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CATL、大型トラックに「電池+電池」の新方式――交換式主電池と77kWh補助電池を統合、初期契約1.3万台

    [メンバーシップ限定]中国の電池大手CATL(寧徳時代)は2026年10月20日、北京で大型トラック向け新型電池シリーズ「天行II」と、商用車向け電池交換ネットワーク「騏驥」の新戦略を発表した。

    最大の注目点は、交換式の主電池と、車両に固定搭載する77kWhの補助電池を組み合わせた新方式「電電増程」である。一般的なレンジエクステンダー車のようにエンジンで発電するのではなく、二つの独立した電池システムを組み合わせることで、電池交換の効率と航続距離の安心感を両立させる。

    CATLは発表会で、電電増程方式を採用する大型トラックについて、物流企業などとの間で初期導入契約1万3,000台を締結したと発表した。

    今回の発表は新型電池の投入にとどまらない。交換ステーションの標準化、電池リースの料金体系、中古車残価、全国の物流幹線を結ぶ補給インフラまでを一体で再設計するものである。

    中国の電動大型トラック、9月の比率が50%を突破

    CATLは発表会で、中国の大型トラック市場における電動化の進展を強調した。

    同社によれば、2022年に5.2%だった大型トラックの電動化比率は、2026年9月単月に50.28%へ達した。9月には電動大型トラックが燃油大型トラックを初めて上回ったと説明している。

    ただし、この数値はCATLの発表会で示されたものであり、集計対象や統計上の定義については別途確認が必要である。

    CATLは、大型トラックの電動化が初期の普及競争から、電動車同士の経済性を競う段階に移行したと位置付ける。

    その評価基準として掲げたのが、投資回収の速さ、運行収益の大きさ、中古車残価の高さという三つの要素である。

    乗用車では航続距離や急速充電性能が注目されやすいが、商用車では車両が稼働して初めて収益が生まれる。電池の重量が増えれば積載量が減り、充電に時間がかかれば運行回数が減少する。

    CATLは、この商用車特有の経済性を新製品開発の中心に据えた。

    天行IIは4種類の充電式電池と新方式1種類で構成

    今回発表した「天行II」は、大型トラックの運行条件に合わせた5種類の製品から構成される。

    • 後部搭載・超軽量版:450kWhと600kWhに対応。CATLによれば同容量の業界平均より530kg以上軽量化し、航続距離300~400kmを確保する。

    • 後部搭載・超薄型版:電池の厚さを860mmから580mmへ縮小。主にダンプトラックなど、荷台容積が収益を左右する用途を想定する。

    • 床下搭載・短ホイールベース版:437kWh、航続距離300km。ホイールベース3.35mの量産車への対応を示した。

    • 床下搭載・長航続版:760kWh、航続距離600km超。800V高電圧プラットフォームを採用し、20分の充電で300km以上の走行に相当する電力を補給できるとする。

    • 床下交換式・電電増程版:交換式の主電池に77kWhの車載補助電池を組み合わせる新方式。

    CATLによれば、天行IIシリーズ全体で電池の充放電エネルギー効率を95%超に引き上げた。

    ここで重要なのは、すべての用途に最大容量や最高充電性能を適用する方針ではないことである。

    CATLは、極端な高出力充電には発熱や冷却に伴うエネルギー損失が生じると説明した。運行条件によっては、電池交換の方が車両の稼働率とエネルギー効率を両立できるという判断である。

    「電電増程」とは何か――エンジンを使わない二重電池システム

    今回の中心製品が「電電増程」である。中国語の「増程」は通常、レンジエクステンダーと訳される。それはつまり、発電用のエンジンである。しかし今回は違う。

    従来の電池交換式大型トラックでは、車両の駆動に必要な電力を交換式主電池に依存する。そのため、交換ステーションに到着するまでの電欠を避けようとして、電池残量に余裕を持たせた運行が必要になる。

    CATLは、この問題を二つの独立した電池システムで解決しようとしている。

    一つは、車両の床下に搭載する標準化された交換式主電池である。日常の運行に必要な電力を供給し、交換ステーションでは約5分で新しい電池に交換できる。

    もう一つが、車両後部に固定搭載する77kWhの補助電池である。

    主電池の残量が少なくなった場合、補助電池へ動力供給を切り替える。CATLは、切り替えをミリ秒単位で実行し、運転者が違和感を覚えない連続的な電力供給を実現すると説明した。

    これにより、主電池を交換する際の残量を5%未満まで引き下げられるとしている。

    従来のように残量が30%程度になった段階で電池切れを心配する必要が小さくなれば、交換式主電池の利用効率を高められる。

    さらに、補助電池は固定式であるため、交換式主電池を取り外した状態でも車両を移動させられる。

    この特徴は、車両の運行だけでなく、電池リースや中古車売買にも影響する。

    つまり通常、電電増程の「増程」は航続距離を補完する意味であり、ガソリンエンジンを搭載するREEVを指すが、それはと全く技術的に異なる。

    主電池を標準化し、補助電池は用途別に変更

    CATLは、電電増程を「1+X」の構成として説明した。

    「1」は標準化された交換式主電池である。

    「X」は運行条件に応じて変更できる車載補助電池を意味する。

    現在の発表製品では77kWhの補助電池を採用するが、将来的には高エネルギー密度型、低温対応型、高出力型など、異なる電池を組み合わせる構想を示した。

    この方式であれば、交換ステーション側の標準規格を維持しながら、車両側では用途に応じた改良を進められる。

    例えば、寒冷地の物流車両と高負荷の鉱山輸送車両では、求められる電池性能が異なる。それでも交換式主電池の規格が共通であれば、同じインフラを利用できる可能性がある。

    さらにCATLは、二重電池構成による動力供給の冗長性が、将来の大型トラック自動運転にも有効だと説明した。

    ただし、電力供給の冗長化だけで自動運転の安全性が保証されるわけではない。実際の安全性能は、車両全体の制御系や故障時対応を含めた検証が必要である。

    交換電池を「260号」「300号」に標準化

    電電増程と並ぶ重要な発表が、交換式電池の標準規格拡充である。

    CATLは新たに「260号」「300号」という二つの標準交換電池を発表した。

    260号はホイールベース3.8m級、300号は4.2m級の車両に対応する。

    CATLによれば、新型電池は部品点数を52%削減し、従来製品と比較してコストを15%引き下げた。

    ここで注目されるのは、電池の化学組成ではなく、外形寸法を基準に交換規格を定める考え方である。

    電池材料やセル技術が進化しても、交換ステーションが扱う電池の寸法規格を維持できれば、インフラを長期的に利用しやすくなる。

    これは電池交換方式の普及にとって重要な条件である。

    ただし、CATLが提示した標準規格が、そのまま中国の大型トラック市場全体で採用されることを意味するわけではない。今後、完成車メーカーや物流事業者による採用拡大が焦点となる。

    電池交換ステーション3.0、設備費10%削減

    CATL傘下の電池交換事業を担う時代騏驥は、新世代の大型トラック向け交換ステーション「騏驥3.0」も発表した。

    従来の75号に加え、新たな260号、300号という三つの標準交換電池に対応する。

    CATL側が示した主な改善点は次の通りである。

    • 1日当たりのサービス能力を28%向上

    • 1ステーションの1日当たり電力供給量は最大8万8,000kWh

    • 地下ピットを設けない構造を採用

    • 最短5日での設置を可能にする設計

    • ステーション全体の設備コストを10%削減

    • 電池交換時間は約5分を維持

    • 1回の電池交換成功率は99.99%と説明

    これらはCATLが発表した設計性能・運用指標であり、すべての設置場所で同じ性能が実現することを保証するものではない。

    大型トラック向け電池交換では、車両と電池の技術だけでなく、ステーションの建設費、必要な土地面積、電力設備の確保が普及を左右する。

    設備コストの引き下げと短期間での設置を重視する今回の設計は、全国規模でのネットワーク整備を前提としたものである。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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