仕事の進め方が分からないときに読む、問題解決の13ステップ
仕事を始めたばかりの頃は、目の前の作業そのものよりも、
「そもそも、こういう仕事ってどう進めればいいんだろう?」
と迷うことがあります。
学校の問題なら、「この問いに答えてください」と最初からゴールが決まっています。
でも、実際の仕事はそうとは限りません。
「最近、うまくいっていない気がする」
「何か問題が起きている」
「このままではまずそうなので、何とかしてほしい」
そんな曖昧な状態から始まり、自分で問題を整理し、必要な情報を集め、原因を考え、どうするかを決めて、実際に動くところまで進めなければならないことがあります。
しかも、対策を実行しただけでは終わりません。
本当に問題が改善したのかを確認し、うまくいかなければ、もう一度考え直す必要があるのです。
仕事に慣れている人は、こうした流れを意識せずに進めていることもあります。
一方で、まだ経験が少ないと、
「とりあえず情報を集めよう」
「原因はたぶんこれだろう」
「何か対策を考えないと」
と、思いついたところから手をつけてしまいがちです。
そこでこの記事では、問題に気づいてから、考え、動き、結果を確認するまでの仕事の進め方を、一つの大きな流れとして整理します。
細かく分けると13のステップになりますが、暗記する必要はありません。
まずは、
「問題を解く仕事には、こういう流れがあるんだ」
と全体像をつかむことから始めてみてください。
仕事で問題を解くときには、大きな流れがある
細かい方法を見る前に、まず全体を大きく眺めてみます。
この記事では、問題に直面してから一区切りつくまでを、次のような流れとして考えます。
何を解くのかを決める
↓
考えるために必要な情報をそろえる
↓
なぜ起きているのかを確かめる
↓
どうするのかを決める
↓
実際に動く
↓
結果を確認し、必要なら見直す

言われてみれば当たり前に見えるかもしれません。
ところが、仕事ではこの途中を飛ばしてしまうことがあります。
何が問題なのかを十分に整理しないまま原因を探したり、「原因はこれだろう」と思っただけで対策へ進んだりする。
反対に、情報を集めることに時間を使いすぎて、「そもそも何を判断するために調べていたのか」が分からなくなることもあります。
だからこそ、個別のテクニックを覚える前に、まずこの大きな流れを持っておくことが役に立ちます。
ここから、この流れを13のステップに分けて見ていきます。
全体を細かく見ると13のステップになる


では、一つずつ見ていきましょう。
最初に「何を解くのか」を決める
1. 問題設定
問題解決というと、すぐに、
「原因は何だろう?」
と考えたくなります。
でも、その前に確認したいのが、
「そもそも、何を問題として扱うのか」
です。
たとえば「売上が落ちている」と言われても、それだけではまだかなり曖昧です。
いつから落ちているのか。
どの商品なのか。
どの顧客なのか。
何と比べて落ちているのか。
問題の捉え方が変われば、この後に調べる情報も、考える原因も変わります。
最初に違う問題を設定してしまえば、その後の分析をいくら丁寧にしても、違う答えを一生懸命探すことになりかねません。
だから、原因分析の前にまず、
「今回は何を解くのか」
を決めます。
問題設定そのものをもう少し詳しく知りたい場合は、こちらの記事で掘り下げています。
関連記事:
その原因分析、本当にその『問題』を解いていますか? 答えを考える前に、まずは問いを決めよう!
考えるために必要な情報をそろえる
2. 不足情報の特定
問題を整理していくと、
「ここがまだ分からない」
という部分が出てきます。
そこで、すぐに検索したり資料を集めたりするのではなく、
「何が分からないために、次の判断ができないのか」
を先に考えます。
ここでいう不足情報は、「知らないこと全部」ではありません。
次へ進むために必要なのに、まだ分かっていない情報です。
必要な情報を先に考えておけば、情報収集そのものが目的になるのを防ぎやすくなります。
3. 情報収集
必要な情報が見えたら、そこで初めて調べます。
「何か役立つものがあるかもしれない」と広く集めるのではなく、
「これを判断したいから、この情報を確認する」
という形です。
資料をたくさん持っていることより、その情報を何のために使うのかが分かっている方が重要です。
調べている途中で、別の情報が必要だと分かることもあります。その場合は、不足情報をもう一度考え直します。
4. 問題の分解
問題が大きすぎると、そのままでは原因を考えにくいことがありますが、そんな場合は、問題をいくつかの観点に分けてみます。
たとえば「売上が落ちている」という問題なら、商品ごとに見るのか、顧客ごとに見るのか、時期ごとに見るのかで、見えてくるものが変わります。
一つの大きな塊として見るより、
「どの部分で変化が起きているんだろう?」
と切り分けた方が考えやすくなるわけです。
このように、大きな問題を枝分かれさせて整理する方法の一つがロジックツリーです。
名前を知らなくても問題ありません。
ここでまず覚えておきたいのは、
大きすぎて考えにくい問題は、一度分けてみる
という考え方です。
ロジックツリーの作り方や、どう分ければよいかを詳しく知りたい場合は、こちらへ進めます。
関連記事:
【保存版】なぜあなたのロジックツリーは使えないのか?思考整理が苦手だった私の「3つのコツ」
原因を「思いつく」だけで終わらせない
5. 原因仮説
問題をある程度整理できたら、原因を考えます。
ただし、この段階で出てくるのは、
「これが原因かもしれない」
という候補です。
これを原因仮説と呼びます。
もっともらしい理由を思いつくと、つい「原因が分かった」と感じてしまいます。
しかし、まだ確認していないなら、それはあくまで候補です。
原因を思いついたことと、原因が確認できたことは分けて考えます。
6. 原因検証
次に、その原因候補が実際の事実と合っているかを確認します。
調べてみて、
「やはり、この原因が関係していそうだ」
となるかもしれません。
反対に、
「考えていた原因では説明できなさそうだ」
と分かることもあります。
それも大切な結果です。
間違った原因を前提に、そのまま対策を進めるのを防げるからです。
原因を掘り下げる方法の一つに、起きたことに対して「なぜ?」を繰り返しながら原因候補を考えるなぜなぜ分析があります。
ただし、「なぜ?」を何回か繰り返せば、自動的に正しい原因へたどり着くわけではありません。
考えた原因が事実と合っているかを確認するところまでが必要です。
詳しい進め方はこちらの記事で扱っています。
関連記事:
なぜあなたの「なぜなぜ分析」は浅いのか?"精神論"で終わらせず、真因にたどり着く技術
7. 優先順位
問題や原因は、一つだけとは限りません。
いくつも見つかったとき、すべてへ同じだけ時間や人手を使えるとは限らないので、
「まず、どこから手をつけるか」
を考えます。
そのとき、項目ごとの件数や影響の大きさを並べて、「どこに問題が集中しているのか」を見やすくする方法があります。
そこで使えるものの一つがパレート図です。
パレート図を作ること自体が目的ではありません。
本当に考えたいのは、
限られた時間の中で、どこへ先に力を使うのか
です。
優先順位の考え方やパレート図については、こちらの記事で詳しく説明しています。
関連記事:
仕事が終わらないときに見直したい。「パレートの法則」で優先順位をつける方法
どうするかを考え、実際にやるものを決める
8. 解決策立案
原因や優先して扱う場所が見えてきたら、
「では、どうすればいいのか」
を考えます。
この段階では、いきなり一つの案に決めるのではなく、
どんな選択肢が考えられるか
を出します。
一つの原因に対しても、対応方法が一つしかないとは限りません。
まずは候補を考え、その後で実際に採用するものを選びます。
9. 意思決定
案が出たら、次は実際に何をするのかを決めます。
会議でいろいろな案が出たとしても、「案が出た」だけでは仕事は動きません。
どれを実行するのかを決めて、初めて次の計画へ進めます。
解決策を考えることと、解決策を選ぶことは別の仕事です。
決めたことを、実際に動ける計画へ変える
10. 実行計画
「これをやろう」と決めても、
「いつやるのか」
「どの順番で進めるのか」
「いつまでに終えるのか」
が決まっていなければ、実際の行動にはつながりません。
そこで実行計画では、決めた解決策を、
いつ、何を、どの順番で進めるのか
まで具体化します。
締切がある仕事なら、最終期限から逆に考えて、「この作業はいつまで」「その次はいつから」とスケジュールへ落とします。
一度に終わらない仕事なら、途中の節目を決めておくこともあります。
計画とは単に「やることを決める」だけではありません。
実際に動けるように、作業と時間をつなぐところまで考える
のがこのステップです。
11. 実行
計画ができたら、実際に動きます。
ここまで進むと、「やるべきことをやった」という感覚も出てきます。
ただし、実行できたことと、問題が解決したことは同じではありません。
計画したことを全部終えたとしても、最初に問題としていた状態が変わっていなければ、まだ仕事は終わっていません。
次は、結果を確認します。
「やった」で終わらず、本当に良くなったかを見る
12. 効果検証
対策を実行した後は、
「その結果、本当に期待した変化が起きたのか」
を確認します。
見るのは予定どおり実行できたかだけではありません。
最初に問題としていた状態が、実行前と比べてどう変わったのかを見る必要があります。
ここまで確認して、初めて今回の対策は効果があったのかを考えられます。
13. 標準化・再検討
効果が確認できた場合は、必要に応じて、そのやり方を今後も続けられる形に整えます。
この記事では、このようにうまくいった方法を続けやすい形にすることを「標準化」と呼びます。
一方で、期待した結果が出なかった場合は、その対策をただ続けるのではなく、どこから見直すべきかを考えます。
原因の見立てが違っていたのかもしれません。
選んだ解決策が合っていなかったのかもしれません。
場合によっては、「そもそも何を問題としていたのか」まで戻る必要もあります。
ステップの最後まで進んだから必ず終了、というわけではありません。
実際の仕事は、一直線には進まない
ここまで1から13までのステップを順番に説明してきました。
でも、実際の仕事は、教科書のようにきれいには進みません。
原因を考えている途中で、「この情報がないと判断できない」と気づけば、情報収集へ戻ることがあります。
原因候補を確認してみたら事実と合わず、問題の分け方そのものを見直すこともあります。
対策を実行したのに結果が変わらず、もう一度原因から考え直すこともあるでしょう。
とにかく前へ進まなければ、と考える必要はありません。
新しく分かったことがあれば、その情報を持って必要な場所まで戻ればいいのです。
全体像が分かると、次に何をすればいいかも見えやすくなる
仕事の進め方を一度全体で見ると、目の前の仕事についても考えやすくなります。
たとえば原因を考えているときに、
「そもそも、何を問題としているのかは十分に整理できていたかな」
と振り返れるようになります。
対策を考えているときにも、
「その原因は確認できているのか。それとも、まだ『たぶんこれだろう』という段階なのか」
と考えられます。
さらに、実行まで進んだ後なら、
「予定していた作業が終わったか」だけではなく、「最初の問題は本当に改善したのか」まで見る必要があると分かります。
ここまで来て初めて、
「自分はいま、この流れのどこにいるんだろう?」
という見方が役立ちます。
現在地が分かれば、次に考えるべきことも絞りやすくなります。
個別のフレームワークは、あくまで補助道具
ここまで紹介してきた13のステップは、仕事を進めるときの流れを整理したものです。実際には、その途中で考えがまとまらなかったり、どこから手をつければよいか迷ったりすることもあります。
そんなときに役立つのが、ロジックツリーやなぜなぜ分析、パレート図といった個別のフレームワークです。
問題を分けて整理したい、原因を掘り下げたい、優先順位を考えたいといった場面で、それぞれ考える手助けをしてくれます。
ただし、最初からフレームワークを使うことを目的にする必要はありません。
まず考えたいのは、今の仕事で何を明らかにしたいのか、次に何を決める必要があるのかです。
そこが分かってから、必要な方法を選ぶ方が自然ですし、フレームワークはあくまで思考の補助道具なので、仕事の進め方を理解して、少し余裕が出てきたら少しずつ覚えていきましょう。
おわりに
仕事で問題が起きたとき、いきなり原因や対策を考え始めると、途中で何をしているのか分からなくなることがあります。
今回紹介した13のステップは、そんなときに考える順番を整理するためのものです。
毎回すべてを丁寧にたどる必要はありませんが、何を解くのか、何が足りないのか、原因は確かめられているのか、実行した後まで見られているのか。こうした流れを一度知っておくだけでも、仕事の進め方は整理しやすくなります。
まずは次に仕事で手が止まったとき、すぐに答えを探すのではなく、自分はいま何を決めようとしているのかを一度確認してみてください。
そこで立ち止まって整理できるようになるだけでも、問題への向き合い方は少しずつ変わってくるはずです。
