アジフライランチ難民のオアシス〜長崎のローカルチェーン『牛右衛門』をぜんぶめぐりたい〜 vol.5 松浦店編
令和のいまでも、長崎のレストランチェーン『牛右衛門(ぎゅうえもん)』は良い。けれど、そう感じる理由は「おいしいから? 懐かしいから?」とあいまいだ。県内9店舗をめぐり、「良さ」の解像度をあげる旅へ。
▼バックナンバーはこちら
vol.1 大塔店〜フォルクスもジョイフルもロイヤルホストも見送ってきた、大塔ファミレス界隈のドン〜
vol.2 佐々店〜その額に、輝く「FAMILY」を掲げて〜
vol.3 浜町店〜地下1階の秘密基地えもん〜
vol.4 東長崎店〜団地をのぞむ天空のギャラリー〜
アジの水揚げ量が国内トップクラスの長崎県松浦市。“アジフライの聖地”をキャッチフレーズに、市内飲食店やメーカーが自慢のアジフライを提供している。実は「牛右衛門 松浦店」も、そのひとつなのだ。
※アジフライは牛右衛門全店で味わえます(2025年12月時点)
ランチタイム難民の救世主

松浦市の、アジフライ提供店としての「牛右衛門 松浦店」の強みは、ほぼ年中無休で、営業時間中であればいつでも食事ができることだ。松浦にアジフライを食べにやってきたものの、うっかり店休日と被ってしまったり、ランチタイムを逃したりしてしまうこともあるだろう(わたしだけ?)。
つまり「牛右衛門 松浦店」は、アジフライランチ難民のオアシスといえる。
※個人的には、「和食レストラン庄屋 松浦店」も「デイリーヤマザキ松浦小島店」もおすすめしたい。デイリーヤマザキでは、ホットスナックコーナーにアジフライが並んでいる(揚げたてもオーダー可能)。


“牛右衛門流”アジフライのお味は?
松浦市内の飲食店で味わえるアジフライは、フライに使う部位、ソース、付け合わせに至るまで個性豊か。ぜひ食べ比べてほしいところだ。では、牛右衛門バージョンはどうだろう。

牛右衛門=洋食のシンプルなお皿のイメージが強かったので、有田焼のような豪華な柄に小さく圧倒された。その上でクロスステップを踏むアジフライがなんとも優雅なこと。まずはそのままザクッといただこう。うん、フワフワだ。うまい。次に、牛右衛門おすすめの「長崎生まれの金蝶ソース」を使ってみる。


かぶりつくとまぁ、ソースのスパイスの層が豊かなことよ。あとから酸味が追いかけてきて、揚げ物なのに重く感じない。相性良しだ!


ソースはもうひとつ、昭和の懐かしいカレー容器のようなうつわに入ったタルタルソースもある。嬉々として味変に臨んだが、わたしはうっかりそのままドボンしてしまった。「この付け方、たぶん違うのでは……?」とあとから気がついた。本当に申し訳ない。

自宅ではなかなか作らない、具沢山のタルタルソース。そしてこのうつわとくればもう、まさに非日常のひとときだった。

なぜ牛右衛門でアジフライが?
なぜアメリカンな、ステーキな、牛右衛門でアジフライが? と思うかもしれないが、長崎のレストランチェーンとして、地元名物の魅力も伝えたいのだろう。この「長崎アジフライ」と同じシリーズでいえば、長崎市はトルコライス(vol.3で実食)、佐世保市でいえば佐世保バーガーやレモンステーキなどがある。地元愛とチャレンジ精神たっぷりなメニューなのだ。
その想いは、お店のメニューカードのなかにしっかりと綴られているので、料理が来るまでのあいだにじっくりと読んでみてほしい。

ここで、県外からやってきた人に牛右衛門をおすすめしてしまう理由をふと思いついた。「長崎名物食べたよ」と言えるわけである。出張や弾丸旅行でも、しっかり観光気分が味わえるはずなのだ。そして、本当にハマってくれたなら、ぜひ食べ比べの旅へと出発してくれたら良いだろう。“長崎名物の一皿め”として機能している牛右衛門、いいじゃないか。
▼本筋と関係ないですが、リンガーハットが長崎ちゃんぽんの入門編じゃなかろうかと思った記事です。お時間許せばぜひ!
「本当に、キラキラしてますよね」。
松浦店の内装はとてもラグジュアリーだ。入店時からすでに、わたしの中に眠る「ドバイ」と「シンガポール」が同時に目の前にやってきたような感覚を覚えた(行ったことはない)。


そしてソファはクロコダイルのレザー風。飾られている絵も、どこか真珠細工のように淡い光を放っている。すごい。まるでリゾートホテルのフロントみたいだ。ファミレスなんだけど自然と背筋が伸びる。



思わず、接客してくださった店員さんにその感想を述べると「ですよね! 本当に、キラキラしていますよね」と、しみじみ反応してくださった。うん、本当にそうなのだ。

「牛右衛門 松浦店」がある立地は、学校や市役所、病院やコインランドリーなど公共・生活感にあふれたエリアだ。そんな風景のなかだからこそ、高級感のある空間がきわ立つ。地元にUターンしてきた都会っ子が奮闘している感じだろうか。そんなアンバランスさが刺激的で、どこか癖になりそうだ。きっと、市役所の職員や学生たち、病院に見舞いにきた家族、コインランドリーの洗濯が終わるまで時間がある人……など、そういった人たちもほっと一息ついてるんだろうなと想像すると、心のどこかで応援したくもなってしまったのだった。

