婦関係に影を落とすケースもある。

そしてもう1つのルートがある。

毒親に似た相手を選んでしまうことだ。

不思議に思うかもしれないが、その理由は

  • 見慣れた関係性への安心感

  • トラウマの再演(未完の課題)

  • 自己肯定感の低さ

大まかに分けてこの3つに分類される。

見慣れた関係性への安心感だが、人の脳は例え不快や苦痛を感じても、慣れ親しんだパターンに安全を見出す癖のようなものがある。

日常的に殴られて育った人は、穏やかな人に出会うとどうしていいかわからなくなり、不安や退屈を感じてしまう傾向にある。さらに、親と同じように殴ってくる相手には安心感を覚えてしまうというバグが発生することもある。個人差はあるが、一般的な家庭で育った人よりはリスクが高いと言えるだろう。

次にトラウマの再演だ。
意識的に、理性的に考えれば毒親に似た人間はアウトなのだが
「今度こそ、親に似たタイプの人に愛されたい」
という無意識の欲求が働いてしまう。
過去に愛情を得られなかったから、似た相手と結婚してリベンジしようとしてしまう。

次に自己肯定感の低さ。
これは自己評価や自分の価値を信じられないこと自体が要因となる。
自分を大切にしてくれる人に違和感や「なんで自分に?」「もったいない」などの感情を抱いてしまい、逆に雑に扱う人に対してしっくりきてしまうのだ。

こういった理由で、毒親・毒家庭育ちは恋愛や結婚でも失敗する危険がある。ちゃんと選べばいいじゃないかと思うかもしれないが、慣れ親しんだ不幸のしつこさと、無意識の選択の恐ろしさは侮れないのである。

毒親・毒家庭の連鎖に繋がる

毒親・毒家庭育ちの不幸は大人になるまで、そう思う人は多い。

だが実際は、毒家庭での苦しみの本編は第1章でしかない。
成人したら第2章が始まり、パートナーを得られても場合によっては第3章になってしまう。

毒親・毒家庭育ちはトラウマを抱える可能性も高く、そのトラウマが毒と深く結びついている。

しかし、トラウマを専門的に治療できる人間や場は少ない。日本のトラウマ治療の分野は遅れていると言わざるを得ず、PTSDを抱えたまま社会に出て生き続けるという地獄が温存されている。
私も身体的なアプローチも含めたトラウマの専門治療ができる場を探したが、そういう治療が行える場所は本当に少なかった。そのために生活拠点を東日本から西日本に移したほどである。(お金を貯めてから行く予定)

この毒親・毒家庭育ち3部作で最も恐ろしいのは第3章だ。

毒親と似た相手と結婚して子供が産まれた場合、毒家庭の再生産が行われる可能性が高まる。これが毒親や毒家庭の連鎖と言われる現象だと思っている。

本人が悲劇を繰り返さないように尽力しても、配偶者は毒親に似た問題を抱えた人間である。夫婦円満になるとは考えにくい。また、当人がどんなに頑張ろうと限界がある。

結果、気を使いながら育った子供が大人になって病み、同じ循環が繰り返されていくのである。

さいごに

私は機能不全家庭で育って社会適応に失敗し、精神障害者になってしまった身だ。そして今も、無意識のレベルで毒の存在を感じることがある。物理的に実家と距離を置いて久しいが、未だに解毒できていない。

正直、誰かと結婚する資格も子を持つ資格もないと思っている。

ペットを飼うのが一番だ。
ああ、とにかく猫を飼いたい。


続きです。
毒親・毒家庭育ちの解毒について書きました。

毒家庭から離れた際にかかった、生々しいお金の記録。


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