【そのまま使える】数百万円級のブランド調査を50万円以下で回していた「ブランド健康診断」
エビデンスベーストマーケティングを知って、「自社でもダブルジョパディやCEPを調べてみたい」と思ったものの、本格的なブランド調査に数百万円かかるなら無理だと諦めていないでしょうか。
私が事業会社でマーケティングをしていた頃は、調査設計、設問票、分析を自分で持ち、調査会社には画面設定と実査だけを依頼していました。そのやり方なら、今回紹介する規模の調査でも50万円以下で実施できていました。
高いのは、アンケートを配ることそのものではありません。「何を聞くか」「何と比較するか」「結果から何を決めるか」まで外部に任せると高くなる。ならば、その設計を自分たちで持てばいい。
そこでこの記事では、Ehrenberg-Bass InstituteのJenni Romaniuk教授が公開しているCBM Questionnaire Templateなどを参考に、競合比較から「どこに人・時間・予算を投入するか」を決めるブランド健康診断を、日本語で実務に使える形まで落とし込みます。
この記事は、EBMは使えそうだけれど、調査費用を理由に実践を諦めかけているマーケターのための記事です。
※ダブルジョパディ、購買重複、CEP、メンタルアベイラビリティなどの用語から確認したい方はこちらです。
【1時間で分かる】エビデンスベーストマーケティングの教科書
1|最初に決めるのは、設問ではなくカテゴリー
アンケートを作る前に、「何を同じ市場として比較するのか」を決めます。
社内の商品分類をそのままカテゴリーとして使うのは危険です。会社側では別の商品群として管理していても、買い手から見れば代替候補かもしれません。逆に、同じ商品分類に入っていても、実際には顧客をあまり共有していないブランド群が存在することもあります。
そこで候補となるカテゴリーを仮置きし、可能ならブランド間の購買重複を確認します。
購買重複の法則、Duplication of Purchaseでは、カテゴリー内のブランドは一般に規模に応じて顧客を共有します。大きなブランドほど他ブランドの購買者とも多く重複し、小さなブランドほど重複が少ない。それでは説明しにくい過剰・過少な重複が継続するなら、市場の中にパーティション、つまり部分的に異なる競争構造がある可能性があります。
Ehrenberg-Bass Instituteでも、購買重複はカテゴリー境界や市場内のパーティションを調べるために使われています。
つまり、「誰が競合なのか」は社内会議だけで決めず、買い手が実際にどのブランドを行き来しているかで確認するわけです。
CEP、カテゴリーエントリーポイントも解釈の補助線になります。CEPとは、カテゴリーを購入する状況でブランドを思い出す手掛かりです。ただしカテゴリー境界を決める主役にはせず、購買行動から見つけた競争構造を理解する補助情報として使います。
2|「とりあえず過去1年」もやめる
次に観測期間を決めます。
日用品と自動車で、同じ「過去12か月」を設定しても意味は違います。
短すぎれば、たまたま期間中に購入しなかったライトバイヤーを落とします。長すぎれば、すでに市場から離れた人を含んだり、過去の購買を正確に思い出せなくなったりします。
観測期間は、自社が集計しやすい期間ではなく、実際の購買・契約・買い替えサイクルを基準にします。可能なら平均だけでなく、購買間隔の分布まで確認します。
見るべき行動指標もカテゴリーによって変わります。
繰り返し購入される商品なら購買頻度を取りやすい。一方、通信、保険、金融、SaaSなどでは、契約期間、継続、離脱、ブランドスイッチなどの方が意味を持つことがあります。耐久財なら、現在の保有ブランドや買い替え期間を見る必要があります。
実際、CBMテンプレートもトランザクション、耐久財、サービスで購買設問を分けています。
観測期間も設問も、自社の都合ではなく顧客の購買行動に合わせます。
3|そのまま使えるブランド健康診断の設問
ここから実査です。
重要なのは、質問する順番と、分析する順番は違うことです。
分析では購買行動から見ます。しかしアンケートの冒頭で「どのブランドを買いましたか」と聞けば、そのブランドを回答者に思い出させてしまいます。その後に認知やCEPとの記憶リンクを測れば、先行質問の影響が混ざる可能性があります。
そこで、記憶に関する設問を先に置き、具体的なブランド購買は後半に回します。
S1|カテゴリー購買者を抽出する
トランザクション型なら、たとえば次のように聞きます。
「過去[長期観測期間]に、次の商品・サービスを購入したことがありますか。当てはまるものをすべて選んでください。」
[対象カテゴリー]
[周辺カテゴリーA]
[周辺カテゴリーB]
[周辺カテゴリーC]
いずれもない
対象カテゴリーを選ばなかった回答者は、原則として調査対象から外します。
公式CBMと同様、対象カテゴリーだけを単独で聞くのではなく、複数カテゴリーの中から対象者を抽出します。対象条件を必要以上に露骨に示さないことで、回答者に調査意図を意識させすぎないという実務上の利点もあります。
ただし、周辺カテゴリーを選んだことや複数回答したことだけで不正回答とは判断しません。回答品質は、回答時間や回答矛盾などを別途確認します。
耐久財なら「現在所有しているか」、サービスなら「現在利用・契約しているか」に変更します。
Q1|ブランド認知を測る
「あなたが以前から知っている[カテゴリー]のブランドを、当てはまるだけ選んでください。」
[ブランドA]
[ブランドB]
[ブランドC]
[ブランドD]
いずれも知らない
可能ならブランド名だけでなく、ロゴやパッケージなども使います。
ブランドリストは、自社が主観的に「競合」と呼んでいる会社だけにしません。大規模ブランド、中規模ブランド、一定の存在感がある小規模ブランドなど、カテゴリー購買者が実際に選ぶブランドを反映します。
ここで「認知率が一番低いから広告投資」とは判断しません。
この設問でまず確認したいのは、カテゴリー購買者、特に自社の非購買者の中に「そもそもブランドを知らない人」がどれくらいいるかです。
後続のCEPデータと組み合わせれば、「知られていないから記憶リンクが少ない」のか、「知っているのに購買状況と結びついていない」のかも分けやすくなります。ブランド拒絶との比較では、「知っているが拒絶されている」のか、それ以前に選択肢として認識されていないのかも区別できます。
認知率は単独の順位表ではなく、非購買者の認知、ブランド規模、メンタルアベイラビリティ、ブランド拒絶を解釈するための診断材料として使います。
Q2|CEPとブランドの記憶リンクを測る
ここがメンタルアベイラビリティ診断の中心です。
「これから[カテゴリー]を購入・利用するときの状況をいくつか表示します。それぞれについて、あなたが結びつけるブランドをすべて選んでください。購入経験がなくても構いません。当てはまるブランドがなければ『いずれもない』を選んでください。」
たとえばコーヒーで、「仕事の合間に一息つきたいとき」というCEPを調べるなら、
「この状況と結びつくブランドをすべて選んでください。」
[ブランドA]
[ブランドB]
[ブランドC]
[ブランドD]
いずれもない
とします。
一つだけ選ばせません。0ブランドでも複数ブランドでも構いません。ブランド順はランダム化し、「いずれもない」は末尾に固定します。
公開されているCBMテンプレートでは、この形式で測る項目の60〜70%程度をCEP、残りをその他のブランド属性とする目安も示されています。
ただし、この分析で計算方法以上に重要なのが、何をCEPとして入力するかです。
CEPリストを会議室のブレストだけで完成させないでください。広告で言いたいことを「○○したいとき」と書き換えただけでは、カテゴリー購買者の本当の購買状況を測ったことにはなりません。
Ehrenberg-Bass Instituteは、CEPを特定する段階と定量評価する段階を分けています。まずカテゴリー購買者から購買時の思考や状況を引き出し、その後でCEPの有用性やブランド・競合との結びつきを測ります。
実務でも、カテゴリー購買者へのCEP探索調査を基本にし、必要に応じてデプスインタビュー、行動観察、既存調査、検索・オンラインデータなども候補発見に使います。
ここで自社都合のCEPを入力すれば、その後どれだけ精緻に計算しても、自社都合の世界を精密に分析しているだけです。
Q3|CEPそのものの機会規模を測る
Q2では、どのCEPとどのブランドが結びついているかは分かります。しかし、そのCEP自体がどれほど大きな購買機会なのかは分かりません。
そこで、投資判断のために追加で測ります。
「過去[対象期間]に[カテゴリー]を購入・利用する場面で、次の状況はどのくらいありましたか。」
「仕事の合間に一息つきたいとき」
0回
1回
2〜3回
4〜5回
6〜9回
10回以上
これをCEPごとに聞き、そのCEPを経験した人の割合や、CEP同士の相対的な発生頻度を見ます。
ただし、この数字をそのまま「CEP Aの市場規模は年間○億円」と扱ってはいけません。
過去の行動回数には、時期を取り違えるテレスコーピングや回答回数の丸めなど、記憶誤差が含まれます。そのため、ここでは同じ条件で測ったCEP間の相対的な機会の大小を見るために使います。
より正確な購買・利用データでCEP別需要を観測できるなら、そちらを優先します。
Q4|ブランド拒絶を確認する
各ブランドについて、
「このブランドに対するあなたの感覚に最も近いものを選んでください。」
積極的に選びたい
選択肢の一つにはなる
普段は選ばないが、必要なら購入できる
できれば購入したくない
特に意見はない
と聞きます。
「できれば購入したくない」を選んだブランドだけ、
「そう思う理由を教えてください。」
と自由回答で深掘りします。
好意度が競合より数ポイント低いから改善するのではなく、ブランド固有の強い拒絶が存在するかを確認します。
Q5|口コミは必要な場合だけ測る
必要なら、最近良い話を聞いたブランド、悪い話を聞いたブランド、自分から良い話をしたブランド、自分から悪い話をしたブランドなどを取得します。
公式CBMでも口コミは測定領域に含まれますが、すべての企業が永続的に追う必要があるとは限りません。異常があるかを確認し、意思決定に必要なら継続測定します。
Q6|広告は「見たか」だけで終わらない
広告投資を診断する場合は、広告素材を提示して、
「最近、この広告、または似た広告を見た記憶がありますか。」
と聞きます。
見た人には、
「どのブランドの広告だったと思いますか。」
と自由回答してもらいます。
これで、広告が届いたかというReachと、正しくブランドへ帰属されたかというBrandingを分けられます。可能なら自社広告だけでなく競合広告も混ぜます。
Q7|最後に購買行動を聞く
トランザクション型なら、
「過去[対象期間]に[カテゴリー]を何回購入しましたか。」
を聞きます。
続いて、
「過去[長期観測期間]に購入したことのあるブランドをすべて選んでください。」
「過去[対象期間]に購入したブランドをすべて選んでください。」
と聞き、対象期間中に購入したブランドについて、
「過去[対象期間]に、このブランドを何回購入しましたか。」
を取得します。
耐久財なら現在所有しているブランドと保有期間、サービスなら現在利用・契約しているブランド、契約期間、以前利用していたブランドなどへ変更します。
ここから、浸透率、購買頻度、購買ブランド数、購買重複などを計算します。
4|分析の最初は「カテゴリーが正しかったか」
質問票では購買設問を後半に置きましたが、分析ではここから見ます。
まずブランド間の購買重複を確認します。市場規模に応じた通常の顧客共有で説明できるのか。それとも、一部ブランド群だけ期待以上、あるいは期待以下に重複しているのか。
後者なら、自社ブランドの問題を探す前にカテゴリー定義を疑います。
カテゴリーを間違えれば、その後の競合比較もすべて間違います。
5|次に、その市場でダブルジョパディが観察されるか
ブランドごとに、浸透率と購買頻度などのロイヤルティ指標を比較します。
最初から自社だけを見るのではなく、まずカテゴリー全体で、小さいブランドほど購買者が少なく、ロイヤルティ指標もやや低いというダブルジョパディのパターンが観察されるかを確認します。
大きく崩れているなら、すぐに「この市場には当てはまらない」と結論づけず、カテゴリー境界、観測期間、データ品質、サブマーケットなどを再確認します。
カテゴリー全体で通常のパターンが確認できたら、自社の乖離を見ます。
自社の平均購買頻度が競合より低くても、自社の浸透率から期待される範囲なら、リピート改善を最優先課題にする根拠にはなりません。
反対に、ブランド規模を考慮しても継続的に期待を下回るなら、ブランド拒絶、購入体験、入手性などを追加で調べます。
競合より低いことと、普通より低いことは違います。
小規模ブランドでは特に、数人の回答で数値が大きく動くことがあります。一回の調査結果だけで異常と断定せず、回答数や誤差を確認し、可能なら別期間でも同じ傾向が再現するかを見ます。
6|CEPも「一番低いもの」を改善しない
Q2の結果を、CEPとブランドのクロス集計にします。
大きなブランドほど多くのCEPと結びつきやすく、一般的なCEPほど多くのブランドと結びつきます。その影響を考慮するため、「特別な関係がなければどれくらい結びつくはずか」という期待値を作ります。
計算は四則演算です。
期待リンク数 = ブランドの総リンク数 × CEPの総リンク数 ÷ 全リンク総数
たとえば500人に調査し、ブランドAの全CEPへのリンク数が1,000、あるCEPの全ブランドへのリンク数が500、全体で10,000リンクなら、期待リンク数は50です。
実測が80なら期待より30件多く、500人調査なら6ポイント上振れしています。
これはEhrenberg-Bass Instituteが公開しているMental Advantage Analysisの計算例と同じ考え方です。Excelでも行合計、列合計、総合計があれば計算できます。

これによって、
「競合Bは40%、自社Aは25%だから弱い」
ではなく、
「ブランドAなら、このCEPでどれくらい選ばれて普通なのか」
と考えられます。
ただし、小規模ブランドではブランドとのリンク数自体が少ないため、数人の違いでMental Advantage / Disadvantageが大きく動くことがあります。
単一調査の「マイナス10ポイント」だけで投資を決めず、セルの回答数や誤差を確認し、可能なら継続調査でも同じ方向の乖離が再現するかを見ます。
精密な計算式が、粗いデータを正しいデータに変えてくれるわけではありません。
7|「弱さ」と「市場機会」を掛け合わせる
さらにQ3で測ったCEP自体の機会規模を重ねます。
CEP Aでは期待より15ポイント弱いが、その状況自体はあまり起きない。CEP Bでは8ポイントしか弱くないものの、多くのカテゴリー購買者が頻繁に経験する。
この場合、Bに投資する方が合理的かもしれません。
一番弱いCEPと、一番取りに行く価値があるCEPは同じとは限りません。
Ehrenberg-Bass Instituteでは、CEPの優先順位を考える際にCommonality、Credibility、Competitivenessという観点を提示しています。
どれくらい一般的な購買状況なのか。自社がその状況で信頼できる選択肢になれるのか。競争はどれくらい強いのか。
「弱いか」だけではなく、「そこを取る価値があるか」まで見て投資候補を絞ります。
8|フィジカルアベイラビリティは「聞く」のではなく「見る」
ブランドが頭に浮かんでも、買えなければ売れません。
そこでフィジカルアベイラビリティも競合比較します。
『ブランディングの科学4』では、フィジカルアベイラビリティをPresence、Portfolio、Prominenceという観点から整理しています。
Presenceは、カテゴリー購買が起きる場所にブランドが存在しているか。Portfolioは、主要な用途、価格帯、サイズ、仕様、サービス形態などをカバーできているか。Prominenceは、その販売環境で簡単に見つけてもらえるかです。
ここをすべてアンケートで聞く必要はありません。
同書では、消費者がブランドの実際の販売場所を十分正確に認識できていない例や、「棚で目立つ」といった知覚がブランド規模と強く連動する例も示されています。
そのため、Presenceなら実際の販売チャネルや流通カバレッジ、PortfolioならSKUや価格帯、用途、サービス内容、Prominenceなら棚位置、フェイス数、検索結果での位置など、可能な限り実際の販売環境を直接測ります。
顧客に聞けば分かることと、顧客に聞くとむしろ間違えることを分ける。
これも健康診断の重要な原則です。
9|最後に作るのは「ブランド力63点」ではない
ここまで調べると、認知、購買、CEP、態度、広告、フィジカルアベイラビリティなど、大量の数字が出ます。
それらを加重平均して「ブランド健康度72点」のような総合点にしたくなりますが、私はやりません。
総合点にすると、どの変数へ介入すべきなのかが見えにくくなるからです。
たとえば、リピート率は競合より低いがダブルジョパディの期待範囲内なら課題化しない。CEP Aは大きな購買機会で継続的なMental Disadvantageがあるなら原因を追加調査する。さらに弱いCEP Bでも機会自体が小さければ後回しにする。
カテゴリー売上の大きな割合を占めるチャネルに主要競合は存在するが、自社にはPresenceがないなら、そこは有力な投資候補です。広告のReachは十分なのに自社ブランドとして認識されていないなら、追加リーチを買う前にBrandingを改善する方が合理的かもしれません。
見るのは、市場機会の大きさ、期待値からの乖離、その乖離の確からしさ、原因の説明可能性、自社の介入可能性、そして投資後に効果を検証できるかです。
異常を見つけても、そこから直接施策には飛びません。原因が分からなければ、追加インタビュー、売場観察、データ分析などで「なぜ」を調べます。
診断は答えを自動的に出す装置ではありません。
次に調べる価値のある場所を減らす装置です。
ブランド健康診断は「やらないこと」を増やすためにある
マーケティングには、改善できそうな数字が無数にあります。
認知を上げる。好意度を上げる。リピートを増やす。新しいCEPを取る。配荷を広げる。広告を改善する。
しかし、人も時間も予算も有限です。
だから本来の問いは、「どの数字が一番低いか」ではありません。
どこへ追加で1円、1時間、1人を投入するのが最も合理的なのか。
その判断のために、まずカテゴリーを正しく定義する。市場で通常起きるパターンを確認する。そこから外れている場所を探す。そして、その乖離が十分なデータで確認できているかを疑う。さらに、そこに大きな市場機会があり、自分たちが動かせるのかを見る。
同時に入力自体も疑います。
カテゴリーを間違えればダブルジョパディの比較を誤ります。CEPを自社都合で作ればMental Advantageをどれだけ精密に計算しても意味がありません。サンプルが少なければ、大きな乖離に見えても単なる誤差かもしれません。
EBMが便利なのは、複雑な数式が正解を教えてくれるからではありません。
「普通に起きること」と「自社だけに起きているかもしれないこと」を分け、その判断自体も疑えるからです。
ブランド健康診断の目的は、悪い数字をたくさん見つけることではありません。
触らなくていい場所を増やし、本当に調べるべき場所へ、限られた人・時間・予算を集中させることです。
この設計を持っていると、調査会社への頼み方も変わる
ここまでの調査を、カテゴリー設計、CEP探索、調査票作成、実査、分析、投資優先順位の提言まで外部へ丸ごと依頼すると、一般的なブランド調査より大きな案件になります。公開されている国内調査会社の価格を見ると、調査設計や分析、報告まで含めて数百万円規模になるケースもあります。
一方で、私が事業会社にいた頃は、調査設計や設問票、分析は自分たちで持ち、調査会社には画面設定と実査だけを依頼していました。 そのやり方なら、今回と同程度の規模の調査でも50万円以下で実施できることがありました。
もちろん、対象者の希少性やサンプル数によって費用は変わります。ただ、調査の「頭」を自社で持てると、外注費はかなり変わります。
これは「調査会社を使わない方がいい」という話ではありません。
自社側で何を測り、どう比較し、何をもって投資候補とするかを決められれば、外部には実査、対象者のリクルーティング、高度な分析など、本当に専門性が必要な部分だけを依頼できます。
調査票を作れること以上に重要なのは、調査会社へ何を頼むべきかを判断できることです。
プロフィール
マーケティング戦略コンサルタントです。 事業会社とコンサルティング会社の両方で、販売・CRM・データ分析・市場調査・需要予測・価格・広告・Webなど、マーケティングの上流から下流まで経験してきました。 このnoteでは、実務と研究を行き来しながら、仕事・キャリア・発信に使える再現性の高い考え方を紹介しています。
詳しい自己紹介はこちら。
自己紹介|実務とエビデンスから、マーケティングの本質を探しています
この記事がおもしろかったら、スキで教えてください。
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個人の知識に依存せず、調査・検証・意思決定を組織の仕組みに残す方法を考えています。
研究を知る。自社で確かめる。そして、組織を動かす。ここまでできて初めて、EBMが「知識」ではなく「仕事」になると思っています。
参考URL
Ehrenberg-Bass Institute|Brand Health Review: The Workshop
Ehrenberg-Bass Institute|Identifying and Prioritising Category Entry Points
Ehrenberg-Bass Institute|Comparison is the thief of brand growth
Anesbury, Bennett & Kennedy|How persistent are Duplication of Purchase partitions?
朝日新聞出版|ブランディングの科学4 ブランド健康診断篇
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