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【薬剤師が解説】エクソソーム美容液とは?期待できること・使い方・幹細胞培養液との違い

「エクソソーム美容液って、普通の美容液と何が違うの?」

「肌の再生や、毛穴への効果も期待できる?」

美容液を探していると、「エクソソーム配合」「幹細胞由来」と書かれた製品を見かけることがあります。

先端的な印象がある一方で、エクソソーム、幹細胞、幹細胞培養液など、似た言葉が使われているため、違いがわかりにくいかもしれません。

大切なのは、「エクソソーム」という言葉だけで効果を判断しないことです。

何が配合されているのか、製品にどのような効能や使用目的が表示されているのかを確認する必要があります。

今回は、ドラッグストアで働く薬剤師が、エクソソームの基本、幹細胞培養液との違い、化粧品として期待できること、毛穴との関係、基本的な使い方を解説します。

※本記事は、一般的な美容成分・スキンケア情報です。特定商品の推薦、病気の診断・治療、個別製品の効果や安全性の保証を目的とするものではありません。

1.最初に結論:配合されているだけでは効果を判断できない

エクソソームは、細胞同士の情報伝達や、皮膚への応用について研究が進められている分野です。

ただし、「エクソソームに関する研究があること」と、「市販のエクソソーム配合美容液で同じ結果が得られること」は別の話です。

そのため、「エクソソーム配合」という言葉や、価格の高さだけで製品を選ばないようにしましょう。

購入するときに確認したいのは、主に次の点です。

全成分表示
原料についての説明
製品に表示された効能や使用目的
メーカーが示す使用量と使用頻度
保管方法
続けやすい価格か

購入前に確認したいポイントは、9章で詳しく解説します。

2.そもそもエクソソームとは?

私たちの体をつくる細胞は、周囲にとても小さな「袋」のようなものを放出しています。

この小さな袋をまとめて、「細胞外小胞(EV)」と呼びます。

イメージとしては、細胞から別の細胞へ情報を運ぶ「小包」のような存在です。

袋の中には、タンパク質や、遺伝情報に関わる物質である核酸などが含まれることがあり、細胞同士の情報伝達に関係すると考えられています。

エクソソームは、この細胞外小胞の一種です。

ただし、エクソソームそのものは細胞ではありません。幹細胞そのものでもなく、自分で増殖するものでもありません。

すべての小さな袋が「エクソソーム」とは限らない

細胞外小胞には、つくられ方や大きさなどが異なる、複数の種類があります。

そのうち、細胞内の特定の経路を通って外へ出たものを、研究上「エクソソーム」と呼びます。

しかし、外へ出た粒子が、細胞内のどの経路を通ってつくられたのかを、あとから厳密に確かめるのは簡単ではありません。

そのため、国際的な研究ガイドラインであるMISEV2023では、由来を十分に確認できない場合、「エクソソーム」と断定せず、「細胞外小胞(EV)」などの表現を使うことがすすめられています。

研究の世界でも、エクソソームという呼び名は慎重に扱われているということです。

商品に「エクソソーム配合」と書かれていても、粒子の種類、由来、配合量、製造方法、品質まで同じとは限りません。

参考:MISEV2023(PubMed)⁠

3.幹細胞・幹細胞培養液とは何が違う?


エクソソーム、幹細胞、幹細胞培養液は、似た言葉として紹介されることがありますが、同じものではありません。

幹細胞

幹細胞は、自分と同じ性質をもつ細胞を増やしたり、別の種類の細胞へ変化したりする能力をもつ細胞です。

幹細胞培養液・培養上清液

細胞を培養するときには、細胞を育てるための液体が使われます。

一般に幹細胞培養液や培養上清液と呼ばれるものは、細胞を育てたあとの液体から、細胞そのものを取り除いたものです。

培養上清液には、細胞外小胞のほか、タンパク質など、複数の物質が含まれる可能性があります。

細胞外小胞(EV)

細胞から放出される、脂質の膜に包まれた小さな粒子の総称です。

エクソソーム

細胞外小胞のうち、細胞内の特定の経路を通って外へ出たものを指す言葉です。

エクソソームや細胞外小胞を、培養上清液から分離・濃縮したと説明されている原料もあります。

つまり、幹細胞培養液とエクソソームは、完全に同じものではありません。

また、「幹細胞由来」と表示されていても、化粧品の中に生きた幹細胞がそのまま入っているという意味ではありません。

4.化粧品として何が期待できる?

エクソソーム配合美容液に、肌の再生、シワ改善、毛穴改善などを期待する人もいるかもしれません。

しかし、エクソソームが配合されているという理由だけで、こうした効果を判断することはできません。

化粧品として確認したいのは、製品に表示されている次のような効能や使用目的です。

肌にうるおいを与える
肌をなめらかに整える
肌にハリを与える
乾燥を防ぐ
肌荒れを防ぐ
肌のキメを整える

これらは、エクソソームだけの働きとしてではなく、保湿成分などを含めた製品全体の処方による働きとして考える必要があります。

例えば、使用後に肌がしっとりした場合も、エクソソームだけでなく、グリセリンやヒアルロン酸など、一緒に配合された保湿成分が関係している可能性があります。

「細胞を再生する」「傷んだ組織を修復する」「若返る」など、化粧品の範囲を超えた効果を期待しすぎないようにしましょう。

日本の化粧品で表示できる効能には、一定の範囲があります。

参考:厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」⁠

5.エクソソーム美容液は毛穴にいい?

結論から言うと、「エクソソーム配合だから毛穴に効く」とは言えません。

エクソソーム配合化粧品全般で、角栓を取り除いたり、皮脂を直接減らしたりする効果が確認されているわけではないためです。

毛穴が目立つ背景には、次のような複数の要因があります。

皮脂や角栓
洗いすぎや摩擦
乾燥によるキメの乱れ
紫外線や加齢に伴うハリの変化
ニキビや炎症

乾燥によって肌のキメが乱れている場合は、製品による保湿で、毛穴が目立ちにくく感じられる可能性があります。

ただし、これは、エクソソームが毛穴を縮めたり、角栓を溶かしたりするという意味ではありません。

まずは、強い洗顔や角栓の押し出しを避け、保湿と日中の紫外線対策を見直しましょう。

赤く腫れたニキビや痛みがある場合、ニキビを繰り返している場合は、化粧品だけで対処せず、皮膚科へ相談してください。

6.研究ではどこまでわかっている?

人の顔の皮膚を対象にした研究として、ヒトの脂肪組織から採取した幹細胞に由来するエクソソームを含む溶液を、マイクロニードリングと組み合わせて使用したものがあります。

マイクロニードリングとは、細い針で皮膚に小さな穴をあける施術です。

この研究では、28人を対象に顔の左右を比較し、シワ、弾力、水分量、色素などの変化が調べられました。

エクソソームを含む溶液を使用した側で変化が確認されていますが、結果を見るときには、次の条件に注意が必要です。

・美容液を普通に塗った研究ではなく、マイクロニードリングと組み合わせている
・特定のエクソソーム含有溶液を使用した研究である
市販されているエクソソーム美容液全般を調べた研究ではない
28人という限られた人数で行われた研究である
研究期間が12週間に限られている

そのため、この研究だけを理由に、市販のエクソソーム美容液を普通に塗れば、シワや毛穴などに同じ変化が起こるとは言えません。

「エクソソームの研究がある」という説明だけでなく、どのような原料を、どのような方法で使用した研究なのかを見ることが大切です。

参考:Parkらの研究(PubMed)⁠

7.基本的な使い方

エクソソーム配合製品には、化粧水、美容液、クリーム、シートマスクなどがあります。

使う順番や使用頻度は製品によって異なるため、パッケージやメーカーが示す使用方法を優先してください。

美容液の場合、一般的には化粧水のあと、乳液やクリームの前に使う製品があります。

ただし、化粧水の前に使う導入美容液や、オイル状の美容液など、別の順番が指定されている製品もあります。

朝の一例

1. やさしく洗顔する
2. 必要に応じて化粧水を使う
3. エクソソーム配合美容液を、表示に従って使う
4. 乳液やクリームなどで保湿する
5. 日焼け止めを塗る

夜の一例

1. メイクや日焼け止めを落とす
2. 必要に応じて洗顔する
3. 化粧水を使う
4. エクソソーム配合美容液を、表示に従って使う
5. 乳液やクリームなどで保湿する

化粧水、美容液、乳液、クリームを、すべてそろえる必要はありません。

今のスキンケアに追加するときは、次の点を意識しましょう。

新しい製品を同時にいくつも追加しない
メーカーが示す使用量と使用頻度を守る
肌の状態を確認しながら取り入れる
赤みやヒリつきが出たら使用を中止する
自己判断で複数の美容液を手のひらで混ぜない

エクソソーム配合だからといって、多く塗ったり、頻繁に使ったりする必要はありません。

家庭用の針やダーマローラーと組み合わせていい?

市販の美容液を、家庭用のダーマローラーや針を使って浸透させようとすることは勧められません。

皮膚に針を刺すと、刺激、出血、感染などのリスクがあります。

また、通常の皮膚に塗ることを想定した化粧品が、傷のある皮膚への使用まで確認されているとは限りません。

市販のエクソソーム美容液を、自己判断で針やダーマローラーと組み合わせないようにしましょう。

美容施術を受けたあとは、自己判断で美容液を追加せず、施術を行った医療機関に、使用できる製品と再開時期を確認してください。

8.レチノールやビタミンCと一緒に使える?

一律に「使える」「使えない」と決めることはできません。

成分名だけでは、すべての組み合わせを「併用禁止」「必ず問題ない」と判断できないためです。

実際の刺激の出やすさは、製品全体の処方、使用量、使用頻度、肌の状態などにも左右されます。

特に、次のような製品を新しく同時に取り入れる場合は注意しましょう。

レチノール配合製品
高濃度のビタミンC系美容液
AHA・BHAなどを含む角質ケア製品
スクラブ
拭き取り化粧水
ピーリング系の製品

初めてエクソソーム美容液を使う場合は、ほかの新しい美容液を同時に増やさず、まず一つだけ取り入れて肌の状態を確認すると、異常が出たときに原因を整理しやすくなります。

朝と夜、または使用日を分ける方法もありますが、分ければ必ず刺激を防げるわけではありません。

製品に併用上の注意がある場合は、その説明を優先してください。

9.購入前に確認したい5つのポイント

① 全成分表示

商品名や広告だけでなく、全成分表示を確認しましょう。

「エクソソーム美容液」という商品名でも、実際の成分表示に使われる名称や、そのほかの配合成分は製品によって異なります。

商品名に「エクソソーム」と書かれていることと、全成分表示の内容は分けて確認することが大切です。

② 原料の説明

どのような由来の原料なのか、どのような製造方法なのか、メーカーがどこまで説明しているかを確認します。

ただし、由来や製造方法が書かれているだけで、その製品の効果や品質が保証されるわけではありません。

③ 製品に表示された効能・使用目的

「エクソソーム配合」という言葉だけでなく、製品として何を目的にした化粧品なのかを確認しましょう。

例えば、「肌にうるおいを与える」「肌にハリを与える」など、製品に実際に表示されている内容を確認します。

④ 使用方法と保管方法

次の項目を確認してください。

1回の使用量
使用頻度
使う順番
使用を避ける部位
ほかの製品との併用上の注意
開封後の保管方法
使用期限の表示

エクソソームや関連原料は、製品によって処方が異なります。一律の使い方で判断しないようにしましょう。

⑤ 価格と内容量

高価格だからといって、エクソソームの配合量や製品の効果が高いとは限りません。

次の点を含めて比較しましょう。

内容量
1回の使用量
使用できる期間
ほかの配合成分
容器や保管条件
継続しやすい価格か

濃度や粒子数が表示されていても、測定方法や原料、製品の処方が異なれば、数字だけで異なる製品の優劣を判断できるとは限りません。

10.赤みやヒリつきが出たら?

エクソソーム配合美容液も、肌に合わない可能性があります。

刺激には、エクソソームだけでなく、防腐剤、香料、溶剤、保湿成分など、製品に含まれるさまざまな成分が関係する場合があります。

次のような症状が出た場合は、使用を中止してください。

赤み
ヒリつき
かゆみ
腫れ
皮むけ
発疹

塗った直後で肌に残っている場合は、こすらず、やさしく洗い流しましょう。

症状が続く、強い、または悪化している場合は、皮膚科へ相談してください。

「エクソソームが働いている証拠」「肌が再生する途中」と考えて、我慢して使い続けないことが大切です。

11.化粧品と医療機関の施術は分けて考える

エクソソームという言葉は、美容液などの化粧品だけでなく、美容医療や再生医療をうたう施術にも使われています。

しかし、肌に塗る化粧品と、医療機関で行われる注入や施術は別のものです。

厚生労働省が2024年7月に発出した通知では、エクソソームなどを用いる医療について、通知発出時点で薬事承認を受けた医薬品はなく、安全性や有効性に関する課題があることが示されています。

この通知は、すべてのエクソソーム配合化粧品が違法という意味ではありません。

一方で、「化粧品にも使われている成分だから、注入しても安全」と判断することもできません。

参考:厚生労働省「エクソソーム等を用いる医療について」⁠

医療機関で施術を検討する場合は、次の点について十分な説明を受けましょう。

使用する製品や原料
投与方法
期待できること
起こり得るリスク
健康被害が出た場合の対応
費用や治療後のフォロー

12.まとめ

・エクソソームは、細胞が出す小さな袋「細胞外小胞」の一種
・エクソソームは、幹細胞そのものではない
・幹細胞培養液とエクソソームは、完全に同じものではない
・研究があることと、市販の美容液で同じ結果が得られることは別

化粧品としては、製品に表示された効能や使用目的を確認する
「エクソソーム配合だから毛穴に効く」とは判断できない
使う順番、量、頻度は製品の説明を優先する
・家庭用の針やダーマローラーとは、自己判断で組み合わせない
赤みやヒリつきが出たら、使用を中止する
化粧品と医療機関で行われる施術は分けて考える

エクソソームは、研究が進められている興味深い分野です。

一方で、研究段階で示されている可能性と、現在販売されている化粧品で確認できることは、分けて考える必要があります。

「先端成分だから」「高価だから」という理由だけではなく、製品全体の処方、効能表示、使用方法、続けやすさを確認して選びましょう。

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参考文献・参考資料

1.細胞外小胞の研究・用語に関するガイドライン

Welsh JA, Goberdhan DCI, O’Driscoll L, et al.
“Minimal information for studies of extracellular vesicles(MISEV2023): From basic to advanced approaches.”
Journal of Extracellular Vesicles. 2024;13(2):e12404.
DOI:10.1002/jev2.12404

細胞外小胞の定義、エクソソームという用語の使い方、由来・分離・評価・保存方法を明確にする必要性について参照しました。

2.エクソソーム含有溶液とマイクロニードリングを組み合わせた研究

Park GH, Kwon HH, Seok J, et al.
“Efficacy of combined treatment with human adipose tissue stem cell-derived exosome-containing solution and microneedling for facial skin aging: A 12-week prospective, randomized, split-face study.”
Journal of Cosmetic Dermatology. 2023;22(12):3418–3426.
DOI:10.1111/jocd.15872


特定のエクソソーム含有溶液とマイクロニードリングを組み合わせた研究です。市販の美容液を通常の方法で塗った研究ではありません。

3.日本の化粧品の効能の範囲

厚生労働省

「化粧品の効能の範囲の改正について」⁠

化粧品で表示できる効能の範囲について参照しました。

4.エクソソームなどを用いる医療に関する注意

厚生労働省

「エクソソーム等を用いる医療について」⁠

エクソソームなどを用いる医療の安全性・有効性、薬事承認に関する2024年7月時点の注意喚起を参照しました。

※海外研究の製品、施術方法、医療制度は、日本と異なる場合があります。

※研究は、特定の対象者、原料、方法、期間で行われています。同じ名称を使用するすべての製品で、同様の結果が得られるとは限りません。

※製品の使用方法・注意事項に従い、異常が出た場合は使用を中止してください。

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