真説・セガハード─第3回 世界初公開の真相Scoop!! セガサターンアクセラレーター幻の企画「TRIP」の真相に迫る!─
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当時のセガハード開発者へ複数の関係者を集め、ロングインタビューによって、未発掘だった真相を明らかにし、後世に遺していく企画「真説・セガハード」。
第1回はゲームギア35周年を記念したゲームギア開発秘話をお届けしました。
続く第2回は、セガが家庭用ゲーム機事業を立ち上げる前夜の様子と、立ち上げメンバーが集結してきた話をお届けしました。
第3回はその続きをお届けする予定でしたが、掲載順を変更し、今回は「真説・セガハード」の取材の中で明らかになった幻のセガサターンアクセラレーター「TRIP」を世界初公開の話として、すべての真相をお届けします!
過去、『Beep21』では、セガサターンの幻のハード「プルート」や、メガドライブまでのブラックハードのデザインを担当していたソルクスデザインの幻のモックアップ、セガサターン最初のモックアップなど、数々の初公開スクープをお届けしてきました。
今回お届けするのは、セガサターンに残された最後にして最大の謎であるセガサターンのパワーアップブースター「TRIP」についての真相です。
日立でSH-2を開発していた直井純一氏が1994年、セガに入社。その後、セガサターンとアーケードとのスペックの差が出始めた1996年からセガサターンをパワーアップするブースターの企画を検討し始めます。
「TRIP」と呼ばれた幻の企画では、日立のSH-3が使われ、「シェンムー」のセガサターンでの描画がパワーアップされるところまで進みながら、その企画は突如終了を迎えます…。
長年、海外も含め、多くのセガファンが謎としてきたその真実を当時の企画担当者と関係者へのインタビューで、仕様、スペックの詳細、実際の基板の写真やTRIPで描画したイメージ動画も含め、そのすべてをお届けします。
セガファン垂涎の世界初公開スクープをぜひお見逃しなく!
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まえがき -インタビューアー 戸崎健司氏より-

2025年7月。セガの家庭用ゲーム機の歴史を振り返るため、セガハードウェアの責任者であった佐藤秀樹さんと、佐藤さんに師事した元AMハードウェア研究開発部の矢木博さん(ゲームギア開発責任者)に超ロングインタビューを行いました。※佐藤秀樹氏は2026年2月13日にご逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
『Beep21』新企画シリーズ
— Beep21 (@Beep2021) July 2, 2025
「真説・セガハード(仮)」の取材
第2回目をまたもや超ロング時間で
収録しました🔥
今回も前回に続き
まったく知られていなかった
新たな幻のハードの真相や
新事実が次々と!🌈
セガハードのすべてを
網羅した連載記事に
ご期待ください!!✨ pic.twitter.com/5ELXNLIKoa
その途中で、セガサターンからドリームキャストへの変遷と紆余曲折を振り返っているときに、矢木さんから、セガサターンのグラフィックスアクセラレーターの開発プロジェクトが実際に存在していたこと、そしてチップ開発も具体的に進んでいた、という話が話題に上がりました。
そのプロジェクトの名は「TRIP(トリップ)」。
そうだ、そんな名前のプロジェクトがあった...。直井(純一)さんがやってたアレだ。記憶が蘇りました。
佐藤さんはその場ではあまりピンと来ておらず、当時は関心が薄かったのか、ほとんど覚えていない様子でした。
私も、プロジェクト名「TRIP」、セガサターンのアクセラレーター、開発者は直井さん、それ以上は知りません。そもそもそれがいつから始まって、なぜ製品化されなかったのか? なぜ中止になったのか? 何も知りません。
私が海外のゲームメディアのインタビューや、海外のコアのセガファンからの質問で、一番聞かれること。それがこれです。
「あなたは、セガサターンアクセラレーターを知ってますか?」
そんなの知らないよ...。設計している人はいなかったし、動くサンプルも見たことがない。及川(明敏)さんのデザインスケッチも見た記憶がない。迷信だよ、そんなのは...。いつもそう答えていました。
ですが、AM2研の岡安(啓司)さんのインタビューで、「シェンムーはセガサターンで開発が始まり、アクセラレーター用に作り直し、ドリームキャストでまた開発し直した」とインタビューで答えているのを見かけました。
▼参考
アクセラレーター? それって、ホントにあったの??
謎だったセガサターンのアクセラレーターですが、「TRIP」という名前を聞いて思い出しました。でも、あれは本当に動いていた? いつの間に?
世界中のセガファンの関心の的、幻のセガサターンアクセラレーター。これは開発者の直井さんにインタビューして、解明するしかありません。
直井さんはセガを退職後、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、以後SCE)(現在のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE))に転職したと聞いていましたが、少し前にSIEを辞めて、今は別の業界で働いているとのこと。当時を知る矢木(博)さんも招いて、インタビューを受けていただけることになりました。
前置きが長くなりましたが、今回の「真説・セガハード」は当時のセガでも極わずかの人しか知らないセガサターンアクセラレーター、TRIPの全貌についてお届けします。
それは見方を変えると、日本の半導体産業の栄枯盛衰の歴史でもあり、3Dグラフィックスチップ狂想曲の一端でもあります。
なお、今回はLSI開発の専門用語が多数出てくるので、補足解説が多めです。聞き馴染みがない言葉でも、なんとなく雰囲気を掴んでいただけましたら幸いです。
セガの前は日立でSH-2を開発していた直井氏

戸崎 まず最初に、あらためて直井さんの経歴からご紹介いただけますか。
直井 セガに入る前は、1991年から日立超LSIエンジニアリング(超エル)にいました。日立の半導体開発会社です。今は統合されてルネサスエレクトロニクスになりましたが、当時は日立の大規模LSI、マイコンの開発を行っていた会社です。
SHマイコンの開発部署に配属となり、SH-1やSH-2に関わりました。
その頃ちょうどSH-2の開発中で、SH-2はセガサターンに採用されるかもしれないという段階で、もう半ば採用は決まったみたいな時でした。セガからの仕様要求で、乗算器とかDMACの設計をしていて、自分自身はそのときはまだ入社して間もなかったので補助的な仕事をしていました。

直井 DMACから設計にだいぶ携わったんですけど、キャッシュとかCPU周りとかのデータパス、演算機の図面書きみたいなことをしたり、あとは検証作業ですね。そういう仕事を主にやっていました。
戸崎 学校はどこでした?
直井 学校は東京電機大学ですね。3浪なんです。父親が倒れてちょっと大学は無理かなって、しばらく働いていたんです。そこから大学に入って。
戸崎 卒業して、4年間「超エル」にいた?
直井 そう、4年間超エルに。「超エル」って呼び名、よくご存知ですね(笑)。
戸崎 あれ? セガの人たちは普通に「超エル」って呼んでたよ。
直井 本当ですか(笑)。
戸崎 ドリームキャストでもSH-4を採用したし、ハード設計のCPUまわりの開発者は超エルとはやり取りも多かったと思いますよ。

【解説:日立超LSIエンジニアリング】
日立製作所の半導体事業部門の一つが、日立超LSIエンジニアリング。(のちに日立超LSIシステムズに改名)
特に大規模、カスタムLSI(ASIC、CPU、GPU周辺)を手掛けていた、日立の半導体デバイスの先端を担う会社だった。
セガはセガサターンで、日立が戦略的に拡販していたRISC CPUのSHシリーズを採用。特にSH-2は、セガの要望を聞き入れ、演算機能を強化するなどの対応を行った。
SHシリーズはセガの採用がきっかけで大量に生産され、製品バリエーションも増え、組み込み機器の分野での採用が進み、一時はインテルを抜いて、日立がCPU出荷数世界一になった。
そんな日本の半導体産業が華やかだった時代があったが、製造プロセスの微細化の投資サイクルが加速すると、自社設計、自社生産にこだわっていた日本の半導体産業は、世界から遅れ始めた。そしていつの間にか窮地に...。
そこでライバル企業だった日立、NEC、三菱は半導体部門を切り離して合併し、ルネサスエレクトロニクスが誕生した。
「バーチャファイター」とセガサターンが人生を変えた
戸崎 なぜ4年で超エルを辞めたんですか?
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真説・セガハード
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