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戦闘チャレンジ(D&D5版 判定イベント用テンプレート)

序文

 こんにちにゃーん。セノにゃんです。
 今日は以前の記事で話した分担(アサイン)型判定の実用的なテンプレートとして、戦闘シーンを1人1回の判定で簡単に済ませられるルール(ランダム決定表つき)を紹介するよ! 良かったら君のセッションでも使ってみてね! にゃーん!

 ちなみに、この記事の前半部分は以前の記事のおさらいとなっている。前回の記事を熟読してくれた人は、前半を読み飛ばして後半にある【戦闘チャレンジの作成】から読み始めても構わない。


【戦闘チャレンジとは?】

 戦闘チャレンジは分担(アサイン)型判定(以前の記事参照)を使ったミニイベントだ。概ね3つの手順で構成される。
 プレイヤーに戦闘チャレンジのルールを説明する時も、下の説明をそのまま印刷するなりコピーするなりして使えばOKだ。
 なお、以前の記事に戦闘チャレンジを筆者がセッション中で出した時のリプレイを載せている。具体例があった方が分かりやすいタイプの人はそちらも読んでおいて欲しい。

戦闘チャレンジの流れ

 1:ゲームマスター(以下GM)はプレイヤー(以下PL)に、プレイヤーキャラクター(以下PC)が取る事のできる選択肢を幾つか示す。それぞれの選択肢には、d20判定の種類と難易度が設定されている。時には失敗時のペナルティや成功時の個別報酬が同時に示される事もある。

 2:プレイヤーたちは、どのキャラクターがどの選択肢に挑戦するかを決める。特記なき限り、同じ選択肢を複数人が選ぶことはできない。また、全員が何らかの選択肢を選ぶ必要がある。(逆に、誰にも選ばれなかった選択肢が出てきても構わない。プレイヤー側の勝利への道すじは何通りもある。)

 3:各PCは判定を行い、その結果を処理する。判定や結果処理の順番はGMが任意に決めて指示してよい。

名称について

 なお、このミニイベントはソード・ワールドTRPGのシナリオ本から着想を得ており、「チャレンジ」という呼称も同システムから引用したものである。
 もし君が「チャレンジ」という名称は他のD&Dの用語と紛らわしいから避けたいというのであれば、このミニイベントを表すのに「戦闘コンフロント判定」という呼称を用いてもよい。戦闘シーンに限らず、他のシーンのものも含めて類似の判定の方式を総称する場合は「分担(アサイン)型判定」と呼ぶとよいだろう。

【どんな時にこれを使う?】

 どんな時にこのメソッドを使うかは前回の記事でも書いたが、そちらを読むのが面倒くさい人向けにもう一度書いておく。
 なお、これらの内容は前回の記事で書いたものとほぼ重複している。内容を覚えてくれている人は読み飛ばして構わない。

セッションの時間が足りなくなりそうな時

 この判定イベントは概ね30分以内に全工程を終わらせることができるよう設計されている。
 このため、セッションを終えなければならない時間が決まっているのにセッションの進行が予定よりも遅れており通常の戦闘をしていては終了時刻までに間に合わない時、予定していた戦闘を急遽これに切り替える、といった目的で使う事ができる。あるいはGMの想定外の場面で戦闘に突入しそうなものの、通常のルールで戦闘をしているとセッションが時間切れに終わってしまいそうな時も、このルールを使えば比較的短時間で戦闘を終わらせる事ができる。
 プレイヤーたちが目の前に現れた悪い奴をブチのめす気満々な場合、無理やり戦闘回避させたり戦闘シーンを省いたりするよりも、この判定をプレイヤーたちに提示する方が、プレイヤーの満足感を高められるだろう。

前座の戦闘シーンを手早く済ませて、ボス戦の方に注力したい時

 前述の話はセッション中の不測の事態の話だ。しかし君がシナリオを作っているなら、もう少し計画的にシナリオを設計できる。
 シナリオの流れ上で、キャラクター達が敵組織の手下どもを蹴散らしながらボスの所まで辿り着く、という展開になった際に、戦闘を何回も行うのが自然な流れだろう。
 しかし、実際の戦闘ルールに則った戦闘遭遇を何回分も用意していると、プレイヤー達が雑魚戦の方に注目とリソースを割いてしまい、ボス戦の頃にはGMもプレイヤーも疲れ果ててしまって、時間も遅くなり、せっかく君の用意した力作のボス戦を、誰も存分に楽しめる状況ではなくなってしまう、という可能性が危惧される。
 そんな時に、戦闘チャレンジの出番だ。これを使えば敵の前座との戦いを手短に表現できる。通常なら1時間以上かかるような戦闘も、戦闘チャレンジの形式を使えば概ね1回30分以内で終わるため、戦闘を数回繰り返すことになっても問題ない。
 さらに、戦闘チャレンジは能力値判定を少なからず含んだミニイベントだ。なので、もし君が「戦闘パートだけじゃなくて能力値判定のパートも作らないとシナリオのバランスが悪いな……」と考えてシナリオを作るタイプの人なら、能力値判定のパートをわざわざ別に設ける必要もなくなる。戦闘チャレンジがそのノルマもこなしてくれる!

通常の戦闘ルールでは処理が難しい複雑な状況を処理したい時

 例えば100人くらいの部隊同士がぶつかり合い、プレイヤーキャラクターたちがその中を駆けるような場合、GMは100体分の駒なんてとても動かしていられないだろう。また、戦う事を想定していなかったような場所や状況下で戦闘が起こった場合、適切な戦闘マップを用意してないとか敵の構成を決めてないとか、そういう問題はセッションをやっていると多々生じるもの。
 そんな時にもこの戦闘チャレンジは有用だ。正式な戦闘ルールでは処理が複雑すぎる戦闘でも、戦闘チャレンジでは状況を抽象化して簡単な判定1人1回で済ますことができる! 
 さらに「世界設定上、この辺りには川があるはずだから、急流の奥にある有利な位置取りを確保するために水泳をする〈運動〉の判定を選択肢に入れておこう!」など、状況に合わせた特殊な選択肢を付け加えるのも、このルール下でならばとても簡単だ。多彩な戦いを手軽に楽しめるのである。

【戦闘チャレンジの作成】

1.選択肢の数の決定

 まずプレイヤーキャラクター達が取る事のできる選択肢の数を決めよう。以前書いた記事でも述べたが、選択肢全体の数は「この戦闘に参加しているプレイヤーキャラクターの人数+2」個を基本形とする。

2.選択肢の内容の決定

 各選択肢の内容は、なるべくそれぞれ異なる内容の判定が望ましいが、少量なら内容が被っていてもあまり問題はない。(完全に内容が同じ選択肢は「この選択肢は最大何人まで挑戦できる」といった注釈をつけて1つにまとめると良い。)

 この作成方法では、ミニイベントとしての安定性とバリエーションを両立するために、選択肢をその行動内容によって大きく3種類に分類しながらイベント作っていく。

・戦闘中によく行われる行動を表した「メジャー判定」
・戦闘中の変則的な行動を表した「マイナー判定」
・戦場の環境やシナリオ上の状況に応じた特殊な行動を表した「特殊シチュエーション判定」

 選択肢を3つに分類した理由は、これらの性質に応じてそれぞれの選択肢の数を調整するためだ。
 次の項目ではメジャー判定、マイナー判定、特殊シチュエーション判定について詳しく説明するが、その直後に「結局何を幾つ用意すれば良いのか?」を手短にまとめた[選択肢の内訳の目安表]を掲載する。詳しい説明が不要な読者の方はそこまで読み飛ばしてもらって構わない。

メジャー判定、マイナー判定、特殊シチュエーション判定について

 メジャー判定の例は、イニシアチブロールや攻撃ロールなど、普通の戦闘でもよく使う判定だ。また、後述する「メジャー判定の例」の表では、敵の攻撃に耐えるために【耐久力】を盛り盛りにしているキャラクターに活躍の機会を与える目的で、便宜的に【耐久力】+1d20の能力値判定を採用している。
 戦闘チャレンジを作成する際は、メジャー判定に分類されるような選択肢群が全選択肢のうちで最も大きい割合を占めるようにしておくのがお勧めである。そうすることで、プレイヤーたちは普段の戦闘に近い感覚で戦闘チャレンジを楽しむ事ができる。
 この記事の後の方には、メジャー判定の具体例6種類を掲載している。

 マイナー判定は、例えば、敵に“突き飛ばし”を行ったり(【筋力】〈運動〉)、敵を威圧して退却や降伏を促したり(【魅力】〈威圧〉)、敵の性質や特殊能力を推理したり(敵の種類に応じた【知力】系技能判定)といった、毎回戦闘中に行う機会があるわけではないものの、戦闘の推移次第では行うこともあるであろう行動だ。
 マイナー判定を選択肢の中に少数加える事によって、プレイヤー達はバリエーション豊かな戦闘を楽しむことができる。
 この記事の後の方には、マイナー判定の具体例8種類を掲載している。

 特殊シチュエーション判定とは、シナリオの状況や戦場環境に沿った行動を表す判定だ。たとえば戦場に水場があれば、泳いで優位な位置を確保するための【筋力】〈運動〉判定が選択肢にあるのは手頃な戦闘ギミックと言えるだろう。村が燃えているなら、戦いと並行して【敏捷力】〈手先の早業〉で消火する事が後々の展開をプレイヤーキャラクター達にとって良いものにするかもしれない。野生動物が密猟者に襲われている? 【判断力】〈動物使い〉で野生動物と協力して悪い奴をやっつけよう! ……などなど。
 特殊シチュエーション判定はその性質上、必ずしも選択肢に入なければならないものではない。ランダム決定するよりも、GMが付け加えたいと思った時に状況に応じて手動で付け加える方が上手くいく。メジャー判定とマイナー判定をランダムで決めたなら、重複した選択肢や最もしっくりこない選択肢を特殊シチュエーション判定に置き換えると良いだろう(適切な判定を思いつかなかったら、シナリオ上に出したくない選択肢を置き換えて採用する選択肢は、メジャー判定やマイナー判定から選んでもよい)。
 この記事の後の方には、より多くの特殊シチュエーション判定の具体例を掲載している。

[選択肢の内訳の目安表]

 この戦闘に参加しているプレイヤーキャラクターの人数に応じて、次のリストの通りの数と内訳の選択肢を用意すること。

・PC1人…選択肢3つ(メジャー判定2つ、マイナー判定1つ)
・PC2人…選択肢4つ(メジャー判定3つ、マイナー判定1つ)
・PC3人…選択肢5つ(メジャー判定3つ、マイナー判定2つ)
・PC4人…選択肢6つ(メジャー判定4つ、マイナー判定2つ)
・PC5人…選択肢7つ(メジャー判定4つ、マイナー判定3つ)

※特殊シチュエーション判定を選択肢に足す場合は、その分メジャー判定やマイナー判定の選択肢を少なくする。どちらを少なくするかはシナリオ制作者の自由だ。

3.判定の難易度の決定

 (この項目は前回の記事の再掲である。覚えている人は読み飛ばして構わない。)
 判定の難易度(目標値)も当然決める必要がある。
 基本的には以下の判定基本難易度の計算式を使った上で、それぞれの判定の行いやすさ(キャラクターがその判定に習熟していたり有利を得られる可能性)によって多少難易度を上下させると良い。

判定基本難易度 = (判定を行うキャラクターのレベル÷2)+この戦闘に参加しているプレイヤーキャラクターの総数+8

2024年版対応ルール:「ダンジョンズ&ドラゴンズ2024年版」や「フィフスエディションRPGアドバンス」のデータを用いて作成されたキャラクターについては、判定基本難易度にさらに+2すること。これはこれらの版が従来に比べて多くの種類の能力値判定にプレイヤーキャラクターが対応しやすいバランス設計になっているためである。

・難易度調整の要点
 一般的には【耐久力】が高いキャラクターはそこそこ多いが、【耐久力】能力値判定には対応する習熟技能が存在しない点に注意すること。
 筆者の知るかぎり、プレイヤーたちに特に人気のある技能は〈隠密〉〈捜査〉〈知覚〉〈説得〉あたりだ。これらの技能はキャラクター作成時に習熟することを選ぶプレイヤーが多いため、判定の難易度を多少高くしておいても、キャラクターが成功する公算は大きい。
 逆に〈医術〉〈芸能〉〈歴史〉あたりは普段のシナリオで大活躍するような場面が少ない。また〈威圧〉〈手先の早業〉〈ペテン〉技能は、その性質上、失敗時にリスクが生じやすく、使いこなすのがちょっと難しいというハンデを負っている技能と言える。このような技能を使う判定は、難易度を少し下げるようにすると、良い調整となるだろう。
 後述する判定の具体例を載せた表は、上述の点を念頭に作成されている。
 他にも、君のいるTRPGコミュニティの中で人気のある技能と不人気な技能を調べてみると、より良い難易度調整ができるだろう。

4.成功時報酬と失敗時ペナルティ

 (この項目は前回の記事の再掲である。覚えている人は読み飛ばして構わない。)
 判定の成功/失敗によってプレイヤーキャラクター達に何らかの利益/不利益が生じるのは想像に難くないだろう。
 成功時には経験値や(敵の持っていた)金貨、ポーション、珍品奇品などが得られ、失敗時にはキャラクターがダメージを受けたり有害な状態(毒状態や消耗状態など)をこうむったりするのである。この記事では後ほど、そうした成功報酬や失敗ペナルティの例を掲載する。
 もっとも、選択肢ごとに報酬やペナルティを決める必要はなく、成功数に応じてシナリオ上の利益がある(成功数が多ければ、後々の展開がプレイヤーキャラクターたちにとって都合の良いものになる)とか、戦闘チャレンジの終了時にキャラクター全員が失敗数に応じた量のダメージを受ける、というような形式でも問題はない。
 もし選択肢ごとに個別の報酬やペナルティを設定しておくならは、報酬やペナルティの量によって判定の難易度を調整するのも面白い。「こっちの選択肢は他よりも難易度が高いけれど、報酬も大きい。どうしようか?」といった具合に、プレイヤーたちの活発な議論を引き起こすことができるだろう。

・選択ルール:ペナルティに対するセーヴィング・スロー
 もしペナルティがプレイヤーキャラクターにとって強力すぎるものになっってしまった場合、GMが適切な種類のセーヴィング・スローを失敗したキャラクターに指示し、そのキャラクターがそれに成功した場合はペナルティを避けたり軽減したりできるものとしてもよい。
 その場合のセーヴ難易度は以下を目安とする。

ペナルティ回避セーヴの基本難易度 = (判定に失敗したキャラクターのレベル÷2)+10

・選択ルール:大成功報酬/大失敗ペナルティ
 また、シナリオ上の利益不利益とは別に、「5以上の差で成功したキャラクターは追加の利益がもらえる(大成功報酬)」とか「5以上の差で失敗したキャラクターはダメージなどの被害をこうむる(大失敗ペナルティ)」といったように、判定そのものの目標値とは別に追加報酬やペナルティの発生する閾値を定めるのも面白いだろう。

※この記事の後の方には、失敗時ペナルティ大成功報酬の例をそれぞれ6種類ずつ掲載している。

【戦闘チャレンジ用ランダム表】

 以降は、実際に戦闘チャレンジにすぐに使える項目を集めたランダム表である。
 なお、このランダム表を使って生成した戦闘チャレンジの実践例が別記事「分担型判定」にあるので、具体例を見たい人はリンクから記事へ飛んで欲しい(※この記事の前半の方で紹介したリプレイと同一の物)。

表の使い方

・(再掲事項)戦闘チャレンジには基本的に「戦闘チャレンジに参加するキャラクター人数+2」個の選択肢を用意する必要がある。

・選択肢は各表の中からランダムに決めても任意に決めても構わない。また、表の選択肢と、表に頼らずシナリオ制作者(あるいはGM)が自力で考えた選択肢とを混ぜて使用しても構わない。

・(再掲事項)「メジャー判定」は全選択肢の中で最も多くなる(「マイナー判定」の数や「特殊シチュエーション判定」の数がメジャー判定の数を超えない)ようにするのがお勧め。(内訳の目安表はこちら。)

・選択肢をランダムに決めて内容の重複が出た場合は、ランダムに決め直すか、GMが任意に別の選択肢を決める事が推奨されるが、「この選択肢は最大何人まで挑戦できる」といった注釈をつけた上で1つにまとめても構わない。

・(再掲事項)判定の難易度の基本値
(判定を行うキャラクターのレベル÷2)+この戦闘に参加しているプレイヤーキャラクターの総数+8(2024年版キャラクターの場合はさらに+2)
である。プレイヤーキャラクターと同じように選択をする味方NPCがいれば、便宜上プレイヤーキャラクターの総数に含む。

メジャー判定の例(6種類)

 ※付番のMaはその項目がメジャー判定に分類されることを意味するが、これはシナリオ作成上の利便性のための符号であり、特にゲーム上の意味はない。(メジャー判定の定義については前述の通り)

Ma1 ・主導権を握れ!:イニシアチブロール。
Ma2 ・乱戦を制せ!:5ft(1.5m)以内の敵に対する任意の攻撃ロール。
Ma3 ・離れた位置の厄介な敵を倒せ!:60ft(18m)離れた敵に対する任意の攻撃ロール(射程に注意すること)。
Ma4 ・呪文で勝負!:任意の呪文発動能力値による呪文攻撃ロール。ダメージを与える1Lv以上の呪文使用で、呪文Lv÷2(端数切り上げ)を達成値に加えることができる。
Ma5 ・戦線を維持せよ!:【耐久力】判定。装備している盾のACボーナスを達成値に加えることができる。
Ma6 ・最も得意な攻撃をせよ!:任意の方法による攻撃ロール。ただし難易度+2(1d4)。

※Ma4「呪文で勝負!」には攻撃ロールを行わず目標に有害な効果を与える呪文(たとえばファイアーボールやマジック・ミサイル)も使用できるが、(たとえ“必中”の呪文を使用するとしても)必ず能力値判定を行って成否を決めなければならない。キャラクターが“必中”の呪文を持っていても、戦いの状況がその呪文を楽に撃つことを許してくれるとは限らないのである。

マイナー判定の例(8種類)

 ※付番のMiはその項目がマイナー判定に分類されることを意味するが、これはシナリオ作成上の利便性のための符号であり、特にゲーム上の意味はない。(マイナー判定の定義については前述の通り)

Mi1 ・敵を突き飛ばせ!:【筋力】〈運動〉判定。
Mi2 ・敵の猛攻をかわせ!:【敏捷力】〈軽業〉判定。
Mi3 ・敵の不意を討て!:【敏捷力】〈隠密〉または【魅力】〈ペテン〉。ただしいずれにせよ難易度+1。
Mi4 ・敵の戦法を見破れ!:【判断力】〈看破〉判定。
Mi5 ・味方を治療せよ!:【判断力】〈医術〉判定。もしくは人型生物のhpを回復できる呪文を発動した上で、その呪文発動能力値による能力値判定(習熟ボーナスは+0とするが、発動した呪文のレベルを達成値に加える)。
Mi6 ・敵を怖気づかせよ!:【魅力】〈威圧〉判定。敵が動物なら【判断力】〈動物使い〉判定でも可。
Mi7 ・敵の注意を引け!:【魅力】〈芸能〉または【魅力】〈ペテン〉判定。
Mi8 ・敵の性質を見抜け!:【知力】判定。敵の種類に応じた種類の技能判定でもよい。詳しくは後述の目安を元にGM判断。

※「敵の性質を見抜け!」で使う技能の目安
 野獣、植物、怪物、粘体→〈自然〉
 アンデッド、セレスチャル、フィーンド→〈宗教〉
 エレメンタル、人造、フェイ、呪文発動能力を持つクリーチャー→〈魔法学〉
 人型生物、巨人、伝説的アクションや伝説的抵抗力を持つクリーチャー→〈歴史〉
 ドラゴン→〈自然〉〈宗教〉〈魔法学〉〈歴史〉どれでも可
 異形→〈捜査〉

特殊シチュエーション判定の例

 この表については、ランダムに選ぶのではなく、状況に応じてGMが選ぶ事を推奨する。
※付番のSiはその項目が特殊シチュエーション判定に分類されることを意味するが、これはシナリオ作成上の利便性のための符号であり、特にゲーム上の意味はない。(特殊シチュエーション判定の定義については前述の通り)

Si1 ・扉をこじ開けろ!:【筋力】または【敏捷力】判定。盗賊道具習熟者が盗賊道具を使えば習熟ボーナスを適用できる。
Si2 ・水の中を突っ切れ!:【筋力】〈運動〉判定。水泳移動速度があれば有利。
Si3 ・火の勢いを制御せよ!:【敏捷力】〈手先の早業〉判定。火を扱う職人道具(鍛冶道具、調理道具など)に習熟していれば〈手先の早業〉の代わりに用いて判定してもよい。
Si4 ・敵の武器を奪え!:【敏捷力】〈手先の早業〉判定。
Si5 ・難所を踏破せよ!:【敏捷力】〈軽業〉判定。地形に適した特殊な移動速度を持っていれば有利。
Si6 ・隠れた敵を探せ!:【判断力】〈知覚〉判定。
Si7 ・野生生物/家畜/乗騎をなだめろ!:【判断力】〈動物使い〉判定。言葉が通じるなら【魅力】〈説得〉判定でも可。
Si8 ・幻を見抜け!:【知力】〈捜査〉判定。
Si9 ・魔法を攻略せよ!:【知力】〈魔法学〉判定。
Si10 ・味方を鼓舞せよ!:【魅力】〈芸能〉または【魅力】〈説得〉判定。
Si11 ・毒に耐えろ!:毒に対する【耐久力】セーヴィング・スロー
Si12 ・恐怖を克服せよ!:恐怖に対する【判断力】セーヴィング・スロー

 特殊シチュエーション判定は必ずしも選択肢に入れる必要はない。また、表に頼らずにGMが独自に作っても良いだろう。(別記事の実践例では、Si7を流用してタイトルだけ状況に合わせて「冬狼たちと上手く連携せよ!」に変更したものを用いている。)

失敗時ペナルティの例(6種類)

 失敗時ペナルティは各選択肢に関して個別に設定しても構わないし、特に設定せず失敗した時に下記の表からランダムに選んでも構わない。
 もしキャラクターに対して厳しすぎるペナルティとなってしまった場合、適切な種類のセーヴィング・スロー(難易度は「(キャラクターのレベル÷2)+10」程度が目安)を行わせて、回避または軽減のチャンスを与えてあげよう。

失敗時1 ・ダメージ:(失敗したキャラクターのLv)d12点のダメージを受ける。ダメージの種別はGMが状況に応じて相応しいものを決定する。(GMの判断次第では、GMの指示する種類のセーヴィング・スローに成功すれば、ダメージが半分になることもある)

失敗時2 ・負傷:最大hpと現在hpが最大hpの20%(最低1点)だけ減少する(最大hpが0になった場合は死亡)。このHP減少を治療するには誰かが【判定力】〈医術〉判定をする必要がある。治療の難易度は治療を1分で済ませるなら15+減少値、10分なら10+減少値、1時間かけるなら5+減少値である。身体の欠損部位を再生するような高度な治療の魔法であれば判定の必要なく治療可能である。

失敗時3 ・疲労:1段階の消耗状態をこうむる。キャラクターたちのパーティーの平均レベルが10レベル未満の場合、この消耗状態は小休憩でも1段階分回復する。

失敗時4 ・リソース消費:キャラクターのクラスやサブクラス(下記のリソース消費内容リスト参照)に応じた特定の特徴の使用回数を消費してしまう。複数該当の場合はリスト中で上方にある項目を優先する。消費可能なリソースがない場合(あるいはあっても足りない場合)、消費の代わりに1段階の消耗状態をこうむる。
※リソース消費内容リスト
 呪文スロットを持つクラスやサブクラス…未使用の呪文スロットが最もレベルの高いものから2つ自動的に選ばれる。プレイヤーはそのうち1つを選んで使用済みにする。未使用の呪文スロットが1つだけなら、その呪文スロットを使用済みにする。
 バーバリアン…激怒1回分
 モンク…気ポイントの半分(最低1点)
 ファイター…底力1回分
 1Lvのパラディン…癒しの手1d4点分
 ローグ…ヒット・ダイスの半分(最低1個)
 1Lvのレンジャー…ヒット・ダイス1個

失敗時5 ・装備不調:GMが選んだ武器や防具あるいは焦点具(通常は失敗したキャラクターが今手にしていたり着用しているもの)1つの攻撃ロール、与ダメージ、AC、呪文セーヴ難易度に以後-1の補正がかかる。補正が-5になった武器や焦点具、ACが10以下になった鎧や、ACが0になった盾は、魔法のアイテムでないかぎり破壊される。破壊されていない武器や防具は、適切な道具と資材のある安全な場所で、今回の冒険の標準的な報酬の1割分の代金を支払うことで修復することができる。

失敗時6 ・運勢退潮:次の大休憩終了まで、ベイン呪文と同様の効果を受ける。この効果はキャラクターのレベルに応じて以下の効果によって解除できる(ディスペル・マジックは5Lvの冒険時まで有効)。3Lvまで…プロテクション・フロム・イーヴル・アンド・グッド 5Lvまで…レッサー・レストレーション 9Lvまで…リムーヴ・カース 17Lvまで…グレーター・レストレーション 18Lv以上…ウィッシュ

大成功報酬の例(6種類)

 5以上の差で成功した場合の特別報酬の例。
 どんな報酬を得られるのかはGMが事前に決めてプレイヤーに明かしておいてもいい(戦略性重視)し、大成功が確定した後にランダムに決めてもいい(即興性重視)。

大成功1 ・金品獲得:(キャラクターのレベル×達成値)gp、あるいはそれと同等の価値のある財宝を得る。

大成功2 ・経験値:キャラクターのレベルに等しい脅威度の敵を倒した時と同等の経験値を得る。この経験値は一緒に冒険している者と等分に割り振ること。セッションに経験値方式を採用していない場合、代わりにポーション・オヴ・ヒーリングなどのGMが決定した他の報酬を得る。

大成功3 ・インスピレーション:インスピレーションを得る。成功者本人ではなく、一緒に冒険している者1人に代わりに与えてもよい。

大成功4 ・活力:即座に小休憩と同じ利益を得る。ただしこの休憩ではヒット・ダイスは習熟ボーナス回までしか使用できない。

大成功5 ・珍品奇品(トリンケット):珍品奇品(trinket)を1個得る。6Lv以上の冒険の場合は代わりにGMが選んだコモンの魔法のアイテム(ポーション・オヴ・ヒーリングなど)1個、12Lv以上の冒険の場合はGMが選んだアンコモンの魔法のアイテム1個、18Lv以上の冒険の場合はGMが選んだレアの魔法のアイテム1個でもよい。

大成功6 ・幸運到来:次の大休憩終了時までブレス呪文と同等の恩恵を受ける。

【応用編】

 以降は、戦闘チャレンジをセッション上で運用する際の追加の裁定や、戦闘チャレンジをアレンジする方法を幾つか提案する。

判定に際して呪文が使われた場合

基本的な裁定方針

 分担型判定に際してキャラクターが使おうとする呪文やそれに準じる特殊能力が、状況に対して適切であるかどうかの判断は、判定の形式的なルールに必ずしも囚われず「通常のルール下のセッションではそれは有効か?」「常識的に考えてこの状況でそれは有効か?」といった観点を基本方針にすることを推奨する。

 たとえば、前述のメジャー判定の例にある「Ma1 ・主導権を握れ」や「Ma5 ・戦線を維持せよ!」に対してガイダンス呪文は使えるだろうか? 確かにこれらの項目が要求している判定は【敏捷力】や【耐久力】の能力値判定であり、ガイダンス呪文のテキスト上は効果があるように見える。しかし、普段の君のセッションでは、イニシアチブロールの直前にガイダンス呪文を使う事が許されているだろうか? 戦闘の途中で他の行動を差し置いてアクションを消費してガイダンス呪文を使っている暇はあるだろうか? 少なくとも筆者の知るほとんどの卓では、どちらも答えは「ノー」だ。よって、戦闘チャレンジにはガイダンス呪文は原則的に使えないと考えるのが筋である(ただし、呪文高速化と組み合わせれば、マイナー判定特殊シチュエーション判定の例の中にはガイダンス呪文を有効に使えそうな行動もあるように思われる。“突き飛ばし”とか)。
 同様の理由でエンハンス・アビリティ呪文はMa5やMi2に対しては無効となる(Mi2は内容的には【敏捷力】セーヴに近い事をやっている行動である)。過去に筆者が下した裁定ではシールド呪文は+5ではなく+1扱いとした事もある。Ma5で示される行動の主旨は、ACだけを高めればいいというものではなく、キャラクターの総合的な耐久性と足止め性能を測る事だ。よって、シールド呪文の効果に記載されている数値をそのまま足さずに、呪文レベル相応のボーナスを与えたのである。

 もう1つの例を出そう。例えば、セイクリッド・フレイムしか相手にダメージを与える呪文を使えないクレリックがいたとする。そのクレリックは呪文攻撃ロールを行う選択肢である「Ma3 ・離れた位置の厄介な敵を倒せ!」を選べるだろうか? 答えは「イエス」だ。
 原理的に、戦闘チャレンジはルール簡略化のために全てをプレイヤー側の判定によって処理するためである。だからセイクリッド・フレイムを使おうが“必中”のマジック・ミサイルを使おうが、呪文攻撃ロールを振ってもらうことになる。
 なお、インスピレーションについては、原則的にどの選択肢でどういう行動を取っても使えるものとする。この理由は単純で、インスピレーションの使用が活発なセッションは盛り上がるからだ。つまりチャレンジ戦闘ではマジック・ミサイルにインスピレーションを組み合わせてもいいのだ。

選択ルール:呪文レベルに応じたボーナス

 この選択ルールを採用すれば、呪文発動能力を持つキャラクターを使っているプレイヤー達は、戦闘チャレンジにも積極的に自分の得意とする呪文を使ってくれることだろう。また、戦闘チャレンジ以外の様々なシーンの判定にもこの選択ルールを使用してもいいだろう。

選択ルール;呪文レベルに応じた判定ボーナス:
 能力値判定において、状況に対して適切な呪文を発動した場合、本来の能力値の代わりに呪文発動能力値を用いて判定を行うことができる。
 さらに、その際に1レベル以上の呪文が用いられたのであれば、その判定の達成値に、「発動した呪文レベル÷2(端数切り上げ)」を加える。
 たとえば、負傷しているNPCの治療を試みる【判断力】〈医術〉判定に対して、〈医術〉に習熟しているバードが2Lv呪文スロットを用いてヒーリング・ワードを発動した場合、(【魅力】修正値+1+習熟ボーナス)で能力値判定を行える。(〈医術〉に習熟していないバードの場合は習熟ボーナスは適用されず、代わりに「何でも屋」の特徴が適用されるだろう。)

 ただし、呪文本来の効果により判定にボーナスや有利が得られるような場合は、このルールではなく呪文の効果を適用する。 たとえば、近接攻撃ロールを求められている状況でショッキング・グラスプを発動した場合、通常の呪文攻撃ロールを行える上で、敵が金属鎧を着用しているならば攻撃ロールに有利を得られる。
 また、選択肢の中に呪文を用いた場合の特殊ルールが個別に記載されている場合も、このルールではなく選択肢のルールを適用する。

効果的な行動提案で有利に!

 もし、分担(アサイン)型判定に対して用いられた呪文が、今の状況に対して特に優れた解決策となるようなものであれば、さらにGMはその判定に有利を与えてもよい。このあたりは通常の有利/不利のルールと根本的には同じだ。
 たとえば、火に弱いモンスターに対して火の呪文が用いられたり、石製のゴーレムや金属の扉を砕くためにシャター呪文が用いられたのなら、その判定に有利を与えるのは当然の判断といえる。

自動成功は有りか無しか?

 重要な観点として、本来は判定が求められている場面で、何らかの行動を自動成功扱いにしてしまえば、判定をつまらないものにしてしまったり、ゲームバランス上の不都合が生じる恐れがある。
 このため、如何にテキストの上では失敗のない呪文や特殊能力を使ったとしても、それだけを以て判定を自動成功とするのは基本的には避けるべきだ。
 マジック・ミサイル程度のありがちな呪文が使われたくらいではキャラクターの分担(アサイン)型判定を筆者が自動成功として扱わないのは、ぶっちゃけて言えばそういう理由である。
 もっとも、プレイヤーの素晴らしい機転に対してGMが思わず拍手するほど感心したのであれば、自動成功扱いと裁定してしまってもいいだろう。判定の自動成功という至上のご褒美は、そういった、ずば抜けて優れているアイデアが出る時のために温存しておくべきだ。少し優れているくらいのアイデアなら、判定に有利を与える程度で充分だろう。
 いずれにせよ、君が自動成功の裁定を出そうと考えているなら、今後も誰かが(同じ人であれ別の人であれ)同じ方法を用いて自動成功を狙ってくるかもしれないという事にはよく気をつけよう。いつでも使えるような方法で判定を自動成功できてしまうとなると、君の用意したシナリオの判定は以後すべて台無しにされてしまいかねない。
 一方で「今回は上手くシチュエーションに合致するが、今後は同じ手が使える場面はそうそう出てこない」というような珍しいケースならば、自動成功の裁定を下しても後々問題にはなりにくいだろう。

 いずれにしても、「その裁定によって参加者がセッションを楽しめるようになるかどうか?」は常に念頭に置きつつ諸々の裁定を下すべきである。

プレイヤーが新たな選択肢を提案してきたらどうするか

 もし、プレイヤーがその場面の特異的な状況に応じた「このシチュエーションならこうした行動を取れませんか?」といった提案をしてきて、GMが心底それに納得いったのならば、急遽採用して新しい選択肢を増やしても構わないだろう(言うまでもない事だが、「攻撃ロールできませんか?」みたいないつでも出来るつまらない提案は却下した方が良い。特殊シチュエーション判定のごとく、その時その場の状況を上手く利用した行動ならば、採用を検討する価値はある)。

 筆者がこの記事で書いているのはあくまでも1つの雛型であり、そこからのアレンジは自由にして構わないのである。(ただし、ゲームバランスだとかシナリオ制作者とGMとの間のトラブルだとかについては、筆者は責任を持てない。)

応用ルール:味方NPCの参戦

 GMは、何らかのノンプレイヤーキャラクター(NPC)をプレイヤーキャラクター(PC)の味方として登場させて、戦闘チャレンジに参加させてもよい。つまり、そのNPCはPCたちと同様に選択肢から行動を選んで判定を行うのである。
 その場合、選択肢の数や判定の難易度を決める際には、そのNPCも便宜上はPCとして扱って計算する必要がある。
 もしキャラクターシートの形式のデータではなくモンスターとしてのステータスブロックを持つキャラクターが参戦する場合、ルールブックに従うならばレベルの代わりとして脅威度の数値を使う事になる。とはいえ、GMがゲームバランスを考えた上で脅威度いくつを何レベル相当として扱うかを調整してもよいだろう。

応用ルール:戦闘チャレンジを複数回連続で行う

 基本的に、戦闘チャレンジは1人1回ずつ判定して、その結果何が起こるかを確認して適用したらそれで終われるように設計されている。しかし、君がそれでもまだ物足りないと思ったのなら、さらに連続して戦闘チャレンジを行うのも1つの手だ。
 戦闘チャレンジはその度に選択肢を多少は変える事を推奨する。全く同じ内容が連続していてはやる側のプレイヤーも飽きてしまうだろう。上のランダム表を活用して飽きさせない戦闘チャレンジを設計しよう。
 戦闘チャレンジを単純に決まった回数行ってもよいし、「進行度」のようなパラメータを用意して、判定に成功するたびに「進行度」が上昇していき、「進行度」が一定量以上になったならプレイヤーキャラクターたちの勝利でチャレンジが終了する、というような形式でもよいだろう。
 TRPGは自由度の高いゲームであり、戦闘チャレンジは高い拡張性を持った追加ルールだ。君の創意工夫次第でいくらでも応用することができる。

【あとがき】

謝辞

 以前にも触れたが、戦闘チャレンジを筆者が思いついたきっかけはソード・ワールドTRPGである。そのルールは非常に応用性が高く、戦闘を表現する新たな手法を筆者にもたらしてくれた。
 改めてソード・ワールドTRPGを制作してくださった株式会社SNEの方々に敬意と感謝の意を改めて表明したい。
 そして、それを受け入れられるほど拡張性のあるシステムを作ってくださったダンジョンズ&ドラゴンズのゲームデザイナーにも同様に敬意と感謝の意を改めて表明する。
 この記事を読んで下さっている皆さんも、筆者の記事に触発されたならどんどんそのアイデアを取り入れていって欲しい。皆でTRPG文化をこれからも盛り上げられますように!

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・分担型判定(D&D5版用追加ルール)
 
今回の記事内容の基礎となっている判定メソッドについて解説した記事です。

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